上海eスポーツマスターズ2024閉幕 社会に広がる観るeスポーツの力 video poster
2024年12月8日、中国東部の上海市・静安体育センターで開かれていた国際eスポーツ大会「Shanghai Esports Masters(SEM)」が5日間の日程を終えて閉幕しました。本記事では、この上海eスポーツマスターズ2024が示したeスポーツの現在地を振り返ります。
上海eスポーツマスターズ2024とは
Shanghai Esports Masters(SEM)は2019年に始まった大会で、2024年大会には世界各地から約100人の選手が集まり、4つの種目で競い合いました。会場となったのは上海市の静安体育センターで、5日間にわたり熱戦が繰り広げられました。
大会は、ゲームメーカー主催のプロ向けイベントとは異なる「第三者主催」のモデルケースとして位置づけられています。これまでの試行錯誤と蓄積を経て、現在では第三者によるeスポーツイベントのベンチマーク(基準)とみなされる存在になりつつあります。
観客層の変化:プロ大会から「市民のイベント」へ
SEMの歩みは、近年のeスポーツ観客の変化を映し出しているとされています。大会がスタートした当初と比べると、eスポーツに対する社会的な理解は着実に広がりました。eスポーツの大会は、ゲームメーカーが主催するプロ選手中心のイベントにとどまらず、一般の人々も参加できる「国民的なイベント」という側面も強めています。
観客の声からも、その変化が伝わってきます。eスポーツファンのZhou Beiqing(周ベイチン)さんは、CGTNの番組「Sports Scene」の取材に対し「eスポーツが好きな人が増えているという事実は、eスポーツが社会や世論から認められつつあることを示していると思います。eスポーツ愛好家として、自分は正しい趣味を選んだと感じています」と話しました。
こうした受け止め方は、eスポーツが単なる「ゲーム」から、観戦文化やコミュニティを伴う新しい娯楽・競技として根づき始めていることを物語っています。
トップ選手が集結した2024年大会
2024年のSEMには、これまで以上に多くのトップ選手が参加しました。なかでも注目を集めたのが、杭州アジア大会(アジア競技大会)の「Arena of Valor」金メダリストであるLuo Siyuan(ルオ・スーユアン)選手と、「VALORANT」のプロ選手・Liang Youhao(リャン・ヨウハオ)選手です。
Luo選手は、人気タイトル「Honor of Kings」を代表して開会式に出場できたことについて、「Honor of Kingsを代表して開会式に参加できるのは大きな名誉です。大会でも全力を尽くしますし、また国のために戦う機会を得たいと思っています」と語りました。
一方、Liang選手はeスポーツそのものの未来に期待を寄せます。「eスポーツの未来が繁栄してほしいと思っています。そこには他では得られない情熱や熱気があり、特別な雰囲気を感じられるからです」と話し、大会を通じて感じた高揚感を言葉にしました。
こうしたトップ選手の参加は、SEMがプロシーンにとっても重要な舞台となりつつあることを示しています。
第三者イベントとして広がる役割
大会事務局の事務総長を務めるZhu Qinqin氏によると、SEMには当初から「より多くの人にeスポーツを理解してもらい、観戦を楽しんでもらう」という狙いが込められていました。
Zhu氏は、「今後、eスポーツの観客はゲームメーカーのイベントだけに限定されることはないと考えています。私たちは、より多くの人にeスポーツを理解し、知ってもらい、観てもらいたいのです」と述べています。そのうえで、上海の多くの部門や指導的立場の人々も大会に関わっている現状に触れ、「第三者イベントを通じてeスポーツの影響力と人気を拡大していく必要があります。そうした思いから、上海Esports Mastersを立ち上げました」と語りました。
ゲームメーカー主導ではない第三者イベントだからこそ、複数のゲームタイトルやコミュニティを束ね、都市レベルでの関与も得やすいという側面があります。SEMの取り組みは、その可能性を具体的な形で示した事例と言えるでしょう。
社会がeスポーツをどう受け止めるか
2024年の上海eスポーツマスターズが示したのは、eスポーツが「遊び」か「スポーツ」かという単純な二択では語りきれない、多層的な広がりです。プロ選手にとっては競技の場であり、観客にとっては新しいエンターテインメントであり、都市にとっては若い世代とつながる新たなプラットフォームにもなりつつあります。
Zhouさんの「正しい趣味を選んだ」という言葉や、Luo選手・Liang選手のコメントからは、eスポーツに関わる人々が自分の活動や情熱に誇りを持ち始めていることがうかがえます。こうした自己認識の変化は、社会の側の見方の変化とも密接に結びついています。
第三者主催の国際大会として成長してきた上海eスポーツマスターズの歩みは、これからeスポーツとどう向き合うかを考えるうえで、一つのヒントを与えてくれます。私たち一人ひとりが、eスポーツをどのような文化として育てていくのか。その問いは、2024年の上海から、今も静かに投げかけられているようです。
Reference(s):
cgtn.com








