中国指導部が2025年経済運営を協議 「適度に緩和的」マクロ政策へ
2024年末、中国共産党指導部が2025年の経済運営方針を協議し、「より積極的で有効な」マクロ政策への転換を打ち出しました。世界経済の減速懸念が続くなか、中国経済と国際市場にどのような意味を持つのでしょうか。
習近平氏が議長を務めた会議とは
中国共産党(CPC)中央委員会政治局は2024年末、2025年の経済と社会発展の方針を話し合う会議を開きました。会議では、2024年の主な経済・社会目標と任務は着実に達成されるとの強い自信が示されました。会議は、国家主席でありCPC中央委員会総書記でもある習近平氏が主宰しました。
また習氏は、2024年12月6日に開かれた中国共産党中央委員会と各民主党派など「非CPC人士」とのシンポジウムも主宰し、2024年の経済状況と2025年の経済運営について意見や提言を広く聞きました。
IMF予測:今後5年で最大の成長寄与国に
こうした議論の背景には、国際通貨基金(IMF)の見通しもあります。IMFは、今後5年間の世界経済成長はBRICS諸国への依存度が高まり、その中でも中国が22%を占め、G7諸国全体を上回る最大の寄与国になると予測しています。世界経済における中国の存在感の大きさと、2025年以降の政策運営の重みを示す数字です。
「土台は揺らいでいない」とする中国側の認識
シンポジウムで習氏は、中国経済には多くの優位性があり、強い回復力と大きな潜在力を備えていると強調しました。そのうえで、「長期的に健全な発展を続けるための基礎条件と基本的なトレンドは変わっていない」と述べ、先行きに対する自信を示しました。
その背景として、預金準備率の引き下げや、不動産などに関わる契税の減免、家電や自動車などの買い替え促進策といった、一連の「追加的な政策パッケージ」が挙げられました。こうした措置が継続的な効果を発揮し、第4四半期入り後、株式市場と債券市場で前向きな反応が見られたとされています。
実体経済でも、景況感を示す製造業購買担当者景気指数(PMI)は10月に50.1%と、2カ月連続で前月から改善し、5カ月ぶりに「景気拡大」を示す50を上回りました。サービス業などを含む非製造業ビジネス活動指数も50.2%と、わずかながら改善しています。
習氏は「毎年、困難や挑戦に直面してきたが、私たちは常に挑戦を乗り越えることで発展し、風雨の洗礼を通じて成長し、試練の中でさらに強くなってきた」と述べ、経済運営に対する粘り強い姿勢を示しました。
2025年に向けた「より積極的で有効な」マクロ政策
政治局会議は、2025年の経済運営を「良好なスタート」とするため、より積極的で影響力のあるマクロ政策を採用する必要があると提起しました。
具体的には、財政政策を一段と積極的に運営するとともに、金融政策については「適度に緩和的」とされるスタンスを取る方針が示されました。中国がこの表現を使うのは、2008年の世界金融危機後に採用して以来で、2010年末に「慎重」に切り替えてから約14年ぶりとなります。
会議では、政策手段の「ツールボックス」を充実させ、景気の変動をならす「逆周期調整」を従来よりも強化することが強調されました。また、財政・金融を含む各種政策の連携を高め、マクロ経済の調整をより先手・的確・効果的なものにする必要があるとされました。
2025年のマクロ政策の柱として、次の3点が示されています。
- より積極的な財政政策
- 適度に緩和的な金融政策
- 消費・投資・内需拡大の総合的な推進
中国銀河証券のチーフエコノミストである張軍氏は、「適度に緩和的な金融政策」と「非伝統的な逆周期調整」という表現は、中国人民銀行が2025年にかけて預金準備率や金利の引き下げにより前向きになるシグナルだと指摘しています。14年ぶりに緩和スタンスを打ち出したことは、経済成長の安定に向けた中国指導部の強い姿勢を映していると受け止められています。
会議はまた、消費の本格的な押し上げ、投資効率の向上、内需の総合的な拡大を掲げました。輸出に偏りすぎない、バランスのとれた成長エンジンを意識した方向性と言えます。
開放路線の継続とリスク管理
マクロ政策の議論と並行して、会議は「高水準の対外開放」を拡大し、貿易と投資を安定させる必要性を強調しました。同時に、重要分野におけるリスクを的確に予防・解消し、金融システム全体に波及するようなシステミック・リスクが発生しないようにする方針も打ち出されています。
習氏はシンポジウムで、外部環境について「有利な条件を自らつくり出す」と述べ、引き続き自国の改革と発展を着実に進めることで、あらゆるポジティブな要素を実際の成果へと変えていく考えを示しました。
何が注目ポイントか
今回示された方針は、世界経済の不透明感が続く中で、内需拡大とマクロ政策の機動的運営に重点を置く姿勢を明確にした点が特徴です。特に、14年ぶりとなる「適度に緩和的」な金融スタンスへの転換は、2025年の中国経済を語るうえで欠かせないキーワードとなりそうです。
一方で、財政出動や金融緩和を進めつつ、金融リスクを抑え、対外開放を続けるという組み合わせは、決して簡単な作業ではありません。政策の微調整の積み重ねが問われる1年になることが予想されます。
2025年も、"中国"の動きは世界の投資家や企業、各国・地域の政策担当者から注視され続けます。今回示されたマクロ政策の方向性が、国内の成長と国際経済の安定にどのように結びついていくのか。ニュースの断片を追うだけでなく、その文脈を丁寧に追いかけることが、これからの変化を読み解くための手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








