中国が世界初のメガワット級海水電解装置 洋上グリーン水素に道
中国海洋石油集団(CNOOC)が、世界で初めてメガワット級の海水電解式水素製造装置を完成させ、試運転に成功しました。海上の再生可能エネルギーを直接水素に変える新たなモデルとして注目されています。
この記事の3つのポイント
- CNOOCが世界初のメガワット級海水電解装置を開発し、試運転に成功
- コンテナ5基分の装置で、1時間あたり200標準立方メートルの高純度水素を製造
- 海水を直接利用する新方式で、洋上のグリーン水素生産モデルをめざす
世界初のメガワット級海水電解装置とは
国内紙の科技日報が金曜日に報じたところによると、この装置は水素製造用の海水電解装置として世界で初めてメガワット級に到達したとされています。科技日報は、この技術をCNOOCにとっての重要なブレークスルーだと評価しました。
メガワット級とは、装置が扱う電力の規模が大きく、実用的な水素生産に対応できるレベルにあることを意味します。試運転を終えたことで、海上での本格運用に向けた一歩を踏み出した形です。
コンテナ5基に収まるコンパクト設計
CNOOCのエンジニアである李志川氏によると、この海水電解装置の中核となるコンポーネントは、標準的な輸送用コンテナ5基分に収まるよう設計されています。これにより、海上のプラットフォームや洋上風力発電設備の近くなど、必要な場所へ柔軟に運び、設置することが可能になります。
李氏は、この装置が1時間あたり200標準立方メートルの水素を生産でき、水素の純度は99.999パーセントに達すると説明しています。高い純度の水素を安定して供給できることは、燃料電池や産業用途などへの利用を想定した場合に重要な条件です。
海水をそのまま使うことの挑戦と工夫
今回のシステムは、洋上風力や洋上太陽光などで発生する余剰電力を有効活用することを想定して設計されています。李氏は、海水電解には淡水電解にはない利点があり、海水は豊富だと指摘しています。
一方で、海水は塩分やさまざまな不純物を含むため、装置内部の金属部品や膜を傷めやすく、海水電解装置は損傷を受けやすいという課題があります。李氏のチームは、事前の淡水化や精製処理を行わずに、原海水をそのまま電解装置に送り込める新しい方式を開発しました。これにより、安定した長時間運転とコスト面での効率向上を両立させたとしています。
洋上グリーン水素という新しいエネルギーモデル
CNOOCの関係者によれば、この技術は海上で生み出された再生可能電力をその場で水素に変え、海上や陸上でのエネルギー消費の新しいモデルを築く可能性を持っています。陸上まで送電するのではなく、洋上で水素という形に変換して貯蔵・輸送できれば、風況や日射条件の良い海域をより柔軟に活用できる余地が広がります。
水素は燃焼しても二酸化炭素を排出しないエネルギーキャリアとして注目されており、再生可能エネルギー由来の電力を使って製造される水素は、しばしばグリーン水素と呼ばれます。海水電解と洋上再エネを組み合わせた今回の試みは、グリーン水素の新たな供給源を開拓する動きと位置づけられます。
日本とアジアのエネルギー転換への示唆
日本を含むアジアの多くの国や地域は、再生可能エネルギーと水素の活用を通じて脱炭素を進めようとしています。そのなかで、海に囲まれた地域が多いアジアにおいて、海水を直接利用した水素製造技術は注目すべき動きと言えます。
今回のCNOOCによる世界初のメガワット級海水電解装置の登場は、海上エネルギーと水素を組み合わせる構想が、概念段階から具体的な装置開発と試運転の段階へと進みつつあることを示しています。今後、どのような商用化の道筋が描かれていくのか、国際ニュースとして継続的にウォッチしていきたい分野です。
Reference(s):
China debuts world's 1st megawatt seawater electrolyzer for hydrogen
cgtn.com








