四川・Baihe自然保護区でゴールデン・スナブノーズドモンキーを守る30年 video poster
リード:中国四川省のBaihe国家級自然保護区で、ゴールデン・スナブノーズドモンキーと呼ばれるサルたちを見守り続けてきた森林レンジャー、Tang Yulinさんの30年以上にわたる歩みは、人と自然の調和とは何かを静かに問いかけています。
ゴールデン・スナブノーズドモンキーの聖域、Baihe国家級自然保護区
四川省にあるBaihe国家級自然保護区は、ゴールデン・スナブノーズドモンキーの最大かつ最も密集した個体群が暮らす場所として知られています。深い森と険しい山々が広がるこのエリアは、まさに命と自然が響き合う「聖域」です。
ここでの主役はもちろん野生動物たちですが、その舞台裏を支える人間の存在も欠かせません。長年にわたって森を歩き続けてきたレンジャーの仕事があってこそ、この調和は保たれています。
30年以上、同じ山を歩き続ける森林レンジャー
Baihe国家級自然保護区で森林レンジャーとして働くTang Yulinさんは、30年以上にわたりこの森と向き合ってきました。仕事は決して楽ではなく、山道は険しく、天候も日によって大きく変わります。それでもTangさんは、この役割を「厳しくも深く報われる旅」として歩み続けています。
長年にわたる活動の中で、Tangさんはここに暮らす野生動物たちと深い絆を育んできました。同じ森を何十年も見続けることで、風の音や木々のざわめきの変化から、そこに生きる命の気配を感じられるようになっていきます。
朝一番の仕事は、彼らの痕跡を探すこと
Tangさんの一日は、早朝の山歩きから始まります。まだ冷たい空気の中、彼が目と耳を凝らして探すのは、ゴールデン・スナブノーズドモンキーたちの存在を示す小さなサインです。
- 地面や雪面に残された足跡
- 餌を探す途中で折れた枝
- 森の奥から聞こえてくる特徴的な鳴き声
こうした手掛かりを一つ一つたどることで、群れがどこを移動し、どのあたりで休み、どのように暮らしているのかを把握していきます。見つけては記録し、また山を登る。その地道な繰り返しが、保護活動の土台になっています。
足跡と折れた枝が教えてくれること
ゴールデン・スナブノーズドモンキーたちは言葉を話しませんが、足跡や折れた枝、声の響き方といった痕跡は、多くの情報を伝えてくれます。レンジャーはそれらを読み解き、見えない対話を積み重ねていきます。
たとえば、足跡の新しさからは群れが通った時間帯を、折れた枝の高さからはおおよその体格や行動パターンを推測できます。こうした観察を続けることで、動物たちの暮らしを乱さない形で見守り、必要な保護策を考えることができます。
この静かなやりとりは、目立つニュースになることは少ないかもしれません。しかし、森とそこに暮らす命を未来へつなぐための、欠かせない基盤になっています。
森の中で育まれた、静かな絆
30年以上、同じ山を歩き続けるということは、自分の人生の大きな部分を森に預けることでもあります。Tangさんにとって、ゴールデン・スナブノーズドモンキーをはじめとする野生動物たちは、単なる「保護の対象」ではなく、長い時間を共にしてきた隣人のような存在になっているはずです。
仕事の一日一日は小さな積み重ねに見えても、何十年という時間のなかで振り返れば、そこには森の変化と共に歩んできた、一本の確かな軌跡が見えてきます。その軌跡こそが、保護区全体の「調和」を支えているのかもしれません。
私たちと遠く離れた森をつなぐもの
四川省の山奥で行われているこうした取り組みは、都市で暮らす私たちの日常からは、遠い世界の出来事のように感じられるかもしれません。しかし、野生動物の生息地が守られることは、地球全体の生態系のバランスを保つうえで重要であり、その影響は必ず私たちの生活にも返ってきます。
国際ニュースとして伝えられるのは、しばしば大きな会議や政策の動きですが、その背景には、毎日同じ山道を歩き続けるTangさんのような人々の仕事があります。そうした現場の物語に目を向けることで、環境問題や生物多様性を、自分ごととして考えるきっかけを持つことができます。
日常から始める、小さな一歩
Baihe国家級自然保護区での取り組みは、壮大な自然と向き合う現場の話であると同時に、私たち一人ひとりの暮らしともつながっています。たとえば、環境に配慮したライフスタイルを選ぶことや、野生動物保護について知ること、こうしたニュースを周りの人と共有して対話を始めることも、小さな一歩になり得ます。
険しい山道を今日も歩き続けるTangさんの姿から、人と自然がどうすれば共に生きていけるのかを、あらためて考えてみるタイミングかもしれません。遠く離れた森の物語は、静かに私たちの価値観を揺さぶり、日常の選択を見直すヒントを与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








