国境の山村を変えた兄弟:中国雲南・ヘビアン村の新しい農村ライフ video poster
中国雲南省、ラオスとの国境に近い山あいのヤオ族の村、ヘビアン村。ここで暮らす兄弟が、協同組合とショート動画を武器に、静かな農村の暮らしを静かに書き換えています。
兄のZhou Zhixueさんはかつて都市部で働く出稼ぎ労働者でしたが、今は村の協同組合を切り盛りし、地域の農業や暮らしをまとめる役割を担っています。弟のZhou Zhiqiangさんは、その日々の挑戦や村の変化をショート動画に収め、オンラインで発信しています。
国境の小さなヤオ族の村から生まれた変化
ヘビアン村は、中国とラオスの国境地帯にある山間のヤオ族の村です。かつては観光客もほとんど訪れず、若者たちは仕事を求めて村を離れることが当たり前のようになっていました。
しかし今、兄弟を中心とした取り組みによって、この村は観光と文化交流の拠点へと姿を変えつつあります。外から人が訪れ、村の人々も外の世界とつながるようになり、国境の小さな集落はゆっくりと新しい表情を見せ始めています。
兄・Zhou Zhixueさんが率いる「村の協同組合」
Zhou Zhixueさんが担っているのは、村の資源を一人ひとりではなく「みんなで活かす」仕組みづくりです。農産物や宿泊、体験プログラムなど、村が持つさまざまな強みを協同組合としてまとめることで、住民の収入と暮らしの安定につなげています。
出稼ぎ経験のあるZhou Zhixueさんだからこそ、都市と農村のギャップや、村の人々が抱える不安もよく理解しています。その経験が、協同組合の運営や外部とのやり取りにも生かされているといえるでしょう。
弟・Zhou Zhiqiangさんは「カメラで村をつなぐ」
一方のZhou Zhiqiangさんは、カメラを手に村の日常と変化を記録し続けています。畑仕事の様子、祭りや行事、国境の山々の風景、観光客との出会いなどをショート動画として発信し、ヘビアン村の姿を世界に届けています。
映像は、単なる観光プロモーションではありません。村の人々の表情や会話、何気ない生活の場面を切り取ることで、視聴者はヘビアン村のリアルな生活と空気感を感じることができます。それが、観光に関心のある人はもちろん、都市に住む人々にとっても新鮮な「農村のストーリー」となっています。
観光と文化交流で生まれる新しい農村像
兄弟の取り組みによって、ヘビアン村は観光と文化交流の小さなハブになりつつあります。村を訪れた人は、ヤオ族の文化や生活に間近で触れ、現地の人々と交流することができます。村の側にとっても、外から来た人の考え方や価値観に触れることは、新しい学びや刺激になっています。
こうした動きは、単に観光客の数が増えたという話ではありません。人の出入りが増えることで、教育や仕事、暮らし方についての選択肢が広がり、地域の将来について自分たちで考える土台が少しずつ育っていきます。
なぜヘビアン村の物語が今、注目に値するのか
ヘビアン村の兄弟の物語は、2020年代の中国農村が直面する課題と可能性を象徴するようなケースとして見ることができます。ポイントは次のように整理できます。
- 外からの支援だけでなく、村の中から変化を起こそうとしていること
- ショート動画というデジタルツールを活用し、農村の姿を自ら発信していること
- 国境地域ならではの文化的な多様性を、交流の強みに変えていること
- 若い世代が「戻って来て、そこで生きる」選択を現実のものにしていること
どれも、農村が持つ課題を裏返せば、そのまま可能性にもなり得るということを示しています。
日本や他地域へのヒント
人口減少や高齢化、地域経済の停滞は、日本を含む多くの国と地域が直面している共通のテーマです。中国雲南省の国境の村で起きている変化は、規模こそ小さいものの、次のような示唆を与えてくれます。
- 地域の物語を、外部の専門家ではなく「当事者」が発信することの力
- デジタル技術を、都市と地方をつなぐインフラとして使う視点
- 観光を経済効果だけでなく、文化や価値観の交流の場として捉える考え方
ヘビアン村のような事例は、地図の上では小さな点に過ぎないかもしれません。しかし、そこから生まれる物語や実践は、国境を越えて共有できるヒントに満ちています。
通勤時間やスキマ時間に、こうした農村の変化に目を向けてみることは、自分の暮らし方や働き方を見直すきっかけにもなりそうです。次にSNSで何かをシェアするとき、ヘビアン村の兄弟が切り開いた「新しい農村ライフ」を思い出してみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








