北京・朝陽区はなぜ「都市のオアシス」なのか 緑地48%の街づくり
高層ビルが立ち並ぶ中国の首都・北京の中で、朝陽区は自然と共生する「都市のオアシス」として存在感を高めています。緑地が生活のすぐそばにある都市づくりは、国際ニュースとしても注目されるテーマです。
コンクリートジャングルの中の水辺空間
北京市中心部に位置する朝陽区には、梁マ川や東バ郊野公園といった水辺と緑が一体になったエリアがあります。週末や仕事帰りには、多くの人がここで自転車を走らせたり、犬の散歩をしたり、水路をクルーズしてゆったりとした時間を過ごしています。
川沿いの遊歩道や公園は、ただの景観ではなく、住民が日常的にリセットできる「身近な自然」として機能しています。都市生活のスピードを少しだけ緩めてくれる空間が、区のあちこちに点在しているのが特徴です。
数字で見る朝陽区の緑
朝陽区の都市緑化は、数字で見るとその規模がよりはっきりと見えてきます。
- 森林被覆率は48.08%に達し、区全体の約半分が森林で覆われています。
- 都市の緑地面積と公園の緑地面積は北京市内でトップクラスです。
- フェンスや門を設けない開放的な公園は68か所、その面積は合計で2,100ヘクタール超に及びます。
- 徒歩や自転車で移動できる緑道ネットワークは、区内に約310キロ整備されています。
「ボーダーフリー(境界のない)公園」が多いことは、誰もが24時間いつでも自由に緑地にアクセスできるという意味でも重要です。塀に囲まれた公園ではなく、街路と自然がゆるやかにつながる設計が進んでいます。
暮らしを支えるグリーンインフラ
こうした緑地や緑道は、観光向けの景観ではなく、住民の日常を支えるインフラとして機能しています。朝のジョギングや通勤時の自転車通行路、子どもの遊び場、高齢者の散歩コースまで、さまざまな世代がそれぞれのペースで利用できるのが特徴です。
特に緑道ネットワークは、車中心ではなく、人の歩行や自転車移動を前提にした都市設計の一部といえます。木陰のある道が自宅から川沿い、公園へとつながっていくことで、移動そのものがリフレッシュの時間になります。
人の表情から見える「都市の未来」
国際メディアによる写真シリーズなどでは、北京の市民が水辺でくつろいだり、家族で散歩したりする姿が切り取られています。そこで印象的なのは、壮大な都市景観ではなく、緑の中で自然体で過ごす人びとの表情です。
朝陽区のように、緑地と生活空間が近い都市モデルは、「People's City, Better Future(人が主役の都市、より良い未来)」という方向性を象徴するものとしても読み取ることができます。都市をどう成長させるかだけでなく、そこで暮らす人の時間をどう豊かにできるかが問われているともいえます。
日本から考える、これからの都市像
日本でも、ヒートアイランド対策や健康づくり、防災などの観点から、都市の緑化や公園の再整備が進みつつあります。北京・朝陽区のように、森林被覆率を高め、境界の少ない公園や長距離の緑道を張り巡らせる発想は、今後の都市づくりを考えるうえで一つのヒントになりそうです。
コンクリートだけではない大都市・北京の姿は、「住みやすい街とは何か」「人と自然の距離をどう設計するか」という問いを、あらためて私たちに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








