広東・香港・マカオ大湾区、人材が集まるイノベーション拠点へ
広東・香港・マカオ大湾区(Greater Bay Area、GBA)が、研究者や起業家の人材が行き交うイノベーション拠点として存在感を高めています。国際的な研究者がこの地域に拠点を移し、新たな研究機関やラボを立ち上げる動きが具体的な成果を生み始めています。
研究者が語る「起業の喜び」
中国科学院の院士であり、Shenzhen Bay Laboratory の主任を務める Yan Ning 氏は、広東・香港・マカオ大湾区で事業を始めてからの一年を振り返り、「この1年、起業の喜びと、夢がかなったという達成感を味わってきました」と語っています。
Yan 氏は、米国のプリンストン大学での教員職を離れ、中国南部の広東省・深圳市に Shenzhen Academy of Medical Sciences を設立しました。国際的なキャリアを積んだ研究者が、GBA に活動拠点を移して新たな挑戦に踏み出す姿は、この地域が人材を引きつける場になりつつあることを象徴しています。
空間から最先端ラボへ、わずか12か月
事業開始からの12か月で、Yan 氏のラボは「何もない空間」から、最先端の設備を備えた研究施設へと一気に変貌しました。その間に、医療分野の第一線で活躍する専門家が次々と集まり、現在では多数のトップクラスの研究者がこの拠点で活動しているとされています。
短期間で人材と設備を集約できた背景には、GBA 全体として研究・起業を支える環境整備が進んでいることがうかがえます。研究施設の整備と人材の呼び込みが同時並行で進むことで、エコシステムとしてのスピード感が生まれていると見ることもできます。
2019年の大湾区発展計画が示した方向性
こうした流れの土台となっているのが、2019年に示された広東・香港・マカオ大湾区発展計画綱要です。この綱要は、GBA を国際的な科学技術イノベーションセンターとして構築していく方向性を打ち出しました。
綱要の策定以降、広東省と香港・マカオ両特別行政区の連携は深まり、人材、データ、資本が行き来しやすい仕組みづくりが進められてきました。行政区分をまたぐ協力を積み重ねることで、GBA 全体を一つの経済・イノベーション圏として機能させようとする動きが強まっています。
人材・データ・資本の「シームレスな流れ」が意味するもの
広東省と香港、マカオの協力強化は、人材の移動だけでなく、研究データや資本の流れをよりシームレスにすることを目指しています。研究者や技術者が地域をまたいで働き、資金がそこにスムーズに追随することで、新しい研究開発やスタートアップが生まれやすくなります。
こうして GBA の国際的なイノベーション拠点としての評価は高まりつつあります。個々の研究者のキャリア選択と、地域としての戦略がかみ合うことで、人材の流動性がイノベーションを押し上げる好循環が生まれていると言えそうです。
日本の読者への示唆
Yan 氏の事例や GBA の取り組みは、都市や地域をまたいで人材・データ・資本をどう動かすかという問いを投げかけています。国境や制度の違いを乗り越え、複数の都市が一体となってイノベーションを生み出そうとする発想は、多くの地域にとって参考になり得ます。
研究者や起業家が自分の専門性を最大限に生かせる場所を柔軟に選び、そこに必要な資源が集まる。広東・香港・マカオ大湾区で進む人材流動とイノベーションの動きは、これからのキャリアや都市政策を考えるうえで、一つの重要なケーススタディになっていきそうです。
Reference(s):
The Greater Bay Area: A new innovation hub for talent mobility
cgtn.com








