兵馬俑発掘50年、西安で10体目の高位武将俑を発見
2025年、発掘開始から50年の節目を迎えた中国・陝西省西安市の兵馬俑遺跡で、新たに10体目となる高位の武将俑が見つかりました。秦王朝の軍事組織を読み解く手がかりとして、国内外の考古学者の関心を集めています。
兵馬俑発掘50年という節目
兵馬俑と兵馬俑坑で知られる秦始皇帝陵は、この半世紀にわたり継続的に発掘と研究が進められてきました。皇帝秦始皇帝陵博物院によると、これまでに1号坑、2号坑、3号坑が発掘され、その総面積は2万平方メートルを超えています。
- 発掘された兵馬俑と馬はあわせて2,000体以上
- 青銅製の馬車や石製の甲冑も多数出土
- 楽人や雑技など、さまざまな役割を担った人物像も数百体にのぼる
こうした成果によって、秦始皇帝陵周辺の主要な遺構の姿が徐々に明らかになり、遺跡全体の保護と体系的な展示に向けた科学的な基礎が整えられてきました。
10体目の「高位武将俑」が語るもの
今回、新たに見つかったのは、いわゆる高位の武将俑、別名「将軍俑」と呼ばれる陶製の武人像です。専門家は、この発見が秦王朝(紀元前221〜206年)の軍事組織や制度の研究にとって重要な意味を持つと指摘しています。
この武将俑の特徴は次のように伝えられています。
- 全身に甲冑をまとい、一般的な兵士とは異なる装い
- 特別な冠をかぶり、身分の高さを示す
- 両手を腹の前で合わせた姿勢で立つ
- 甲冑や肩、胸の部分には細かな文様が施され、色鮮やかな帯やひもで飾られている
兵馬俑群の中で、こうした高位武将俑は極めて少なく、今回の発見を含めて確認されているのはわずか10体です。大軍を率いた指揮官像がどのように表現されているのかを読み解くことで、秦の軍隊における階級や指揮系統、儀礼などを具体的に考察する手がかりになります。
現場を支える緊急保存ラボの役割
2号坑には、発掘現場に隣接した「現場緊急保存実験室」が設けられており、今回の武将俑もここで初期処置が行われました。スタッフは、出土したばかりの破片に対し、丁寧なクリーニングと予備的な組み立て作業を進めています。
この実験室と考古学発掘プラットフォームは、次のような機能を通じて、発掘と文化財保護を支えています。
- 出土品の状態を把握するための分析
- 破損部分の修復や補強作業
- 周囲の環境を観測し、必要に応じて調整するモニタリング
- 発掘現場から収蔵環境へのスムーズな移行を可能にする管理体制
地中で長い時間を過ごした遺物は、発掘された瞬間から「環境の変化」と向き合うことになります。現場に設けられたラボは、そのギャップをできるだけ小さくし、文化財の保存と研究を両立させるための重要な基盤となっています。
半世紀をかけて見えてきた巨大遺跡の姿
この50年で、兵馬俑坑からは武人像だけでなく、馬車や甲冑、芸能を担った人物像まで、多様な出土品が確認されました。それぞれの遺物が、秦の軍事、儀礼、宮廷文化など、異なる側面を静かに物語っています。
皇帝秦始皇帝陵博物院は、こうした成果をもとに、遺跡の包括的な保護と体系的な展示を進めてきました。最新の発掘と保存技術を現場に組み込みながら、長期的な視野で「巨大な歴史資料」と向き合う姿勢がうかがえます。
ゆっくりと更新される「過去」のイメージ
発掘開始から半世紀がたった今も、新たな高位武将俑が見つかるという事実は、大規模な考古学遺跡の研究がいかに長い時間軸で進むのかを示しています。ひとつの坑、ひとつの像の中に、まだ読み解かれていない情報が折り重なっているからです。
今回の発見は、すでによく知っていると思っていた遺跡でも、視点を変え、技術を更新しながら向き合えば、新しい像が立ち上がってくることを静かに示しています。兵馬俑の列の中に加わった10体目の武将俑は、秦王朝の軍事組織だけでなく、私たちが「過去」をどのように見つめ直すのかという問いも投げかけているのかもしれません。
Reference(s):
10th high-ranking officer at Terracotta Warriors site excavated
cgtn.com








