海南島国際映画祭2025 野外上映でサンヤの街がシネマに変わる video poster
中国・海南島のサンヤで開かれた海南島国際映画祭(Hainan Island International Film Festival/HIIFF)は、レッドカーペットだけではなく、街全体を使った野外上映や国際映画展示によって、映画をあらゆる人に開くことを目指しています。2025年の国際ニュースとしても注目されるこの映画祭は、どのようにして日常の風景をシネマへと変えているのでしょうか。
レッドカーペットだけではない海南島国際映画祭
海南島国際映画祭は、スターが集まる華やかな場であると同時に「映画をすべての人に、映画をユニバーサルなものに」という発想を前面に出したイベントです。上映会場は劇場の中だけにとどまらず、サンヤの街のさまざまな場所へと広がっています。
こうした取り組みは、映画を「特別な人が行く場所」から「日常の延長で楽しめる文化」へと位置づけ直す試みだといえます。スマートフォンで動画を見ることが当たり前になった今、あえて街中でスクリーンを共有することにどんな意味があるのかを考えさせてくれます。
サンヤの街中がスクリーンに:野外上映の風景
今回の海南島国際映画祭の大きな特徴が、サンヤ各地で行われるオープンエア(野外)上映です。海辺や公共スペースなど、日常的に人々が集まる場所が、夜になるとスクリーンへと姿を変えます。
野外上映には、次のような特徴があります。
- 家族連れから若者、シニアまで、幅広い人が気軽に映画に触れられる
- 通りすがりの人も立ち止まりやすく、映画との偶然の出会いが生まれる
- 観光客と地元の人が同じスクリーンを見つめることで、自然な交流が生まれる
青空や星空の下でスクリーンを囲む時間は、映画そのものだけでなく「その場の空気」も含めて共有する体験です。上映作品の内容に加えて、波の音や街のざわめきまでが記憶に残るシネマ体験になっていきます。
国際映画展示で広がる世界の映像文化
海南島国際映画祭では、野外上映に加えて、国際映画展示も大きな柱になっています。各国・各地域の作品や映像文化を紹介する展示は、単に映画を「見る」だけでなく、その背景にある歴史や社会、制作現場の工夫を知るきっかけになります。
たとえば、
- さまざまな国や地域の映画ポスターやスチール写真を通じて、表現スタイルの違いを比較できる
- 撮影機材や制作プロセスを紹介する展示で、映像づくりの裏側に触れられる
- 短編映像や実験的な作品を通じて、商業映画とは異なる表現に出会える
こうした国際映画展示は、映画祭を「作品の競争の場」だけではなく、「世界の映像文化を学ぶ場」として位置づけるものです。国際ニュースとしての側面だけでなく、カルチャーを学ぶ場としても注目できます。
案内役レイチェルと巡る「アラウンド・ザ・スクリーン」
今回の海南島国際映画祭では、「Around the Screens(アラウンド・ザ・スクリーン)」という企画で、レイチェルという案内役がサンヤ各地のイベントを巡りながら、その魅力を伝えています。
レイチェルが訪れるのは、
- 市民が集まるオープンエア上映の会場
- 各国の作品や資料が並ぶ国際映画展示のフロア
- 映画祭に合わせて開催されるトークイベントや関連企画
この案内を通じて、現地に行けない人も「街を歩きながら映画祭を体感している」感覚を得ることができます。オンラインで情報収集をする私たちにとって、こうした映像レポートは、映画祭の空気感まで伝えてくれる重要な窓になっています。
なぜ今、「映画を開かれた場所に」なのか
ストリーミングサービスが普及し、家でもスマホでも映画が見られるようになった2025年に、なぜわざわざ街中での上映や展示に力を入れるのでしょうか。
海南島国際映画祭の取り組みは、次のようなメッセージとして読むことができます。
- 映画は「個人で消費するコンテンツ」ではなく、「他者と共有する体験」であるという再確認
- 公共空間を活用することで、文化へのアクセスを広げるという都市政策的な視点
- 観光地サンヤの魅力を、海やリゾートだけでなく「文化都市」としても発信する狙い
映画館の暗闇で一人ひっそりと没頭する時間も貴重ですが、大勢でスクリーンを見上げ、ときには笑い声やどよめきを共有する時間もまた、映画の力を思い出させてくれます。
海南島から広がる、アジア映画のこれから
海南島国際映画祭のように、街全体を巻き込むスタイルの映画祭は、アジアの映像文化の発信拠点としても注目されています。中国・海南島のサンヤというリゾート都市が、期間中はクリエイティブなハブ(中心地)として機能し、映画制作者と観客、地域社会が交わる場となっているからです。
日本でも各地で野外上映や小規模な映画祭が行われていますが、海南島のように国際映画展示と組み合わせ、都市全体を「オープンスクリーン」として設計する試みは、今後の参考になりうるでしょう。
もし自分の街で同じように野外上映や映画展示が開かれるとしたら、どんな作品を映したいか。海南島国際映画祭のニュースは、私たちにそんな問いを投げかけています。映画をきっかけに街の使い方や人とのつながりを考えることが、次のカルチャーを生む第一歩になるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








