国際映画ニュース:ゴールデンココナッツ賞審査員Li Ruijun監督が語る「良い映画」 video poster
最近開催された第6回海南島国際映画祭ゴールデンココナッツ賞の短編部門で審査員を務めた映画監督・Li Ruijunが、「良い映画」とは何か、その基準をCGTNの取材で語りました。故郷の農村へのまなざし、プロと一般の人びとの共演、そして短編映画で最も重視するオリジナリティ。国境を越えて共有できる映画の力について考えるヒントが詰まっています。
故郷の土地を撮り続ける理由
Li監督は「私は自分が生まれた土地について映画を撮り続けている」と話します。幼少期を農村で過ごし、学校の休みには農作業を手伝うのが当たり前という環境で育ったことから、農業のある暮らしの細部まで自然と身についていきました。
映画作りを始めてから気づいたのは、こうした農村の生活、とくに自分の出身地であるヘシ回廊のような地域を描いた作品がほとんどないことでした。考えれば考えるほど、この土地の人びとの物語を伝える必要性を感じ、「一人の映画作家として描く責任がある」と捉えるようになったといいます。
もしすでに多くの映画が農村を題材にしているのなら、都市を舞台にした作品に移っていたかもしれない、とLi監督は振り返ります。しかし現状ではまだ十分に光が当たっていないと感じるからこそ、「今はこの土地と人びとに集中し続けている」のです。
プロと「普通の人」がつくるリアルな質感
Li監督の作品は現実の生活を丁寧に描くリアリズムのスタイルが特徴です。その中でも、農村の「生活の手触り」をどう映像に落とし込むかが重要なテーマになっています。
農村の日常を理解するには、ときに数カ月から半年ほど、その環境の中で実際に暮らしてみる必要があります。方言での会話、重労働を伴う農作業のシーンなど、プロの俳優にとっては身体的にも精神的にも大きな負担になる要素が少なくありません。
そこでLi監督が見いだしたのが、プロの俳優とその土地で暮らす一般の人びとを一緒に出演させるという方法です。一般の人びとの自然な佇まいや話し方が、プロの演技に生じがちな作りものらしさをやわらげ、逆にプロの俳優の持つ感情表現の技術は、一般の出演者が感情の深みにより早くたどり着く助けになります。
Li監督は、この相互作用によって両者のあいだに調和が生まれ、本物に近い農村の空気感が画面の中に立ち上がると考えています。「バランスをどう取るかこそが、農村のリアルさをつかまえる鍵だ」と強調します。
短編映画で最も重視する「オリジナリティ」
今回のゴールデンココナッツ賞短編部門の審査員として、Li監督が何より重視したのが「オリジナリティ(独自性)」です。「芸術作品の核心的な価値は、新鮮でユニークなものを提示できるかどうかにある」と語ります。
そのうえで、映像や音の使い方、物語の切り口などに新しい視点や技法があるかどうかも重要なポイントになります。もちろんストーリーそのものも大切ですが、Li監督にとっては、作品の独自性がとくに際立っているかどうかが最終的な評価を左右します。
審査員の出身地がヨーロッパであろうと、アジアや中国であろうと、「感情に訴える物語」を求める点では共通しているといいます。観客の心を動かし、かつ強いオリジナリティを備えた作品こそが、国や地域を超えて支持される短編映画だという視点です。
クリエイターへのヒント:自分の土地から、独自の表現へ
Li監督の言葉は、これから映画作りや映像制作を目指す人びとにとっても、いくつかの示唆を与えてくれます。ポイントを整理すると次のようになります。
- 自分がよく知る「土地」やコミュニティに根ざした物語から出発する
- プロの俳優だけに頼らず、その場で暮らす人びとの存在を積極的に取り入れる
- 物語の構造だけでなく、映像・音・視点のすべてで新しさを追求する
- 国や地域が違っても共有できる感情の力を信じ、観客の心を動かすことを目指す
国際映画祭の短編部門は、新しい才能や実験的な表現が一気に開花する場でもあります。Li監督が語る「土地へのまなざし」と「オリジナリティ重視」の姿勢は、これからの国際ニュースや映画文化を読み解くうえで、一つの重要な視点になりそうです。
Reference(s):
Golden Coconut Award juror Li Ruijun shares criteria for great films
cgtn.com








