国連砂漠化対処条約COP16がリヤドで閉幕 39決定と120億ドル超の資金
サウジアラビアの首都リヤドで開かれていた国連砂漠化対処条約(UNCCD)第16回締約国会議(COP16)が、会期最終盤の土曜日に予定より早く閉幕しました。39本の決定文書の採択と120億ドル超の資金拠出がまとまり、干ばつや土地劣化とどう向き合うのかがあらためて問われています。
COP16は「Our Land. Our Future(私たちの土地、私たちの未来)」をテーマに、今月2日から13日までの日程で開催され、国連の土地分野では過去最大規模の会議となりました。中東・北アフリカ地域で初めて開かれるUNCCDのCOPという点でも注目を集めました。
干ばつ枠組みは合意に至らず、協議継続で一致
最終日には、新たな「干ばつ枠組み」をめぐる交渉が難航し、合意に必要な全会一致に達しませんでした。このため各国は、実質的な内容を決めるのではなく、これまでの議論を土台に協議を続けるという手続き的な決定を採択するにとどまりました。
この決定により、干ばつ対策の包括的な国際枠組みづくりは、2026年にモンゴルで開かれる予定のCOP17であらためて決着を図ることになります。期限は先送りされた形ですが、「議論の土台」はCOP16で積み上がったと位置づけられています。
39の決定が示す「土地と干ばつ」アジェンダの拡大
一方で、COP16全体としては39本の決定が採択されました。UNCCDのイブラヒム・ティアウ事務局長は閉会総会で、これらの決定が「世界中の政府だけでなく、民間セクター、先住民族、地域コミュニティにとっての指針になる」と強調しました。
ティアウ事務局長は、今回の会議を通じて、土地と干ばつの議題を特定の分野に閉じた議論から押し広げ、次のような相互に結びついた課題に取り組む世界的な努力の中核に据えることができたと評価しています。
- 気候変動への対応
- 生物多様性の損失を食い止める取り組み
- 干ばつや土地劣化に起因する食料不安
- 生計悪化に伴う移住・人口移動
- 資源をめぐる緊張も含むグローバルな安全保障
土地と干ばつを巡る議論が、環境政策だけでなく、食料・移民・安全保障を含む広い文脈で語られるようになったことが、今回のCOP16の大きな特徴だといえます。
120億ドル超の拠出、リヤド発の新パートナーシップ
会合の場では、世界各地の砂漠化、土地劣化、干ばつに取り組むために120億ドルを上回る資金が新たに約束されたとされています。とくに影響を受けやすい「最も脆弱な国々」を支えることに重点が置かれました。
象徴的な取り組みが、リヤド・グローバル干ばつ強靱性パートナーシップです。この新たな国際的イニシアチブには、世界で最も脆弱な80の国々が干ばつへの強さ(レジリエンス)を高めることを支援するため、121.5億ドル(12.15ビリオンドル)の資金が集まりました。
資金は、例えば次のような目的で活用されることが想定されています。
- 荒廃した土地の大規模な回復・再生プロジェクト
- 干ばつへの備えや早期警戒、リスク管理能力の強化
- 特に脆弱なコミュニティの生計や暮らしを支える取り組み
干ばつや土地劣化の影響が大きい国ほど財政的な余力は限られがちであり、こうした国際的なパートナーシップが実際の現場でどこまで機能するかが今後の焦点となります。
「希望はある」 ティアウ事務局長と議長国のメッセージ
干ばつ枠組みをめぐる合意が持ち越しになったにもかかわらず、ティアウ事務局長は閉会あいさつで、各国は干ばつという重大な課題にどう向き合うかについて最善の道を探るために「さらに時間を必要としている」としながらも、リヤド・グローバル干ばつ強靱性パートナーシップの立ち上げによって「希望に満ちている」と述べました。このパートナーシップを、現代で最も喫緊の課題の一つに取り組む画期的なイニシアチブだと位置づけています。
COP16議長を務めたアブドルラフマン・アブドルモフセン・アルファドリー氏は、サウジアラビアが土地回復の取り組みで各国と協力していく姿勢をあらためて示し、「今回の成果が、土地を保全し、その劣化を抑え、干ばつへの対応能力を高め、世界中のコミュニティの幸福に貢献する取り組みを大きく前進させる転換点となることを願う」と語りました。
日本から見えるCOP16の意味
今回のCOP16は、気候変動に関する会議とは別に、土地と干ばつに特化した国連の場で議論がどこまで深まっているかを示す出来事でもあります。日本国内では、砂漠化や深刻な干ばつは遠い世界の出来事に見えがちですが、食料安全保障や国際的な移住、さらに安全保障の安定性を通じて、間接的に私たちの暮らしと結びついています。
2026年に予定されるCOP17に向けて、各国が今回の手続き的決定と資金拠出をどこまで具体的な政策や現場の行動に落とし込んでいくのかが問われます。リヤドから示された「土地と干ばつを世界的課題の中核に据える」というメッセージが、今後どこまで実行に移されるのか、引き続き注視していく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








