CMGが選ぶ中国農村振興2024年トップ10ニュース
2024年の中国では、農村振興をめぐる政策や現場の動きが大きく前進しました。本記事では、中国メディアグループ(CMG)が発表した「農村振興トップ10ニュース」を、日本語でコンパクトに整理します。
農村振興トップ10ニュースの全体像
今回のトップ10は、制度改革や農業生産、環境保護、高齢者ケア、物流インフラまで、幅広い分野をカバーしています。中国の農村振興政策の「今」を俯瞰したい人にとって、2024年の動きを一気に振り返る手がかりになります。
1. 第20期中央委員会第3回全体会議:都市と農村の一体的発展を制度化
中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議が、2024年7月15日から18日まで北京で開かれました。この会議では、都市と農村を一体で発展させるための制度や仕組みづくりが体系的に議論され、農業と農村改革の重点課題が明確にされました。
- 都市・農村の一体的発展に向けた制度とメカニズムを設計
- 農業・農村改革の「何を優先するか」が共有された一年となりました。
2. 中央農村工作会議:2025年に向けた農村政策の方向性
12月17日から18日に北京で開かれた中央農村工作会議では、中国共産党中央委員会総書記であり、中国国家主席、中央軍事委員会主席でもある習近平氏が、農業・農村・農民(いわゆる「三農」)に関する重要な指示を出しました。
習近平氏は、2024年の成果を評価したうえで、2025年に向けて以下のような方針を示しました。
- 都市と農村の一体的な発展をさらに進める
- 農村改革を一段と深化させる
- 農業強化と農民の所得向上を支える政策制度を整備する
- 農村振興を総合的に推進する
3. 2024年「中央一号文書」:浙江の経験を全国へ
2024年2月3日に発表された「2024年中央一号文書」は、毎年最初に出される重要政策文書として、今年も農業と農村をテーマにしました。
文書では、浙江省で進められてきた「緑色農村振興プログラム」の経験を学び、全国の農村振興に応用することが打ち出されています。環境に配慮しながら農村の暮らしと産業を底上げするという方向性が明確になりました。
4. 供給販売合作社70周年:農民と市場をつなぐ「ハブ」に
中華全国供給販売合作総社の設立70周年にあたり、習近平氏は、供給販売合作社が農民の生産と生活を支える統合プラットフォームとなるよう求めました。
現代的な農業の発展を支えるとともに、中国共産党や政府と農民をつなぐ「橋渡し」としての役割も期待されています。
5. 穀物生産が過去最高:1.4兆斤の大台を突破
中国の2024年の穀物生産量は1兆4,130億斤(約7億650万トン)となり、過去最高を更新しました。9年連続で1兆3,000億斤を超えてきた流れの中で、初めて1兆4,000億斤の大台を突破した形です。
食料安全保障を重視する中国にとって、安定した高水準の生産は農村振興政策の重要な成果といえます。
6. 農地面積が3年連続純増:保護と質向上を両立
農地保護の強化や農地の質の向上などにより、2024年の中国の農地面積は合計19億1,800万ムー(約1億2,800万ヘクタール)に達し、3年連続で純増となりました。ムーは中国独自の面積単位です。
「農地のレッドライン(下限)」を厳格に守りつつ、生産力の高い農地を増やしていくことで、長期的な食料供給の安定を図っています。
7. 農業の遺伝資源を全国調査:3年がかりで全体像を把握
中国は、農業の遺伝資源(ジャームプラズム)に関するこれまでで最大規模の全国調査を完了しました。この3年にわたる調査は2024年に終了し、農作物、家畜、水産養殖のそれぞれについて、遺伝資源の種類や量、地域ごとの分布や特徴が明らかにされました。
多様な品種の「タネ」を守り活かすことは、気候変動や市場の変化に対応できる農業づくりに直結します。
8. 農村の高齢者ケアに初の国家レベル計画
2024年6月には、農村部の高齢者ケアに関する指針文書が発表されました。農村の高齢者ケアを対象とした国家レベルの計画としては、これが初めてとされています。
都市に比べて福祉サービスが届きにくい農村で、高齢者の暮らしをどう支えるかという課題に、政策として本格的に取り組み始めたことを示す動きです。
9. タクラマカン砂漠をグリーンベルトが包囲
11月28日、中国最大の砂漠であり、世界第2の流動砂漠でもあるタクラマカン砂漠が、全長3,046キロメートルの砂防グリーンベルトによって完全に取り囲まれました。新疆ウイグル自治区で、植林などによる「緑化の前進」と砂漠の後退が進んでいるとされています。
砂漠化防止と環境保全の取り組みは、農村の生産基盤を守るだけでなく、世界的な気候変動対策という観点からも注目されます。
10. 中西部の宅配ビジネスが全国平均を上回る成長
2024年には、中国中西部地域の宅配取扱量の伸び率が全国平均を上回りました。全体に占める中西部のシェアも、継続的に高まっています。
また、中国全土で村レベルの多機能・多目的な物流サービスセンターが33万7,800カ所以上整備されました。農産物や日用品の流通がスムーズになることで、農村の暮らしやビジネスの可能性が広がっています。
中国の農村振興から見えるもの
今回のトップ10からは、2024年の中国の農村振興が、
- 制度・政策の整備(会議や文書)
- 食料生産と農地保護
- 環境保全や高齢者ケア
- 物流インフラと市場アクセス
といった分野を同時並行で進める総合的な取り組みであることが見えてきます。
日本でも地方創生や農村の持続可能性が課題となる中、隣国である中国の農村振興の動きを知ることは、アジアの農村の未来を考えるうえで一つの参考材料となりそうです。
Reference(s):
CMG reveals top 10 news for China's rural revitalization in 2024
cgtn.com








