世界最大FPSO「M026」が中国から出航 ブラジル超深海油田へ向け航行開始
世界最大の浮体式石油・ガス生産設備(FPSO)とされる「M026 FPSO」が、中国東部・江蘇省啓東市のドックから出航しました。ブラジル沖の超深海油田で稼働する予定で、国際エネルギー市場でも注目されています。
世界最大FPSO「M026」が中国・啓東から出航
現地時間の月曜日、「M026 FPSO」が中国東部・江蘇省啓東市のドックを離れ、長江を通って曳航されました。この航行で、長江での曳航としては新たなトン数記録が打ち立てられたとされています。
「M026 FPSO」は、中国の造船企業であるCOSCO Shipping Heavy Industryの子会社、COSCO(Qidong)Offshoreが建造しました。出航後はブラジルの超深海油田開発プロジェクトに投入される予定です。
M026 FPSOの規模と能力
今回出航した「M026 FPSO」は、その規模と処理能力の大きさから「洋上の精油所(floating refinery)」とも呼ばれています。具体的なスペックは次の通りです。
- 全長:約335.31メートル
- 幅:60メートル
- 高さ:33.515メートル
- 曳航船団の全長:約784.2メートル(本船に加え、巡視船、タグボート、エスコート船などで構成)
- 原油生産能力:1日あたり18万バレル
- 天然ガス処理能力:1日あたり1,200万標準立方メートル
- 貯蔵能力:原油140万バレル
トン数と貯蔵能力の両面で、同種のFPSOとして世界最大級の記録を持つとされています。
FPSOとは何か──「洋上精油所」の役割
FPSOは「Floating Production Storage and Offloading」の略で、日本語では一般的に「浮体式生産貯蔵出荷設備」と訳されます。海上の油田やガス田で、採掘から一次処理、貯蔵、出荷までを一体で担うプラットフォームです。
今回の「M026 FPSO」のような大型設備は、陸上に精油所を建設しにくい遠隔地や超深海の油田開発において、重要な役割を果たします。船体ごと移動できるため、将来的に別の油田に転用できる柔軟性も持っています。
ブラジル沖の超深海油田と国際エネルギー
「M026 FPSO」は、ブラジル沖の超深海油田開発プロジェクトに配備される予定です。水深が深く、海底からの生産設備が複雑になるこうした海域では、大型FPSOの存在が事業の成否を左右します。
依然として世界の多くの地域で石油・ガスが重要なエネルギー源であるなか、こうした洋上生産設備は、エネルギー供給の安定性や各国の資源戦略に直結します。一方で、海洋環境保護や温室効果ガス削減とどのように両立させていくのかも、今後の議論の焦点となります。
日本やアジアの読者にとっての意味
今回のニュースは、中国の造船・海洋エンジニアリング技術の動向を示すだけでなく、アジアから世界のエネルギー開発にどのように関与していくのかを考える材料になります。
- 巨大FPSOの登場は、海洋資源開発の高度化と大規模化を象徴している
- エネルギー安全保障をめぐる各国の動きは、日本を含むアジアの経済や価格動向にも影響しうる
- 環境負荷を抑えつつエネルギーを確保するため、技術とルールづくりの両面での国際協力が一層重要になる
日々のニュースの一つとして流してしまうには惜しい、技術・エネルギー・国際関係が交差するトピックと言えます。今回の「M026 FPSO」の出航をきっかけに、海の上で進むエネルギー開発の現在地をあらためて見直してみてもよさそうです。
Reference(s):
cgtn.com








