新疆ウイグル南部で初の風力発電所が送電網に全面接続 中国西端の再エネ拠点
標高3,000メートル級の山岳地帯で建設された中国・新疆ウイグル自治区南部の初の風力発電プロジェクトが、現地時間の土曜日、送電網にフル出力で接続されました。中国西端の風力発電所として、再生可能エネルギー拡大の新たな一歩となる動きが国際ニュースとして伝えられています。
新疆ウイグル南部で初の風力発電プロジェクト
今回送電を開始したのは、中国北西部に位置する新疆ウイグル自治区南部で初となる風力発電プロジェクトです。場所はパミール高原の一角、キジルス・キルギス自治州ウチュ県にあり、中国で最も西にある風力発電所とされています。
運営主体は、エネルギー企業グループ CHN Energy 傘下の Longyuan Power(龍源電力)新疆支社で、同支社の張世剛(Zhang Shigang)董事長がプロジェクトの概要を説明しています。
プロジェクトの規模と特徴
標高2,800〜3,300メートルの38基の風車
この風力発電所には、合計38基の風車が設置されています。それぞれの風車は標高2,800〜3,300メートルの高地に建てられており、総設備容量は20万キロワットに達します。
高地での風力発電は、気圧や気温の変化、強い風や厳しい気象条件など、建設・運用の難易度が高いとされます。その中で今回のような大規模プロジェクトが送電網に接続されたことは、中国の山岳地域での再生可能エネルギー開発にとって一つの節目といえます。
どれだけの電力と環境効果があるのか
張氏によると、この風力発電所は年間約5億4,000万キロワット時の電力を生み出す見込みです。これは、およそ30万世帯が1年間使用する電力をまかなえる規模とされています。
また、同じ電力量を石炭火力で発電した場合と比べて、年間約16万4,800トンの石炭消費を抑え、二酸化炭素排出量を約45万トン削減できると説明しています。温室効果ガスの排出削減と化石燃料依存の低減という、再生可能エネルギーの典型的な効果が具体的な数字で示されました。
高地風力発電が持つ意味
標高3,000メートル前後の高地での風力発電は、技術面・運用面ともにハードルが高いとされています。一方で、風況が安定している地域も多く、風力資源のポテンシャルは大きいと考えられています。
今回の新疆ウイグル自治区南部の事例は、こうした高地・山岳地域での風力発電が現実的な選択肢になり得ることを示すものといえます。送電網にフル出力で接続されたことで、山岳地帯の自然条件を生かしつつ、安定的に電力を供給するモデルケースとして注目されます。
新疆と再生可能エネルギーのこれから
新疆ウイグル自治区は広大な土地と多様な自然条件を持つ地域で、風力や太陽光など再生可能エネルギーの開発余地が大きいとされています。今回のプロジェクトは、その中でも南部の山岳地帯に焦点を当てた点で特徴的です。
送電網への全面接続は、単に一つの発電所の稼働を意味するだけでなく、地域全体でのエネルギーミックス(電源構成)の変化を促す一歩にもなります。化石燃料中心の発電から、風力や太陽光などを組み合わせた電源構成へと移行する試みは、世界各地のエネルギー政策の共通テーマでもあります。
2025年12月現在、世界各地で再生可能エネルギーへの転換が進む中、このような山岳地域の事例は、エネルギーインフラの将来像を考える材料の一つになっています。
日本から見る「遠い場所のエネルギー転換」
日本から見ると、新疆ウイグル自治区南部やパミール高原は、地理的にも文化的にも遠い場所に感じられるかもしれません。しかし、そこで起きている再生可能エネルギーの動きは、次のような問いを私たちにも投げかけています。
- 電力をどこで、どのように作り、どこへ届けるのか
- 高地や山岳、沿岸部など、それぞれの地域の条件をどう生かすのか
- 環境負荷を抑えながら、安定した電力供給をどう両立させるのか
遠く離れた地域の国際ニュースを日本語で丁寧に追うことは、自国のエネルギーや環境政策を考えるヒントにもなります。新疆ウイグル自治区南部で始まったこの風力発電プロジェクトが、今後どのように地域社会や周辺の電力システムに影響を与えていくのか、引き続き注目したいところです。
Reference(s):
cgtn.com








