マカオと横琴が拓くハイテク拠点 イノベーションと人材育成が加速
マカオ特別行政区と広東省・横琴で、ハイテク産業と人材育成を組み合わせた成長モデルづくりが加速しています。中国南部の地域協力を軸にしたこの動きは、マカオ経済の多様化だけでなく、広域のイノベーション拠点づくりという面でも注目されています。
清華大出身の若手起業家が見た「マカオ+横琴」の可能性
2014年、北京の清華大学を卒業した雷震(Lei Zhen)さんは、進路としてマカオ特別行政区に腰を落ち着ける道を選びました。選んだのは、大都市ではなく、成長の余地が大きいとみたマカオとその周辺地域だったといえます。
雷さんは、中国南部の広東省珠海市で起業し、ナノ銀線と呼ばれる微細な金属材料を使った新素材の革新的な応用を核とする事業に取り組みました。ナノ銀線は、柔らかく透明性の高い電子部品などへの活用が期待される材料であり、ハイテク分野の中核技術の一つとされています。
2021年設立の横琴粤澳深度合作区へ拠点移転
2021年、中央政府は広東省珠海市の横琴に「広東・マカオ深合区(Guangdong-Macao In-Depth Cooperation Zone in Hengqin)」を設立しました。マカオと広東省の協力を一段と深めることを目的としたこの協力区は、産業と人材、制度の連携を進める新しい枠組みです。
これを機に、雷さんは企業の拠点を横琴の協力区へ移しました。マカオと横琴の資本や人材、税制上の優位性を最大限に活用し、生産体制を拡大しているといいます。
雷さんは「横琴には広大な産業空間と良好な支援環境があり、マカオのハイテク産業や多角化した産業の発展に幅広い舞台を提供している」と話し、起業家にとっての魅力を強調しています。
約6500社のマカオ関連企業が集まるイノベーション拠点に
現在、この協力区はイノベーションと起業のハブとして機能しつつあります。マカオ資本の企業がおよそ6,500社集積し、新しい産業のプラットフォームとなっているとされています。
マカオだけでは確保しづらい産業用地や研究開発スペースを横琴側が提供し、マカオが持つ国際的なつながりや人材を組み合わせることで、ハイテク分野や新産業の創出を後押しする構図です。
習近平国家主席「Macao+Hengqin」が担う3つの役割
こうした動きを受け、今週木曜日に横琴の協力区を視察した習近平国家主席は、マカオ特別行政区への3日間の訪問の一環として、「Macao+Hengqin」の意義を強調しました。
習主席によると、この枠組みは次の3つの意味を持つとされています。
- 一国二制度の実践を高める新たなモデル
- 広東・香港・マカオ大湾区(Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)建設を推進する新たな高地
- 国家のハイレベルな対外開放を実現する新たなプラットフォーム
マカオと横琴が一体となって役割を分担しながら発展することで、制度や税制の違いを生かしつつ、開放型の経済圏をつくる狙いがうかがえます。
マカオの成長モデルとしての「イノベーション+人材育成」
今回の事例は、マカオがカジノなどの観光産業にとどまらず、ハイテクや新素材といった分野で成長エンジンを増やそうとしている動きを象徴しているといえます。
ポイントは次の3つです。
- ナノテクノロジーなどの先端技術に挑戦するベンチャー企業の登場
- 横琴協力区を通じた資本・人材・税制面での支援
- 国家レベルの戦略と連動した長期的な産業育成
こうした仕組みにより、清華大学の卒業生である雷さんのような高度人材が、マカオと広東省の間を行き来しながら新しいビジネスに取り組む環境が整いつつあります。
読者が押さえておきたい視点
マカオと横琴の連携は、一つの都市や地域だけでは解決しづらい課題に対し、隣接地域が協力して産業と人材の土台をつくる試みと見ることができます。
- スタートアップにとって、国境や制度をまたいだ「エコシステム」をどう使いこなすか
- 地域協力が、若い技術者や研究者のキャリア選択にどのような新しい選択肢をもたらすか
- 一国二制度の枠組みが、経済とイノベーションの面でどのような成果を上げていくのか
今後、マカオと横琴の取り組みがどのように発展し、広東・香港・マカオ大湾区の中でどのような役割を果たしていくのか。国際ニュースとしてだけでなく、アジアの新しい成長モデルとして注視していく価値がありそうです。
Reference(s):
Macao boosts tech innovation, talent cultivation for improved growth
cgtn.com








