砂漠の町が野生動物の楽園に 中国・寧夏「ハバ湖」の緑の奇跡 video poster
中国北西部の寧夏回族自治区・塩池県にあるハバ湖国家級自然保護区が、「砂漠の町」から緑豊かな野生動物の楽園へと生まれ変わっています。かつて県域の約8割が砂漠化していたこの土地で、どのように「緑の奇跡」が起きたのでしょうか。
砂嵐と貧困に苦しんだ過去
寧夏回族自治区では、砂漠化の防止と砂の制御が長年の重要課題でした。数十年前、塩池県の大部分は砂嵐と不毛の大地に覆われ、地域は貧困にも苦しんでいたとされています。県域の約80%が砂漠化していたとされ、住民の暮らしにも深刻な影響が出ていました。
風が吹けば砂が舞い、農地や牧草地はやせ細り、日常生活そのものが自然環境と闘う連続だったと想像できます。この厳しい現実を変えるために、地域は思い切った舵を切りました。
伝統産業を止めてでも選んだ「緑化」
塩池県が下した最も象徴的な決断の一つが、伝統的なタン羊の飼育産業を中止したことです。タン羊は長く地域を支えてきた産業でしたが、放牧による植生の破壊が砂漠化を加速させる一因にもなり得ます。
地域当局は、短期的な収入よりも、植生の回復と生態系の保全を優先しました。牧畜を抑え、その分、植林や草木の保護に力を入れることで、土地に再び「緑」を取り戻そうとしたのです。
植林と土地の緑化プロジェクト
ハバ湖一帯では、次のような取り組みが進められました。
- 砂地への樹木の植栽など、広範囲な造林(植林)事業
- 草本植物の保護や植え付けによる土地の緑化
- 人為的な過度の開発を抑え、生態系を優先する管理
こうした地道な取り組みが積み重なり、少しずつ砂地は覆われ、土地の色は黄土色から緑へと変わっていきました。
ハバ湖国家級自然保護区、現在の姿
現在のハバ湖国家級自然保護区を訪れると、かつてこの地一帯を砂嵐が支配していたとはにわかには信じがたいほど、鮮やかな緑が広がっています。湖とその周辺には植生が戻り、多様な野生生物が見られる「野生動物の楽園」としての姿を取り戻しつつあります。
緑が増えることで、土壌は安定し、砂ぼこりも抑えられます。地域の景観が改善されるだけでなく、人々の健康や暮らしにも良い循環が生まれていると考えられます。砂漠と隣り合わせだった土地が、いまや「自然と共生する場」へと変わりつつあるのです。
国連砂漠化対処条約COP16と「グリーン・ミラクル」
2024年12月2日から13日まで、サウジアラビアのリヤドでは、国連砂漠化対処条約(UNCCD)第16回締約国会議(COP16)が開催されました。197の締約国・地域の代表が集まり、土地の劣化、砂漠化、干ばつといった地球規模の課題について議論しました。
ハバ湖の事例は、中国が砂漠化と闘い、人と自然の調和を目指してきた取り組みの一つとして、「グリーン・ミラクル(緑の奇跡)」シリーズの中で紹介されています。世界が持続可能な土地利用を模索するなか、具体的な成功例として注目される存在になっています。
ハバ湖の物語が投げかける問い
ハバ湖の転換は、次のような問いを私たちに投げかけます。
- 短期的な経済利益と、長期的な生態系保全のバランスをどう取るか
- 地域の伝統産業をどう位置づけ、環境との両立を図るか
- 砂漠化や土地劣化が進む他地域で、どこまで同様のモデルを応用できるか
砂嵐と貧困に苦しんだ土地が、政策の転換と長期的な投資によって、緑と生き物が戻る場所へ変わっていく。このプロセスを丁寧に追うことは、気候変動や環境問題に向き合う私たち自身の視点を見直すきっかけにもなります。
中国・寧夏のハバ湖で起きた「緑の奇跡」は、砂漠化と闘う世界の国々と地域にとって、一つのヒントとなる事例だと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








