約1万4千人の米国若者が中国を訪問 米中関係をつなぐYES奨学金
2024年の1年間で、約1万4千人の米国の若者が中国を訪問し、交流や留学プログラムに参加していたことが明らかになりました。米中関係の土台となる「人と人とのつながり」が、静かに着実に広がっています。
約1万4千人が訪問 米中ユース交流が加速
駐米中国大使の謝鋒(シエ・フォン)氏は、米ワシントンの中国大使館で開かれた米中ユース交流イベントで、2024年に約1万4千人の米国の若者が中国を訪問したと明らかにしました。これらは交流や留学を目的とした訪問で、中国側が若者招待を進める取り組みの一環です。
謝大使によると、この動きは、習近平国家主席がサンフランシスコでの演説で表明した「今後5年間で5万人の米国の若者を中国に招く」という構想を受けたものです。構想の発表から最初の1年で、全体目標の約3割に相当する人数が中国を訪れたことになります。
YESプログラムとは 若者を招く奨学金スキーム
習主席の構想を実行に移すために、中国側はYoung Envoys Scholarship(YES)プログラムを立ち上げました。謝大使は、YESプログラムが米国の若者を中国に招き、交流や学びの機会を提供する奨学金として位置づけられていると説明しました。
イベントの場では、習主席がこの1年の間にたびたび米国の若者を中国に招待してきたことにも触れられました。こうした呼びかけは米国側でも温かく受け止められ、多くの若者が実際に中国を訪れるきっかけになっているとされています。
「友情の新しい章」をひらく人と人との交流
謝大使は、若者交流の取り組みについて「若者どうしを近づける効果的なプラットフォームとなり、中国をよりよく理解するための重要な窓を開き、両国民の友情の新しい章をひらいた」と評価しました。
国家間の関係が複雑な課題を抱えるなかでも、実際に相手の国を訪れ、学校や地域で人びとと直接ふれあう経験は、ニュースやSNSだけでは得られない視点をもたらします。今回の数字は、そうした草の根レベルのつながりが着実に積み重なっていることを示していると言えます。
逆風のなかでも「後戻りしない」姿勢
一方で、謝大使は近年の人と人との交流が「逆風」にさらされてきたことにも言及しました。それでも両国の関係者の共同の努力によって、前向きなニュースが相次いでいると強調しました。
この1年の成果については、まだ十分とは言えず、やるべきことは多いとも率直に語り、次のような姿勢を示しました。
- 交流を妨げる要因を引き続き取り除く
- いわゆる「萎縮効果」にひるまない
- 後戻りに反対し、手を携えて前進する
- 人と人との交流の橋をさらに築き、米中関係に継続的な原動力を注ぎ込む
人びとの往来を支える基盤を整えることが、長期的な米中関係を安定させる鍵だというメッセージがにじみます。
「歴史のバトン」を受け取る若者たち
謝大使は、米中双方の若者に対し、「歴史のバトン」を受け取り、安定的で健全かつ持続可能な米中関係を育てる責任を担ってほしいと呼びかけました。
このメッセージから、若者に期待されている役割として、たとえば次のようなポイントが浮かび上がります。
- 相手国の社会や文化を自分の目で確かめること
- 日常レベルの友好関係やネットワークを広げること
- 帰国後に現地での経験や学びを周囲と共有すること
デジタルネイティブ世代は、現地で得た情報をSNSなどを通じて素早く発信できます。その一つ一つが、互いのイメージを更新し、長期的な信頼の土台をつくる素材になっていきます。
ワシントンのイベントには300人超が参加
今回のユース交流イベントには、2024年中に中国を訪れた教員や学生の代表をはじめ、両国の各界から300人を超える参加者が集まりました。会場には、これまでの訪問を通じて築かれたつながりを振り返る声があふれました。
イベントでは、2つのパネルディスカッションも行われ、登壇者たちは米中の若者交流の今後に期待を寄せました。教育分野での交流や協力をさらに進めることで、両国だけでなく世界にとっても利益をもたらしたいとの思いが共有されたとされています。
日本の読者にとっての示唆
米国と中国のあいだで若者交流を広げる試みは、アジアや世界の国際教育の流れを考えるうえでも参考になります。日本で学ぶ人にとっても、次のような視点がヒントになりそうです。
- どの国・地域の若者と学び合い、交流するかを自分の軸で選ぶこと
- 短期のスタディーツアーやオンライン交流など、参加しやすい形を探すこと
- ニュースの見方を固定せず、現地の声や経験談にも耳を傾けること
米中の若者が相互理解を深める試みは、私たちにとっても、世界との向き合い方を見つめ直すきっかけになります。数字の背後にある一人一人の経験に想像をめぐらせながら、国際ニュースを読み解いていきたいところです。
Reference(s):
Ambassador Xie: About 14,000 young Americans visited China in 2024
cgtn.com








