北京・永定河に希少な野鳥が戻る 水環境改善の「バロメーター」
北京の永定河や密雲貯水池に希少な野鳥が次々と戻り、北京の水環境と生態系の改善を象徴する動きとして注目されています。野鳥の数や種類の変化は、生態環境の「今」を映す分かりやすい指標です。
永定河にハヤブサなど希少種 バードウォッチャーが殺到
秋が深まり渡り鳥のシーズンが始まると、北京の永定河にはペレグリンファルコン(ハヤブサの一種)やクロトビなど、希少な野鳥が次々と姿を見せています。現在では、こうした珍しい野鳥を含む数十種類の鳥が確認されており、北京の野鳥愛好家の間で「一度は見に行きたいスポット」として人気が高まっています。
川辺に双眼鏡やカメラを構える市民の姿も増え、都市の中で野生生物を観察できる場所として永定河の存在感が高まっています。野鳥との距離が近くなったことは、市民が身近な自然環境について考えるきっかけにもなっています。
野鳥は生態環境の「バロメーター」
野生の鳥は、その地域の生態環境を映し出す「バロメーター(気圧計)」と呼ばれることがあります。エサとなる魚や昆虫、水辺の植生、休息や営巣に適した場所など、さまざまな条件がそろって初めて、多様な鳥が集まるからです。
今回、永定河に希少な鳥が戻ってきたという事実は、少なくともその周辺の生態条件が以前より整ってきていることを示しています。水質や水量、川辺の環境などが鳥にとって暮らしやすい状態になってきたと考えられます。
密雲貯水池では1万羽超の渡り鳥が集結
同じ北京でも、永定河から離れた密雲貯水池の北東部では、鳥類生息地の強化を目的とした実証エリアで、ここ数カ月のあいだに1万羽を超える渡り鳥が集結しています。水辺の広がる貯水池周辺が、多くの渡り鳥にとって重要な休息地となっていることがうかがえます。
2023年12月末までに、密雲貯水池で確認された鳥類の種類は235種に達し、2020年と比べて45種増えました。そのうち、国家の第1級保護対象となっている一部の鳥も「常連」となりつつあります。単に鳥の数が増えただけでなく、「どんな鳥がいるか」という質の面でも変化が出ている点が見逃せません。
北京の水環境改善をどう読むか
永定河や密雲貯水池における野鳥の増加は、北京の水辺環境が改善しているサインとして受け止められています。野鳥の視点から見れば、「安全にとどまり、エサを得られる場所」が広がっていることを意味します。
この動きは、都市の発展と生物多様性の保全を両立させるうえで、示唆に富んでいます。水環境が良くなれば、人の生活にとっても次のようなメリットが期待できます。
- レクリエーションや観光など、自然と触れ合う機会の増加
- 地域の生態系への理解や関心の高まり
- 水資源や環境保全の重要性についての社会的な対話の促進
アジアの大都市が共有できる課題とヒント
北京での事例は、アジアの大都市が直面する課題と重なります。急速な都市化のなかで水環境や生物多様性をどう守り、回復させていくかは、東京を含む多くの都市に共通するテーマです。
永定河や密雲貯水池に戻ってきた野鳥たちは、単なる「珍しい観光資源」ではなく、都市と自然環境の関係を見直すための「生きた指標」としても捉えられます。今後、こうした動きがどのように広がっていくのか、注視していきたいところです。
Reference(s):
Return of birds highlights Beijing's better water environment
cgtn.com








