北京の「キングキャット」騒動 市民ホットラインが動かした小さな作戦 video poster
2025年現在、中国の首都・北京の中心部にある朝陽区で、「キングキャット」と呼ばれる1匹の猫が地域の話題になっています。市民からの通報を受けた北京市の市民ホットライン「12345」が動き、猫の命を守りながら、どうやって近隣への迷惑を減らすかという難しい課題に挑んでいます。
朝陽区の有名猫「キングキャット」とは
キングキャットは、北京市の中心部・朝陽区周辺でたびたび目撃されてきた猫です。その存在感の強さから名前が付けられるほどで、地域ではちょっとした「有名猫」になっていました。
一方で、住民や周囲の動物に対して威嚇したり、追いかけたりする様子が見られたとされ、次第に「怖い」「危ないのではないか」と感じる人も増えていきました。そこで住民は、北京12345市民ホットラインに相次いで相談を寄せるようになりました。
市民ホットライン「12345」に寄せられた不安の声
キングキャットに関する報告は、北京12345市民ホットラインに届けられました。市民ホットラインは、その名のとおり市民が身の回りの困りごとや不安を伝えるための窓口として機能しています。
今回のケースでは、
- 子どもが近づくと追いかけられそうで怖い
- ほかの動物がいじめられているように見える
- 安心して通行できる環境を整えてほしい
といった趣旨の声が寄せられたとされます。行政側はこれを単なる「迷惑動物」の問題として片付けるのではなく、命をどう守るかという視点も含めて対応する必要に迫られました。
猫好き+麻酔科医+警備員 異色のチームが結成
通報を受け、キングキャットに対応するために特別チームが組まれました。メンバーは、猫をよく理解する「猫好き」、専門的な知識を持つ麻酔科医、そして現場の安全を守る警備員たちです。
それぞれの役割はおおむね次のようなものです。
- 猫好き:猫の行動パターンや性格を理解し、できるだけ猫を驚かせずに接近する役割を担う。
- 麻酔科医:必要に応じて麻酔を用いる際、安全な量や方法を判断し、猫の体への負担を最小限にとどめる専門家として参加する。
- 警備員:周囲の住民や通行人の安全を確保し、捕獲作業中のトラブルを防ぐために現場をサポートする。
このように、住民の安心と猫の命の両方を守るために、それぞれ異なる専門性を持つ人たちがチームとして動き出した点が特徴的です。
命を守りながら迷惑行為を止めるには
キングキャットのように、人や他の動物を不安にさせる存在になってしまった動物にどう向き合うかは、多くの都市が抱える共通の課題です。今回のようなチームが目指すのは、「排除」ではなく「安全なコントロール」と「共生」です。
こうしたケースで重視されるポイントとして、次のような点が挙げられます。
- 行動パターンの把握:どの時間帯に、どのエリアに現れるのかを観察し、無理のない捕獲計画を立てる。
- できるだけ負担の少ない捕獲方法:けがをさせない捕獲器具や方法を用い、必要と判断された場合のみ麻酔を検討する。
- 捕獲後のケア:健康状態の確認や、必要に応じた治療、今後の居場所の検討などを行い、単に「捕まえる」だけで終わらせない。
- 地域との情報共有:住民に対して経過や方針を丁寧に説明し、不安や誤解を減らしていく。
キングキャットへの対応も、こうした考え方に基づいて進められています。猫の命を守りつつ、地域の安全も確保するという二つの価値をどう両立させるかが、チームに課されたテーマです。
小さな騒動が映し出す、都市と動物の関係
一匹の猫をきっかけに、市民ホットライン、専門家、警備員が連携する今回の取り組みは、国際ニュースとしては小さな出来事に見えるかもしれません。しかし、急速に都市化が進む地域では、同じような課題が各地で起きています。
都市で暮らす人々にとって、野良猫や野生動物は、
- 癒やしや親しみを与えてくれる存在である一方で、
- ときに安全や衛生面での不安の原因にもなりうる存在
でもあります。この二面性を前提に、「どう共生していくのか」を考えることが欠かせません。
市民ができる三つのアクション
キングキャットの事例から、私たちが学べる点もあります。都市で動物と共に暮らすために、市民一人ひとりが意識できる行動として、次のようなものが挙げられます。
- むやみに近づかない・刺激しない:どれだけ人に慣れているように見えても、動物は予想外の行動をとることがあります。
- 地域のルールや窓口を知っておく:不安やトラブルを感じたときは、今回のような市民ホットラインなど、地域の正式な窓口に相談することが重要です。
- 感情だけでなく全体を考える:動物がかわいそう、怖いといった感情だけで判断せず、地域全体の安全や福祉のバランスを考える視点を持つことが求められます。
「キングキャット」騒動が問いかけるもの
北京・朝陽区のキングキャット騒動は、
- 市民の声をどう行政につなげるか
- 専門家の知見をどう活用するか
- 人と動物が共に暮らす都市をどうデザインするか
という三つの問いを私たちに投げかけています。迷惑行為を止めるだけでなく、そこにある命をどう尊重するか。小さなニュースの裏側に、これからの都市が向き合うべきテーマが見えてきます。
スマートフォン一つで市民の声が行政に届く時代に、こうした事例は今後も各地で増えていく可能性があります。キングキャットの行方だけでなく、私たち自身がどんな社会を望むのかという視点から、この出来事を眺めてみる価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








