TikTok米国禁止巡り最高裁に時間稼ぎ要請 バイトダンスが差し止め求める
短編動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社バイトダンスが、米国での事業売却か禁止のいずれかを迫る新法の執行を一時停止するよう、控訴裁判所に緊急で求めました。最終的な判断が米連邦最高裁に委ねられる可能性が高まるなか、バイデン大統領とトランプ次期大統領という二つの政権をまたぐかたちで、TikTokの行方が問われています。
バイトダンスとTikTokが求めた「一時停止」とは
バイトダンスと短編動画アプリのTikTokは、米コロンビア特別区連邦控訴裁判所に対し、新しい法律の適用を一時的に止めるよう求める緊急申し立てを行いました。この法律は、親会社バイトダンスに対し、2026年1月19日までに米国内のTikTok事業を売却するか、さもなければアプリの禁止に直面すると定めています。
申し立てで両社は、この法律が発効すれば、米国内で1億7,000万人超の月間利用者を抱えるTikTokが「大統領就任式の前日」に事実上の閉鎖に追い込まれ、「米国で最も人気のある言論プラットフォームの一つ」が失われると警告しました。
12月6日の控訴裁判決と「6週間」のカウントダウン
2025年12月6日、同じ控訴裁判所の3人の裁判官による合議体は、バイトダンスにTikTokの売却か禁止かを迫るこの法律を支持する判断を示しました。判決は、翌年初めまでに売却が行われない場合、約6週間後には禁止措置が発動される可能性があるとする内容です。
この決定を受け、バイトダンスとTikTokは、米連邦最高裁に事件の審理を求める準備を進める一方、その判断が出るまでの間に法律が発効してしまう事態を避けるため、執行停止を求めた形です。
最高裁が事件を扱う可能性に賭ける理由
両社の弁護士は、最高裁がこの事件を受理し、下級審の判断を覆す可能性は「十分に高い」と主張しています。そのためにも、議論のための時間を確保する一時停止が必要だと訴えています。
一方で米司法省は、控訴裁に対し、この執行停止の要請を速やかに退けるよう求めています。そうすることで、バイトダンスとTikTokが最高裁に提出する審理要請書(上告申立て)を、最高裁が検討する時間を最大化できると説明しています。
バイデン大統領とトランプ次期大統領 TikTokの命運を握るのは誰か
両社は申し立ての中で、トランプ次期大統領がTikTokの禁止を阻止する考えを公言していることにも触れています。執行を遅らせることができれば、「次期政権が自らの立場を決める時間が生まれ、それによって差し迫った不利益と最高裁判断の必要性がそもそもなくなる可能性がある」と主張しました。
今回の控訴裁の決定は、最高裁がこれを覆さない限り、まずはバイデン大統領の判断にTikTokの命運を委ねる構図になります。バイデン大統領には、2026年1月19日の売却期限を最大90日延長する権限があり、その後、1月20日に就任するトランプ氏がどのような対応を取るかが次の焦点となります。
米国外の利用者や企業にも波及する可能性
TikTokは今回、米国内だけでなく、海外の利用者や企業にも影響が広がると警告しています。裁判所の判断により法律の効力がそのまま発生した場合、米国外の数千万人の利用者に対してもサービスが中断されるおそれがあるとしています。
さらに、TikTokの維持や配信、アプリの更新などを支える米国内の数百のサービス事業者は、2026年1月19日以降、TikTokプラットフォームへのサポートを提供できなくなると指摘しました。
- 米国のTikTok利用者:アプリ自体が利用不能になる可能性
- 米国外のTikTok利用者:米国側のシステム停止の影響でサービスに中断のリスク
- 米国内のIT事業者:保守・配信・アップデートなどの取引が途絶する可能性
12月16日までに控訴裁が判断へ 今後のタイムライン
TikTokは、執行停止の要請について、控訴裁が2025年12月16日までに判断を示すよう求めています。この日までに一時停止が認められるかどうかが、今後の展開を大きく左右します。
ここから先の主なポイントは次のとおりです。
- 控訴裁が執行停止を認めるか、それとも退けるか
- 米連邦最高裁が事件を受理し、判断を示すかどうか
- バイデン大統領が売却期限の90日延長に踏み切るか
- トランプ次期大統領が就任後、TikTokをどう扱うか
日本の読者にとっての意味 「プラットフォーム」と「言論」の行方
今回のTikTokを巡る動きは、単に一つの人気アプリの行方にとどまらず、国際ニュースとしても注目すべきポイントを含んでいます。米国の法律と裁判所の判断が、世界中で利用されているデジタル・プラットフォームのあり方をどこまで左右しうるのか、という問いが突きつけられているからです。
特に、TikTokが「言論プラットフォーム」として位置づけられていることは、オンライン言論の自由と、安全や規制とのバランスをどう取るかという議論にもつながります。日本に暮らす私たちにとっても、次のような点で無関係ではありません。
- SNSや動画アプリが、他国の法律や政治によって制限される可能性
- 国境を越えて利用されるサービスに、どの国のルールがどこまで適用されるのか
- 巨大プラットフォームの「公共性」をどう考えるか
12月16日までの控訴裁の判断、そしてその先の最高裁や政権の動きは、国際ニュースとしてもテック業界のニュースとしても、今後しばらく注目を集め続けそうです。
Reference(s):
ByteDance, TikTok seek to pause U.S. ban pending Supreme Court review
cgtn.com







