中国の中型ロケット「XZY-1」、メタンエンジン静的燃焼試験に成功
中国の民間宇宙企業が開発する中型ロケット「XZY-1」が、2025年12月5日に山東省の海陽東方航天港で静的燃焼試験に成功しました。液体酸素・メタン推進剤を用いる再使用型ロケットの実証として、国際ニュースとしても注目される一歩です。
山東省・海陽で20秒間のフルパワー燃焼
開発企業によると、「XZY-1」検証ロケットは、山東省海陽にある東方航天港で静的燃焼試験を実施しました。静的燃焼試験とは、ロケット本体を地上の試験台に固定したままエンジンを始動し、推力や各システムの挙動を確認する試験です。
- 試験日時:2025年12月5日
- 場所:山東省・海陽東方航天港
- 内容:フルパワーで20秒間の静的燃焼
- エンジン:推力約70トン級の液体酸素・メタンエンジン
試験中、70トン級エンジンは予定どおり点火・運転され、システム全体が想定通りに作動したとされています。この結果、ロケット全体の運用信頼性が確認されたとともに、試験設備の性能も検証されました。
「XZY-1」検証ロケットとは
「XZY-1」は、中国で初めてとされる、ステンレス鋼製の機体を採用した中型の液体ロケットです。開発を担当するのは、北京建源科技(スペース・エポック)と呼ばれる企業です。
ロケットの大きな特徴は次の通りです。
- 中型打ち上げロケット:衛星などを軌道へ運ぶ中型クラスの打ち上げ機として設計
- ステンレス鋼ボディ:機体構造にステンレス鋼を採用し、強度と耐熱性を重視
- 液体酸素・メタンエンジン:液体酸素を酸化剤、メタンを燃料とする新しいタイプの液体ロケットエンジン
- 海上回収・再使用:打ち上げ後に海上へ着水し、回収して再使用する構想を持つ
液体酸素・メタンの組み合わせは、従来の液体酸素・ケロシン(灯油)などと比べて、燃焼がクリーンで機関の再使用に適しているとされます。「XZY-1」は、その特性を活かした再使用型ロケット技術の検証機という位置づけです。
試験台そのものの性能も検証
今回の静的燃焼試験では、ロケット本体だけでなく、試験台の機能もあわせて確認されました。スペース・エポックが自社開発した試験台は、鋼鉄製の高い構造物にロケットを固定し、水冷式の流路を備えていると説明されています。
高推力ロケットエンジンの試験では、噴出する高温ガスの処理や振動、騒音への対応が大きな課題になります。水冷式の流路を通じて排気を制御することで、より安全に高出力試験を行える設計になっているとみられます。
開発側は、試験を通じてこの試験台の性能と運用方法を確認できたとし、今後のロケット開発に向けた基盤が整いつつあることを示しました。
なぜこのニュースが重要なのか
今回の「XZY-1」静的燃焼試験成功は、単なる一企業の技術ニュースにとどまらず、宇宙開発や国際ニュースを追ううえでいくつかの意味を持ちます。
1. 再使用型ロケットの流れの中で
近年、世界の宇宙業界では、ロケットを一度きりで使い捨てるのではなく、再使用することでコストを下げる動きが強まっています。「XZY-1」は、海上着水後に回収し、再使用することを目指すコンセプトを持っており、この流れに位置づけられるプロジェクトです。
再使用が進めば、衛星打ち上げや宇宙輸送のコストが下がり、通信、観測、位置情報サービスなど、私たちの生活につながる宇宙ビジネスの裾野が広がる可能性があります。
2. メタンエンジンという新しい選択肢
液体酸素・メタンエンジンは、これまで主流だった他の燃料に比べ、次のような特徴があるとされます。
- 燃焼が比較的クリーンで、エンジン内部に残るすすが少ない
- 再使用時のメンテナンス負担を減らしやすいと期待される
- 推進剤の取り扱いに一定の利点があるとされる
「XZY-1」の静的燃焼試験は、こうしたメタンエンジン技術を、実際のロケット形態でどこまで安定運用できるかを確かめるステップと見ることができます。
3. 民間セクターによる宇宙開発の広がり
今回のロケットを開発したスペース・エポックのような企業は、国家プロジェクトとは別に、民間の視点から宇宙開発に参入しています。民間企業がロケットを自社で設計し、試験設備まで自前で整える動きは、宇宙産業全体の厚みを増す要素になります。
プレーヤーが増えることで、
- 技術開発のスピードアップ
- コスト構造やビジネスモデルの多様化
- 国際協力や商業打ち上げサービスの選択肢拡大
といった変化が起きる可能性があり、国際ニュースとしても継続的にフォローしたい分野です。
今後の注目ポイント
今回の静的燃焼試験は、「XZY-1」検証ロケットの開発プロセスの中で重要なマイルストーンですが、実際に宇宙へ到達するまでには、さらに多くの段階があります。
読者として今後チェックしたいのは、例えば次のような点です。
- 静的燃焼試験の時間延長や複数回試験の実施
- ロケット全段を用いた総合試験の進展
- 初飛行試験(打ち上げ)の時期や実験内容
- 海上着水・回収といった再使用プロセスの実証
こうしたニュースが続けば、「XZY-1」が単なる検証機から、商業打ち上げなど実用的なミッションにどこまで近づいていくのかを、時間軸で追うことができます。
ニュースをどう捉えるか:日常との接点
宇宙開発のニュースは、一見すると専門家だけの話題に見えますが、実際には次のような日常との接点があります。
- 通信衛星や観測衛星を通じて、インターネット、動画配信、天気予報などのインフラを支える
- 位置情報サービスや物流に影響し、移動や買い物の利便性と直結する
- 新たな産業や雇用を生み、各国・各地域の産業構造を変化させる
中国発のロケット開発動向を日本語で丁寧に追うことは、国際ニュースを「遠い世界の話」としてではなく、自分の仕事や暮らしの延長線上にあるテーマとして考えるきっかけになります。
今回の「XZY-1」静的燃焼試験成功を入口に、再使用ロケット、メタンエンジン、民間宇宙企業といったキーワードを少しずつ押さえておくと、今後の宇宙関連ニュースがぐっと読みやすくなるはずです。
Reference(s):
China conducts static firing test of XZY-1 verification rocket
cgtn.com








