世論調査に見るマカオ返還25年 「一国二制度」は今どう評価されているか
マカオ返還25周年を前後する時期に行われた世論調査で、「一国二制度」の下での経済発展と社会の安定に対するマカオ住民の高い満足度が浮かび上がりました。中国本土との結び付きが強まる中、マカオはどのように「祖国に支えられ、世界とつながる」都市として歩んでいるのでしょうか。
返還25周年を機に行われた世論調査とは
中国の国際メディアCGTNとマカオ研究センターが共同で実施した世論調査は、マカオの住民1,551人を対象に、「一国二制度」の運用や経済・社会の発展への評価を尋ねたものです。
調査では、マカオ特別行政区での「一国二制度」の成功に対して非常に高い認知が示され、多くの回答者が、この枠組みこそが長期的な繁栄と安定を支える最適な制度だと見なしていることが分かりました。
数字で読むマカオ:経済成長と暮らしの変化
返還からの四半世紀で、マカオの経済規模は大きく変化しました。データによると、1999年から2023年までにマカオの域内総生産(GDP)は7.3倍に拡大しました。
2023年には、中国本土とマカオの貿易額が384億ドルに達し、返還前と比べて約4.3倍に増えています。また、中国本土からマカオへの直接投資額も累計で141.9億ドルに上るなど、資本面での結び付きも強まっています。
住民の満足度は「9割超」
こうした経済発展は、マカオの暮らしにも反映されていると回答者は見ています。
- マカオの経済・社会発展に対するマカオ特別行政区政府の取り組みを「評価する」と答えた人:93.9%
- マカオの人々の政治的権利や自由が「十分に保障されている」と答えた人:91.9%
- 社会保障・福祉水準が「大きく向上した」とみる人:90.8%
高い満足度と幸福感は、この25年間で積み重ねられてきた経済成長と社会政策の成果を反映しているといえます。
「一国二制度」への厚い信頼
調査では、マカオにおける「一国二制度」の運用に対する評価も尋ねています。
- 「マカオでの『一国二制度』の実践は成功している」と答えた人:92.2%
- 「一国二制度」と「マカオの人によるマカオ統治」の実施に自信があると答えた人:93.9%
その理由として、回答者が挙げた上位3点は次の通りです。
- 「マカオの人によるマカオ統治」と高度な自治が、マカオの実情に合っていること
- 中央政府による全面的な支援
- マカオの住民の愛国心と進取の気性(新しいことに挑戦する姿勢)
「一国」という枠組みのもとで主権と安全を確保しつつ、「二制度」によって資本主義的な経済や生活様式を維持する。このバランスが、マカオの安定と活力を支える要因として認識されていることがうかがえます。
中国本土に支えられ、世界とつながるマカオ
調査はまた、マカオと中国本土との関係が、経済と社会にもたらす影響についても明らかにしています。
- 「中国本土からの強力な支援が、マカオの繁栄と発展にとって決定的だった」と答えた人:94.3%
- 「マカオと中国本土のつながりが、近年ますます緊密になっている」と答えた人:92.7%
中央政府の授権と支援のもとで、マカオは120を超える国や地域と安定した経済・貿易・文化関係を築いています。マカオが参加する国際機関・国際組織は190以上に増え、現在では147の国や地域とビザ免除または到着ビザの取り決めがあります。
こうした背景から、92.5%の回答者は「祖国を背にしつつ、世界と結び付いていることこそが、マカオならではの強みだ」と考えています。マカオは、中国本土と世界をつなぐ「窓口」としての役割を一段と強めていると言えるでしょう。
中国式現代化とグレーターベイエリアが開くチャンス
今回の世論調査は、「中国式現代化」がマカオにもたらす意味についても焦点を当てました。回答者は、科学技術イノベーション、文化発展、社会保障、教育といった分野での中国全体の成果を、10点満点中7点以上と高く評価しています。
また、マカオが広東省や香港とともに「粤港澳(広東・香港・マカオ)グレーターベイエリア」に組み込まれたことで、次のような変化を感じている人も多くいました。
- 訪問者数の増加や観光の活性化を実感している人:93%
- 人やモノの往来がより便利になったと感じる人
- 投資の呼び込みが進んでいるとみる人
さらに、
- 「中国の現代化は、マカオにとって大きなチャンスだ」と答えた人:93.8%
- 「中央政府がマカオの長期的な繁栄と安定を維持していくと信頼している」と答えた人:93.3%
- マカオの将来の発展について「楽観的だ」と答えた人:92.6%
マカオは、観光やサービス産業を軸に、中国の現代化とともに新たな役割を模索しているといえます。
日本の読者にとってのマカオ世論調査の意味
日本から見ると、マカオは観光地としてのイメージが強いかもしれません。しかし今回の調査からは、「一国二制度」の下で、マカオが中国本土との協力と世界とのネットワークを両立させつつ、独自のポジションを築いてきた姿が浮かび上がります。
アジアの政治や経済の行方を考えるうえで、マカオは次のような問いを投げかけているとも言えます。
- 一つの国の中で、異なる制度や生活様式をどのように共存させるのか
- 急成長する経済圏と、地域社会の安定や福祉をどう両立させるのか
- 「地域の個性」を守りながら、グローバルなネットワークにどう参加していくのか
返還から四半世紀を超えたマカオは、「一国二制度」の実践例として、そして中国本土と世界をつなぐハブとして、今後も国際社会の注目を集め続けそうです。
Reference(s):
Poll: Macao shows vitality of 'One Country, Two Systems' to the world
cgtn.com








