クコの実が村を変えた 寧夏の紙切り職人・リー・シュインの物語 video poster
中国・寧夏回族自治区から届いた、少し不思議で温かい国際ニュースです。村の暮らしを変えた赤い果実「クコの実」と、その物語を紙の上に切り取る紙切り職人・リー・シュイン(Li Shuying)さんを紹介します。
寧夏の紙切り職人が見つけた「幸せのかたち」
リー・シュインさんは、中国・寧夏回族自治区出身の紙切りの職人であり、「紙切り」の無形文化遺産を受け継ぐ伝承者です。紙切りは、中国各地で親しまれてきた民間の装飾文化で、祝いごとや季節の行事のたびに、窓や壁を彩ってきました。
そんな伝統的な紙切りの世界で、リーさんの作品にははっきりした特徴があります。ほとんどの作品に、地元でなじみ深い赤い果実「クコの実(ゴジベリー)」が登場するのです。クコの実の形や枝ぶりが繰り返しモチーフとして使われ、一目で彼女の作だと分かるスタイルになっています。
なぜクコの実なのか——感謝から生まれたモチーフ
なぜ、ここまでクコの実にこだわるのでしょうか。その理由は、リーさんの個人的な思いと、村の歴史が重なったところにあります。
彼女のクコの実への深い愛着は、「感謝」の気持ちから生まれたものだとされています。小さな赤い実のおかげで、自分たちの村の暮らしが良い方向へと変わったからです。このクコの実が、リーさんと同じような村の人びとに収入や仕事の機会をもたらし、生活が以前より安定したと感じる人も増えました。
リーさんにとって、クコの実は単なる農産物ではなく、「村の人生を変えてくれた存在」です。その思いが、紙切りという伝統文化の中に何度も刻まれていきます。
無形文化遺産としての紙切りと地域のストーリー
紙切りは、「無形文化遺産」と呼ばれるジャンルに含まれる伝統文化です。建物や遺跡といった形のある文化財とは違い、人の手と口を通じて、技や模様、そこに込められた物語が受け継がれていきます。
リーさんが受け継ぐ紙切りの技は、昔ながらの模様をそのまま残すだけではありません。クコの実を中心に据えた作品には、次のような意味合いが重ねられています。
- 村の人びとの暮らしの変化を記録する「地域のアルバム」であること
- クコの実への感謝と誇りを形にする「感情の表現」であること
- 外から訪れる人に、寧夏という土地の物語を伝える「ささやかなメディア」であること
こうして見ると、紙切りは「過去の文化」ではなく、今を生きる人びとの物語を刻み続ける生きた表現だと言えます。
小さな赤い実がもたらした村の変化
リーさんの暮らす地域では、クコの実が村の暮らしを支える大切な存在になってきました。クコの実がきっかけとなり、村には次のような変化が生まれたと考えられます。
- クコの実が、農家にとって重要な現金収入の柱になったこと
- クコの実に関わる仕事を通じて、人びとが協力し合う機会が増えたこと
- クコの実を通じて、村の魅力や物語を外に伝えようとする動きが生まれていること
リーさんの紙切り作品は、こうした変化を象徴するように、クコの実と人びとの暮らしを常にセットで描き出します。「幸せを切り取る」という意味で、英語のタイトル「Cut Out For Happiness(幸せを切り取る)」がぴったりの世界です。
伝統文化は「懐かしさ」だけではない
リー・シュインさんの物語は、「伝統文化」が必ずしも過去だけを見ているわけではないことを教えてくれます。紙切りは古くからある技ですが、彼女が作品に込めているのは、いま現在の村の暮らしと、そこから生まれる感謝の気持ちです。
国際ニュースとしてこの話題が取り上げられる背景には、次のような問いかけもあります。
- 地域の特産品と文化を組み合わせると、どんな新しい価値が生まれるのか
- 「ありがとう」という気持ちを、言葉以外の形でどう表現できるのか
- 無形文化遺産を、若い世代にどう魅力的に伝えていくか
紙という身近な素材を、はさみ1本で切り出していく紙切り。その一枚一枚に、寧夏の村の人びとの歴史と希望、そしてクコの実への感謝が刻まれています。
私たちにとっての「クコの実」とは
遠く離れた中国・寧夏回族自治区の出来事であっても、「自分の暮らしを支えてくれているものは何か」を考えるきっかけになります。地域の特産品、日々の仕事、家族や友人——人それぞれの「小さな赤い実」があるはずです。
リー・シュインさんがクコの実を切り取り続けるように、私たちも自分の生活を支える存在に改めて目を向けてみる。その視線の先に、次の時代へと受け渡したい物語が見えてくるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








