武夷山・桐木村の紅茶産業 松煙ラプサンスーチョンの先にある変化 video poster
中国南部の武夷山国家公園の中にある桐木村では、松の煙でいぶした紅茶「ラプサンスーチョン」が長く作られてきました。しかし近年、環境保護の機運が高まるなかで、伝統的な茶づくりは新たな試練に直面しています。村の茶農家たちは、どのようにしてこの変化に適応しようとしているのでしょうか。
武夷山国家公園・桐木村とは
桐木村は、世界的にも知られる武夷山国家公園の山あいに位置し、自然豊かな環境の中で暮らす人びとが代々お茶づくりを続けてきた地域です。この村の名前は、松煙香る紅茶ラプサンスーチョンとともに世界に広まりました。
松煙薫るラプサンスーチョンの伝統
ラプサンスーチョンは、茶葉を松の木を燃やした煙でいぶすことで、独特のスモーキーな香りをまとわせた紅茶として知られています。桐木村の人びとは、山で育った茶葉と松の木を使ったこの製法を受け継ぎ、村の重要な生業としてきました。
環境保護強化で揺れる「昔ながらのやり方」
一方で、武夷山国家公園を含む周辺では、自然環境を守るための取り組みが強まっています。森林の保全や大気環境への配慮が重視されるようになり、煙を多く出す昔ながらの製法は、ときに制約の対象となります。
燃料に使う木材の伐採や、製茶の際に発生する煙の問題などにより、「いつものやり方」で大量にいぶし茶を作り続けることは、以前よりも難しくなってきました。ラプサンスーチョンの伝統を守りたい桐木村の茶農家にとって、これは避けて通れない課題です。
茶農家たちの適応——「煙の先」を見据えた工夫
燻製に頼りすぎない紅茶づくりへ
桐木村の茶づくりは、松煙の香りだけに依存しない方向へと少しずつ広がりつつあります。茶葉そのものの味わいや、武夷山の自然がもたらす香りを前面に出した紅茶づくりに取り組むことで、環境への負荷を抑えながら、新しいスタイルの「武夷の紅茶」を提案しようとしています。
環境に配慮した加工方法の模索
伝統の「いぶし」は大切にしつつも、そのやり方を見直す動きも出ています。煙の量を抑えられる設備や、燃料の使い方を工夫することで、松の香りを完全に失うことなく、環境保護の流れに沿った製法を模索している茶農家もいます。
物語を伝えることで価値を高める
桐木村の紅茶は、単なる飲み物ではなく、山の暮らしや環境保護への姿勢を伝える「物語」としても発信され始めています。オンラインで背景や製法を丁寧に紹介したり、環境に配慮した取り組みを分かりやすく伝えたりすることで、消費者に新しい魅力として届けようとする動きです。
「伝統か環境か」ではなく、「伝統を未来につなぐ」選択
桐木村の茶産業が直面しているのは、伝統と環境保護をどう両立させるかという問いです。松煙でいぶすラプサンスーチョンという象徴的な紅茶を守りながらも、その作り方や量、見せ方を工夫することで、自然と共存する新しいあり方を探っています。
環境保護への関心が高まる今、こうした試みは桐木村だけの話ではありません。自然資源を背景に成り立ってきた産業が、持続可能な形へと変わろうとするとき、その現場には悩みと同時に、多くの創意工夫があります。
消費者として、何を選ぶか
私たちが日々飲む一杯のお茶の向こう側には、生産地の自然環境と、人びとの暮らしがあります。武夷山・桐木村のように、環境保護と伝統産業の両立を目指す地域のお茶を選ぶことは、その挑戦を支える一つの行動にもなりえます。
ラプサンスーチョンのような伝統的な紅茶を手に取るとき、「どこで、どのように作られているのか」という視点を少しだけ持ってみる。その小さな関心の積み重ねが、桐木村のような産地の未来を形づくる力になっていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








