中国本土・江蘇省のミルーシカを守るハーモニー・キーパーたち video poster
2025年のいま、国際ニュースとしても注目される野生動物保護の現場があります。中国本土・江蘇省のダーフォン・ミルー国立自然保護区では、ミルーシカ(英名:Pere David's deer)を守る守護者たちが、静かな闘いを続けています。
ミルーシカを見守るハーモニー・キーパーたち
ダーフォン・ミルー国立自然保護区のスタッフたちは、まさにHarmony Keepers(ハーモニー・キーパー)の名にふさわしい存在です。彼らの毎日の使命は、ミルーシカの暮らしを総合的に見守ることにあります。
具体的には、次のような仕事を担っています。
- ミルーシカの生息域や分布のモニタリング
- 個体ごとの健康状態のチェック
- 群れの移動や移動ルート(移動パターン)の観察
こうした地道な観察と記録が積み重なることで、ミルーシカの安全な暮らしが支えられています。
「鹿の保育士」ユ・シャオポンの一日
保護区のキーパー、ユ・シャオポンは、仲間から親しみを込めて「鹿の保育士(Deer Manny)」と呼ばれています。彼の役割は、飼育施設で暮らすミルーシカたちに、バランスの取れた栄養豊富な食事を届けることです。
飼育下で生まれ育つミルーシカにとって、食事は健康と成長の土台です。ユは、一頭一頭の状態を見ながら、必要な栄養が過不足なく行き渡るように細心の注意を払い、毎日のメニューを整えます。
穏やかな表情の裏側で、命を預かるプレッシャーと向き合い続ける。その姿は、人間の子どもを相手にする保育士とも重なって見えます。
土地とともに育ったレンジャー、ヤオ・ヤージュン
レンジャーのヤオ・ヤージュンは、ダーフォンで生まれ育ち、この土地に特別な思いを抱いています。彼の両親は、保護区の立ち上げに関わった創設メンバーでもあり、その背中を見て育ったヤオはいま、自らもレンジャーとして現場に立っています。
彼の一日は、天候に関わらず続くパトロールから始まります。雨の日も、強い日差しの下でも、ミルーシカの姿や足跡を確かめ、異変がないかを見回ります。
そして「野生のミルーシカが危険な状況にいる」という連絡が入ると、ヤオとチームはすぐに出動します。長年の経験を頼りに、弱ったり傷ついたりした鹿に近づき、安全を確保しながら保護区まで連れ帰るのです。
見えない犠牲と、それでも続ける理由
ミルーシカを守る仕事は、決して楽ではありません。レンジャーやキーパーたちは、家族と離れて過ごす長時間勤務が続くことも多く、現場では自分自身が危険にさらされる場面もあります。
それでも彼らがこの仕事を続けるのは、ミルーシカとの間に生まれた強い絆があるからです。長年にわたる世話や見守りを通じて、一頭一頭の性格やしぐさを理解し、その命を守ることに大きなやりがいを感じています。
「この鹿たちが無事に生きていけるなら、今日の疲れも報われる」――そんな静かな思いが、彼らを次のパトロールへと向かわせています。
ミルーシカの物語が投げかける問い
ダーフォン・ミルー国立自然保護区での取り組みは、中国本土の一つの保護区の話にとどまりません。野生動物と人間がどう共生していくのかという、世界共通のテーマを映し出しています。
私たちはふだん、遠い国の保護区で働くレンジャーたちのことを思い浮かべる機会は多くありません。しかし、彼らの静かな努力が、地球規模での生物多様性と自然環境を支える一助になっていることは確かです。
スマートフォンの画面越しに届くこうした物語に、少しだけ想像力を向けてみること。それは、国際ニュースを「どこか遠い出来事」ではなく、自分ごとの問題として考える一歩になるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








