中国・珠海とマカオを結ぶ両ナンバー救急車 グレーターベイエリアで医療連携強化
中国南部・広東省珠海市で、マカオ特別行政区との間をシームレスに行き来できる「両ナンバー」救急車が近く運用開始されます。重症患者の国境をまたぐ搬送を迅速にし、広東・香港・マカオを結ぶグレーターベイエリア(広東・香港・マカオ大湾区)での医療連携を一段と深める動きとして注目されています。
珠海とマカオをまたぐ「両ナンバー救急車」とは
珠海は、中国南部の広東省に位置し、マカオ特別行政区と隣接する都市です。この珠海で現在、広東省とマカオ双方のナンバープレートを備えた救急車4台が、最終的な承認を待っている段階にあります。
珠海市医学会の院前救急分会によると、これらの救急車が本格的に運用されれば、珠海とマカオの間で重症患者を搬送する際の手続きが大幅に簡素化される見通しです。国境をまたぐ救急搬送は、通行手続きや車両の制約がネックになりがちですが、両地域のナンバープレートを持つことで、そのハードルを下げる狙いがあります。
- 広東省とマカオの両方のナンバーを取得した専用救急車
- 厳しい時間制約のある重症患者の搬送ルートを拡充
- 事前手続きを簡素化し、現場判断を優先しやすい体制づくり
「救急車がどこまで走れるか」という制約を減らし、「必要なときに、必要な場所へ」という発想に近づけていく取り組みだと言えます。
広東・香港・マカオで進む救急医療の人材交流
両ナンバー救急車の整備と並行して、珠海はグレーターベイエリアでの人材交流にも力を入れています。今年、珠海は救急対応チームのメンバー12人を香港に派遣し、現地での研修に参加させました。
一方で、香港側からも救急医療の専門人材33人が、3回に分けて珠海を訪問。実務研修や意見交換を行い、現場レベルでのノウハウ共有が進んでいます。こうした双方向の交流は、制度や機材の標準化だけでなく、救急の判断やコミュニケーションの「共通言語」を育てるうえでも重要です。
合同訓練と学術交流で「いざ」というときを想定
珠海はこれまでに、グレーターベイエリアの枠組みの中で合同の救急訓練やシミュレーションを組織し、地域全体が参加する形での緊急対応演習や学術交流も積極的に行ってきました。
平時のうちから、複数の都市や機関が同じシナリオで訓練を重ねることで、大規模災害や広域的な事故が起きたときにも、連携しやすい基盤が整えられていきます。今回の両ナンバー救急車の導入は、その延長線上にある具体的なインフラ整備の一つと位置づけられます。
節目を前に加速するグレーターベイエリアの医療連携
珠海市の救急医療救援センターの楊麗娟(ヤン・リジュアン)主任は、両ナンバー救急車の導入と学術交流の拡充が、珠海・香港・マカオ特別行政区の間で救急医療協力を進めるうえで「新たな前進」となったと評価しています。
珠海とマカオを結ぶ救急車が本格的に走り出せば、地域住民にとっての選択肢は増えます。容体や専門分野に応じて、どの医療機関に搬送するのが最善かを、行政境界にとらわれずに考えやすくなるからです。「命の現場」では、国境や地域の線引きよりも、時間と距離が何よりも重要になります。
マカオは間もなく中国への返還25周年を迎えます。節目のタイミングに合わせるように、救急医療という暮らしに直結した分野での協力が形になりつつあることは、グレーターベイエリア全体の一体化の進み方を象徴する動きとも言えます。
制度面の調整や日常的な訓練、専門人材の行き来が積み重なって初めて、緊急時に機能するネットワークが生まれます。今回の両ナンバー救急車は、そのネットワークを視覚的にも分かりやすく示す存在です。ニュースとして追うだけでなく、「自分がもしその地域にいたら、どんな安心感につながるだろうか」と想像してみると、越境するインフラや協力が持つ意味が、少し具体的に見えてきます。
Reference(s):
Ambulances with Chinese mainland, Macao plates ready for service
cgtn.com








