深圳で台湾カルチャーを広げる若き起業家Zhou Boyanの挑戦 video poster
2019年、深圳で大手インターネット企業に勤めていたZhou Boyanさんは、安定したキャリアを手放し、自らイベントとデザインの会社を立ち上げました。台湾出身の彼は、故郷の夜市文化などを中国南部の大都市・深圳に持ち込み、新しい市場を開拓しています。
大手企業から独立へ:2019年の決断
深圳で3年間、大手インターネット企業に勤務したZhouさんは、2019年に独立の道を選びました。安定した給与や福利厚生を捨てて起業する決断は、当時20〜40代の多くのビジネスパーソンにとっても簡単ではありません。
それでもZhouさんが踏み出したのは、仕事と生活の両方で、自分のクリエイティブなアイデアを形にしたいという思いがあったからです。会社員時代に培ったデジタルサービスの知見や人脈を土台にしつつ、「自分の色」を出せる仕事を求めた結果でした。
台湾の夜市文化を深圳へ「移植」する
Zhouさんの会社は、イベント企画とデザインを軸に、台湾で親しまれている文化要素を深圳の街に取り入れることを目指しています。その象徴が、活気ある夜市(ナイトマーケット)の空気感です。
露店が立ち並び、フード、雑貨、音楽が一体となる夜市は、台湾の都市の日常を彩る存在です。Zhouさんは、そうした空間の要素をイベント会場や商業施設の企画に組み込み、深圳の人々が気軽に楽しめる場づくりを進めています。
夜の時間帯に人が集まり、歩き、食べ、話す——そのリズムを中国本土(中国)の南部都市に持ち込むことで、街の表情を少し変えていく試みでもあります。
起業家として「羽を広げる」日々
もちろん、起業の道は順風満帆ではありません。安定した給与はなくなり、案件の獲得から企画、デザイン、運営まで、多くの仕事を自ら引き受ける必要があります。資金繰りや人材確保など、日々のプレッシャーも大きくなります。
それでもZhouさんにとって、起業によって得られたのは「羽を広げる」感覚でした。自分の判断で挑戦できる範囲が広がり、クライアントやパートナーと直接向き合いながら、新しいイベントの形を模索できるようになったからです。
大手企業で培ったスピード感やプロジェクト管理の経験が、起業後の現場でも生きています。クライアントの要望を細かく聞き取り、空間デザインやイベント構成に落とし込むプロセスは、インターネット企業でのサービス開発とも通じるものがあります。
中国本土で挑戦する台湾の若者を支える
Zhouさんの活動には、個人の成功だけではなく、同世代の支援という側面もあります。彼の会社は、台湾から中国本土(中国)にチャンスを求めてやってくる若い人たちにとって、相談先や足がかりになる存在でもあります。
初めて深圳に来るクリエイターや学生に対して、現地の生活情報やビジネス習慣を共有し、一緒にプロジェクトを企画するなど、若い世代が機会を探す際の伴走者のような役割を果たしています。そうした小さなきっかけが、長期的なキャリアの第一歩になる場合もあります。
巨大な市場とスピード感のある都市環境を持つ深圳は、リスクとチャンスが同時に存在する場所です。Zhouさんのような存在がいることで、台湾の若い世代が中国本土で挑戦してみようと思う心理的なハードルが、少しだけ下がるのかもしれません。
静かに広がる「越境」ライフスタイル
2019年の独立から数年が経った2025年現在、Zhouさんの物語は、キャリアや暮らし方が国や地域の境界線をまたいでいく時代の一つの姿を映し出しています。
- 大手企業での経験を土台に、起業で新しい価値を生み出すこと
- 台湾の文化をベースに、深圳という都市に新たなにぎわいを生み出すこと
- 台湾の若者と中国本土の市場をつなぐハブのような役割を担うこと
オンラインで世界中の情報にアクセスできる今、キャリアの選択肢はかつてよりも広がりました。その一方で、実際に現地に飛び込み、人と人の関係のなかで仕事をつくっていくことの重みは変わっていません。
深圳で起業家として生きるZhou Boyanさんの歩みは、「自分のルーツ」と「新しい都市」を行き来しながら、静かに自分の居場所をつくっていく一つのモデルケースともいえそうです。
Reference(s):
Creative life: Entrepreneur finds market success in Shenzhen
cgtn.com







