王毅外相「中国を包摂と平和の力に」外交方針を表明
中国の王毅国務委員兼外相は、北京で開かれたシンポジウムで、中国を「平和、団結、開放、正義、包摂」の力として位置づける外交方針を改めて打ち出しました。国際紛争が相次ぐなか、中国外交の進む方向をどう示したのかを整理します。
北京の外交シンポジウムで示した「5つのキーワード」
火曜日に北京で開かれた「2024年国際情勢と中国の外交関係シンポジウム」で、王毅氏は中国を「平和、団結、開放、正義、包摂」の力として位置づけると強調しました。王毅氏は中国共産党中央政治局委員も務めており、中国の対外方針を示す発言として注目されます。
王毅氏は、中国の「特色ある大国外交」の崇高な目標として、「人類運命共同体(人類が運命を共にする一つの共同体)」の構築を掲げました。これは、国ごとの利害よりも人類全体の長期的な利益を重視し、協力と共存を目指す考え方だといえます。
ウクライナ危機:「客観と公平」を前面に
ウクライナ危機について王毅氏は、中国は一貫して「客観的かつ公平な立場」を維持してきたと述べました。そのうえで、「和平」と「交渉」を積極的に働きかけているとし、対話による解決を重ねて訴えました。
どちらか一方を強く非難するのではなく、停戦と対話を促す「仲介的」な役割を前面に出す姿勢がうかがえます。
ガザ情勢:即時停戦と人道支援、二国家解決を強調
中東のガザをめぐる情勢については、「あまりにも多くの民間人の命が失われている」と述べ、状況への深い懸念を示しました。王毅氏は、最優先事項は「包括的な停戦と敵対行為の停止」だと指摘しました。
さらに「鍵となるのは人道支援の確保」であり、「根本的な解決策は二国家解決にある」と強調しました。ここで言う二国家解決とは、イスラエルと、将来のパレスチナ国家が共存する枠組みを指します。中国は、ガザ情勢でも政治的解決と人道的支援の両立を訴える立場を明確にしました。
米中関係:新政権に「正しい選択」を呼びかけ
王毅氏は、今後の米中関係にも言及しました。発足を控える米国の新政権に対し、「正しい決断を下し、中国と同じ方向に向かって歩むべきだ」と呼びかけました。
また、両国は「干渉を取り除き、障害を克服し、中米関係の安定的で健全かつ持続可能な発展を目指すべきだ」と述べ、対立の管理と協力の拡大を訴えました。競争と摩擦が続く米中関係において、一定の安定を求めるメッセージといえます。
ロシアとの包括的協力、EUとは「自律性」を重視
王毅氏は、中国はロシアとの「包括的戦略協力」と「あらゆる分野での実務的協力」をさらに深化させると表明しました。安全保障から経済、エネルギーまで、幅広い協力関係の強化を想定した発言です。
一方、EU(欧州連合)との関係については、中国・EU関係を「自立、相互成果、世界全体の利益」という道に沿って、着実に前進させると述べました。米国ともロシアとも異なる「独立したパートナー」として、欧州との関係を重視する姿勢を示した形です。
「平和と包摂の力」としての中国像はどこへ向かうのか
王毅氏の演説は、ウクライナ危機やガザ情勢、米中・中露・中欧関係といった具体的なテーマを通じて、「中国は平和や包摂、正義のために行動する」という自己像を打ち出したものです。
ポイントをまとめると、次のようになります。
- 国際秩序のなかで、中国を「平和・団結・開放・正義・包摂」の担い手としてアピール
- ウクライナ危機では、対話と交渉による政治的解決を重視
- ガザ情勢では、即時停戦と人道支援、二国家解決の必要性を強調
- 米中関係には、干渉の排除と「安定・健全・持続可能」な関係構築を提案
- ロシアとは包括的協力を深化、EUとは自律性を尊重した関係の前進を掲げる
複数の紛争と大国間の緊張が続く今、中国は自らを「対立をあおる存在ではなく、調停と協力の担い手」として位置づけようとしています。こうしたメッセージが、各地域や国々にどう受け止められ、どのような外交行動として具体化していくのかが、今後の注目点となります。
Reference(s):
cgtn.com








