兵馬俑2号坑で将校俑の頭部を精密抽出 彩色を守る最新発掘
中国北西部・陝西省西安市の兵馬俑坑で、将校とみられる俑(兵士像)の頭部が慎重に取り出されました。色鮮やかな彩色を傷つけないために、最新の分析とデジタル技術を総動員した、緻密な作業だったと伝えられています。
兵馬俑2号坑で「将校俑」の頭部を抽出
今回頭部が取り出されたのは、西安市の兵馬俑の発掘現場のひとつである2号坑です。専門家チームは、頭部を動かす前に時間をかけて準備を行い、発掘そのものより「準備と保護」に重点を置いたといいます。
発掘前に行われた入念な準備
発掘の現場では、単に土を取り除くだけではなく、俑の状態を総合的に把握し、失われやすい情報を保存することが重視されています。今回は、次のような作業が事前に行われました。
- 周囲の土壌の元素を分析し、俑や彩色に与える影響を調べる
- 俑の表面に残る色彩について、色データを記録・採取する
- 彩色の剥離を防ぐための「色彩補強」措置を施す
- 高精細な写真を撮影し、現在の状態を可視的に記録する
- 姿勢や破損状況をスケッチに描き起こす
- 複数回の3Dスキャンを行い、立体的な情報をデジタル保存する
こうしたプロセスを踏むことで、たとえ将来俑そのものに変化が起きても、当時の姿をデータとして検証できるようにしているとみられます。
「彩色俑」の頭部ならではの難しさ
専門家によると、彩色が残る俑の頭部を取り出す作業は、通常の素焼きの頭部とはまったく違う慎重さが求められるといいます。ほんのわずかな衝撃や湿度の変化でも、表面の絵の具がはがれ落ちてしまうおそれがあるためです。
今回の発掘では、頭部に載る冠の部分が、近くにある陶製の馬に強く押し付けられていないかどうかを、事前に綿密に確認しました。冠と馬のあいだに過度な圧力がかかっていると、どちらか一方を動かしただけで、もう一方が破損する危険があるからです。
発掘後の「湿度コントロール」がカギ
地中から取り出された俑は、長い年月を過ごした環境から、突然空気中の環境へと移されます。その際の温度や湿度の急激な変化は、ひび割れや彩色の剥離を引き起こす要因になります。
このため専門家チームは、頭部を取り出した後も湿度管理に細心の注意を払いました。発掘の瞬間だけでなく、その後の保存環境まで含めてコントロールすることが、文化財を守るうえで不可欠になっています。
3Dスキャンが拓く新しい考古学
今回のように、発掘現場で複数回の3Dスキャンが行われるケースは増えています。3Dデータがあれば、離れた場所にいる研究者同士が同じ俑を「共有」しながら議論することも可能になります。
また、立体データをもとに、将来的に展示用の模型を作ったり、失われた部分の復元を検討したりすることもできます。現場での記録とデジタル技術を組み合わせることで、考古学の可能性は広がりつつあります。
私たちがこのニュースから考えられること
一体の俑の頭部を取り出すために、これほど多くの準備と技術が投入されていることは、普段ニュースを読むだけでは見えにくいかもしれません。しかし、その裏側には「過去の情報をできるだけ損なわずに未来へ引き継ぐ」という共通の目的があります。
文化財保護や考古学のニュースは、一見すると遠い世界の話に感じられるかもしれません。それでも、研究者たちの地道な試みの積み重ねが、歴史の理解を深め、私たちのものの見方を少しずつ変えていくきっかけになっていきます。
Reference(s):
Officer figurine head retrieved from terracotta army's Pit No. 2
cgtn.com








