チベットカモシカを守る人々:青海・ホフシルのレンジャーたち video poster
中国北西部の青海・シザン高原に広がるホフシルは、人の住まない過酷な高原地帯ですが、絶滅の危機にあるチベットカモシカなど多くの野生動物の「最後のとりで」となっています。その静かな大地で、命のバランスを守るレンジャーたちが、今日も目立たない闘いを続けています。
ホフシルとは?青海・シザン高原の無人地帯
ホフシル(Hoh Xil)は、中国北西部の青海・シザン高原(Qinghai-Xizang Plateau)に位置する広大な無人地帯です。人間の活動がほとんど及ばないこの地域は、チベットカモシカをはじめとする希少な野生動物の重要なすみかになっています。
こうした貴重な生態系を守っているのが、少人数のレンジャーたちです。彼らは道路や草原、川沿いを日々巡回し、密猟の防止から動物の移動ルートの確認まで、幅広い役割を担っています。
毎年5月ごろに始まるチベットカモシカの大移動
ホフシルの広大な草原がもっともにぎわうのは、毎年5月ごろ。チベットカモシカの群れが出産のために移動を始め、地域一帯が命の流れで満たされます。しかし、その道のりには交通量の多い幹線道路など、いくつもの危険な横断地点が存在します。
ウーダオリャン保護ステーション(Wudaoliang Protection Station)のレンジャー、デ・ガ(De Ga)さんは、この厳しい土地を約10年間にわたってパトロールしてきました。群れが道路付近に近づくと、彼は仲間とともに周辺を見守り、車両と動物の双方が安全に通過できるよう注意を払い続けています。こうした地道な活動が、毎年の大移動を支えています。
胸まで水につかりながら見守る「命の渡し守」
チベットカモシカを守る仕事は、交通の安全確保だけではありません。雨の多い時期には川の水位が一気に上がり、とくに子どものカモシカにとって生死を分ける難所になります。
レンジャーたちは胸まで水につかりながら冷たい流れの中に立ち、群れの動きを観察します。もし流れにのまれそうな子どもがいれば、すぐに駆け寄れるよう備えています。こうした見守りがあるからこそ、多くの命が危険な渡河を乗り越えることができます。
標高4,800メートルで続く静かな使命感
ホフシルの現場は標高4,800メートルに達し、空気は薄く、一歩踏み出すだけでも体力を奪われます。デ・ガさんは「標高4,800メートルにいると、60キロの荷物を背負っているように感じます」と語ります。高山病のような疲労感に加え、天候の急変や強い日差しなど、自然条件は容赦がありません。
食事も決して豊かではなく、インスタント麺など簡単なメニューが続く日も少なくありません。それでも彼らが現場に立ち続けるのは、「命を守りたい」というシンプルで強い思いがあるからです。
遠く離れた私たちが受け取るメッセージ
ホフシルのレンジャーの姿は、私たちの日常から遠く離れた物語に見えるかもしれません。しかし、彼らが守るチベットカモシカや高原の生態系は、地球全体の多様性とつながっています。
現地に行けなくても、その存在を知り、関心を持ち続けることはできます。ホフシルの物語は、「目に見えないところで環境を守る人々がいる」という事実を私たちに思い出させてくれます。忙しい日常のなかで、地球のどこかで続いているこうした静かな努力に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








