中国がCCUSロードマップ改定 化石燃料の実質ゼロへ唯一の技術と位置づけ
中国がカーボンキャプチャーの新ロードマップを公表
中国でカーボンキャプチャー利用・貯留(CCUS)技術の開発ロードマップが更新され、化石燃料の利用で温室効果ガス排出を実質ゼロにする「唯一の技術」と位置づけられました。脱炭素とエネルギー安全保障の両立を模索する国際社会にとって、注目すべき動きです。
北京でCCUS会議、最新版ロードマップを発表
12月7〜8日に北京で開かれたCCUS技術に関する会議で、「中国21世紀議題管理センター」が最新版の開発ロードマップを公表しました。今回の文書は、2011年版、2019年版に続く改定版です。
ロードマップは、CCUSを次のように位置づけています。
- 化石燃料を大規模に低炭素利用するための中核技術
- カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成の重要な手段
- 化石燃料利用において「実質ゼロ排出」を達成できる唯一の技術的手段
- 排出削減産業で「深掘り削減(ディープカット)」を進めるための有効な解決策
そもそもCCUSとは? 3ステップで整理
カーボンキャプチャー・利用・貯留(CCUS)は、排出される二酸化炭素(CO2)を「回収・活用・貯める」技術の総称です。
- 回収(Capture):発電所や工場などから出るCO2を分離・回収する
- 有効利用(Utilization):化学製品、建材、燃料などとして再利用する
- 貯留(Storage):地中の深い地層などに長期的に閉じ込める
再生可能エネルギーの拡大とともに、既存の化石燃料インフラから出る排出をどう抑えるかは各国共通の課題です。その一つの解として、中国はCCUSを戦略的に位置づけ直しています。
126件のCCUSプロジェクト、5年で大幅増
ロードマップによると、中国国内で計画されているCCUSプロジェクトは126件に達し、2020年時点から77件増えています。短期間でプロジェクト数が大きく伸びていることになります。
対象となる産業も幅広く、次のような特徴があります。
- 従来型の大規模産業:電力、石油・ガス、化学工業、鉄鋼など
- ニッチだが排出のある分野:ガラス、印刷、染色など
重工業だけでなく、多様な産業でCCUSが導入され始めていることは、技術の適用範囲が広がっていることを示しています。
技術開発の重点:直接空気回収や輸送インフラ
一方でロードマップは、今後さらに技術開発を加速すべき分野も明示しています。特に挙げられているのは次の3つです。
- 直接空気回収(Direct Air Capture, DAC)
大気中から直接CO2を取り出す技術。排出源が分散した分野にも対応できるため、将来的なポテンシャルが大きいとされています。 - パイプライン輸送
回収したCO2を安全かつ効率的に貯留地まで運ぶためのパイプライン網の整備。インフラ整備はコストや規制との両面で課題が多い分野です。 - 石油増進回収(Enhanced Oil Recovery, EOR)
CO2を油田に圧入して原油の回収率を高める技術。回収したCO2の活用先として注目されています。
これらの技術が高度化すれば、CCUSのコスト低減や安全性向上につながり、大規模な普及への道が開ける可能性があります。
国際ニュースとしての意味:アジアの脱炭素に波及も
今回のCCUSロードマップ改定は、中国国内のエネルギー政策にとどまらず、アジアや世界の脱炭素戦略にも影響を与える可能性があります。
- アジア全体での低炭素技術の導入や協力の方向性を示すシグナルになりうる
- CCUS関連の設備、素材、エンジニアリングなどで新たな市場機会が生まれる可能性がある
- 電力・鉄鋼・化学など、国境をまたぐサプライチェーン全体でCO2削減をどう進めるかという議論を加速させる
日本の読者にとっても、エネルギー安全保障と脱炭素を両立させる一つのアプローチとして、CCUS政策の動きは注視すべきテーマと言えます。
「唯一の技術」とされたCCUS、どう捉えるか
ロードマップは、化石燃料利用で排出を実質ゼロにする「唯一の技術」としてCCUSを定義しました。このメッセージは、次のような問いも投げかけています。
- 再生可能エネルギーの拡大とCCUSの役割分担をどう考えるか
- 既存の化石燃料インフラをどこまで活用し続けるのか
- 技術への期待と、コスト・安全性・長期的な責任のバランスをどう取るのか
「読みやすい国際ニュース」を足がかりに、こうした問いを自分ごととして考えてみることが、これからのエネルギーや気候変動をめぐる議論に参加する第一歩になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








