北京で「市民の声に即応」国際フォーラム 都市ガバナンスの解決策探る video poster
北京市は、市民の苦情や要望に「素早く応える」都市ガバナンスの仕組みをテーマにした国際フォーラムを、2025年12月18〜19日に開催します。巨大都市が抱える公共サービスの課題にどう向き合うのか、世界の専門家が議論する場となりそうです。
北京で開かれる国際フォーラムの概要
フォーラムの名称は英語で「Beijing Forum on Swift Response to Public Complaints」。市民からの苦情や要望に迅速に対応する都市ガバナンスのあり方をテーマに、国際的な専門家が集うプラットフォームとして位置づけられています。
火曜日に開かれた北京市人民政府の記者会見で、このフォーラムが2025年12月18〜19日に北京市で開催されることが発表されました。主催者によると、公共サービスの課題に対する革新的で実務的な解決策を議論し、都市ガバナンスの経験を共有することが主な目的です。
記者会見には、北京市行政サービス・データ管理局、中国社会科学院・政治学研究所、中国メディアグループ(CMG)北京局などの幹部が出席し、北京の都市ガバナンスの取り組みや、来週予定されるフォーラムの主要テーマについて説明しました。
背景にある北京の「迅速対応」モデル
北京は2,000万人を超える住民を抱え、その規模はニューヨークの2倍以上とされています。こうした巨大都市ならではの課題に向き合うため、北京市は2019年に「市民の苦情への迅速対応(Swift Response to Public Complaints)」と呼ばれる取り組みを導入しました。
この仕組みは、市民の日常生活で生じるさまざまな困りごとや要望に、できるだけ早く、効率的に対応することをねらいとしています。道路や交通、教育、医療、子育て支援、高齢者ケア、さらにはビジネス支援まで、暮らしの「細部」に行政サービスをどう届けるかを問う試みでもあります。
北京市行政サービス・データ管理局のShen Binhua局長は記者会見で、大都市ガバナンスの課題に応えるための革新的な取り組みとして、この制度を紹介しました。
統一番号「12345」に集約されたホットライン
この取り組みの大きな特徴が、分散していた市民向けホットラインを一本化した点です。公式説明によれば、北京市は従来バラバラに存在していた多数の電話窓口を、統一番号「12345」に集約しました。
公開されている情報によると、この仕組みには次のような体制が整えられています。
- 60以上あった各種窓口のホットラインを、統一番号「12345」に集約
- ホットラインは24時間365日稼働
- 約1,700人のオペレーターが交代制で電話を受け付け、案件を処理
- ビジネスサービス、高齢者や子どものケア、医療、教育、交通など、都市生活のほぼあらゆる分野をカバー
市民は番号を覚え直す必要はなく、「困ったときは12345」に電話をすればよい形です。その後の担当部局への振り分けや進捗管理を、行政側が一元的に担う構造になっています。
1億5,000万件超の相談と高い解決率
公式データによると、この仕組みの開始以来、処理された市民からの訴えや相談は累計で1億5,000万件以上に上ります。案件の解決率は96.5%、市民の満足度は96.9%に達しているとされています。
数字だけですべてを語ることはできませんが、行政が市民からの声を一元的に受け止め、データにもとづいて対応を進める仕組みが一定の成果を上げている様子がうかがえます。大都市ならではの複雑な課題に対し、「どの窓口に相談すればよいか」という初歩的なハードルを下げている点も注目されます。
国際フォーラムで共有される論点
今回の「Beijing Forum on Swift Response to Public Complaints」は、こうした北京の経験を土台に、世界の都市が抱える公共サービスの課題を議論する国際フォーラムです。主催者は、国内外の専門家や実務家が集まり、次のような論点を中心に意見交換を行う場になるとしています。
- 公共サービスの課題に対する革新的で実務的な解決策の検討
- 都市ガバナンスに関する経験や教訓の共有
- 市民からの苦情や要望に迅速に対応するための制度設計や運用方法の比較・検討
北京市行政サービス・データ管理局、中国社会科学院・政治学研究所、CMG北京局の担当者らは、北京での取り組みを紹介するとともに、フォーラムで取り上げられる主要テーマの方向性を説明しました。都市の課題を行政だけで抱え込むのではなく、データやメディア、学術研究などの多様な主体が連携して向き合う必要性が意識されていると言えます。
日本を含む世界の都市にとっての意味
人口集中や高齢化、インフラの老朽化、デジタル化の進展など、都市ガバナンスをめぐる課題は北京に限られません。東京や大阪をはじめとする日本の都市でも、住民からの相談や苦情への対応をどう効率化し、行政への信頼につなげるかが問われています。
番号を一本化したホットラインや、そこで集まる膨大なデータをどう管理し、政策に生かすかといった視点は、日本の自治体にとっても参考になり得ます。市民の声を「負担」ではなく、「都市をよくするための資源」として活用できるかどうかが、今後の都市ガバナンスの鍵の一つになりそうです。
フォーラムは2025年12月18〜19日に北京市で開催される予定です。巨大都市が公共サービスの質とスピードをどう両立させるのか。その議論は、私たち自身の暮らす地域社会のあり方を見直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








