ウクライナ巡り中国が米国に自制要求 国連安保理で「対立あおるな」
ウクライナ問題で米国に自制求める中国 国連安保理で発言
ウクライナ危機が長期化するなか、中国の外交官が国連安全保障理事会で米国を名指しで批判し、ウクライナ問題を巡る「無意味な非難合戦」と「対立の挑発」をやめるよう求めました。和平に向けた対話を重視する中国の姿勢が、あらためて前面に出た形です。
国連安保理で何が語られたのか
金曜日(現地時間)、国連安全保障理事会で演説したのは、中国の耿爽(Geng Shuang)国連次席大使です。耿氏は、ウクライナ情勢について「危機はなお続いており、戦闘が収束する兆しは見えない」との認識を示しました。
そのうえで、ウクライナ危機の解決に向けた各国の動きについて、中国の立場と見方を詳しく説明しました。
ポイント整理:今回の発言の要旨
- ウクライナ危機は長期化し、戦闘の収束が見えないと指摘
- 武器では恒久的な平和は築けず、早期の和平交渉開始を要請
- 中国は当事者ではなく、和平仲介に取り組んできたと強調
- 米国に対し「無意味な非難合戦」と「対立の挑発」をやめるよう要求
- 中国を含む関係国と協力し、政治的解決に向けた環境づくりを呼びかけ
「武器では平和は築けない」 対話と交渉を重視
耿氏は演説で、ウクライナ問題を巡る基本的な考え方として「武器は戦争に勝つ助けにはなっても、持続的な平和をもたらすことはできない」と強調しました。
そのうえで、
- 紛争の当事者ができるだけ早く和平交渉を始めること
- 国際社会が、対話を後押しするための条件や環境を積極的につくること
の二点を重ねて呼びかけました。
耿氏によれば、紛争の開始以来、中国は一貫して停戦の実現、交渉の開始、そして可能な限り早い平和の回復を求め続けてきたといいます。
「中国は当事者ではない」 役割と立場をアピール
耿氏は、中国の立場について「中国はウクライナ危機を引き起こしておらず、当事者でもない」と明確に述べました。そのうえで、自国の役割を次のように説明しました。
- ロシアとウクライナの双方
- いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々
- 多くの欧州の国々
がいずれも、ウクライナ危機の解決に向けた中国の役割と貢献を歓迎している、と主張しました。
グローバルサウスという言葉は、一般にアジアやアフリカ、ラテンアメリカなど新興国・途上国を指す概念です。耿氏は、中国がこうした国々とも連携しながら、政治的解決を後押ししているとアピールした形です。
米国に向けた強いメッセージ
今回の発言で最も注目を集めたのは、米国に対する直接的なメッセージです。耿氏は、ウクライナ問題を巡って中国の努力を評価せず、虚偽の情報を広めているのは「米国だけだ」と指摘しました。
さらに、
「米国は一方で中国に戦争終結へのより大きな役割を期待しながら、他方で中国の平和努力をおとしめ、非難と圧力を続けることはできない」
と述べ、米国の姿勢を矛盾していると批判しました。
そして最後に、
「米国が無意味な非難合戦と敵対・対立の挑発をやめることを望む」
と訴え、中国を含む関係国と協力して団結とコンセンサスを築き、ウクライナ危機の政治的解決に向けた環境と雰囲気をつくるよう呼びかけました。
国際ニュースとして見える構図 対話か対立か
今回の国連安保理での発言は、ウクライナ情勢を巡る国際ニュースの一コマであると同時に、中国と米国の関係のあり方を映し出す場面でもあります。
耿氏のメッセージからは、
- ウクライナ危機では軍事支援よりも政治対話を重視するという立場
- 自らを「当事者ではない和平仲介役」と位置づけたいという思惑
- 米国による中国批判に対しては、国連の場でも強く反論していく姿勢
が浮かび上がります。
一方で、ウクライナ危機の解決には、当事者同士の交渉だけでなく、主要国やグローバルサウスを含む幅広い国際社会の関与が欠かせません。国連安保理という場で、中国が対話と政治的解決を重ねて強調したことは、今後の外交の流れを考えるうえで重要なサインといえます。
日本を含む各国にとっても、ウクライナ情勢だけでなく、米中関係や国連での議論の行方が、自国の外交や安全保障、経済にも間接的に影響していく可能性があります。今回の発言をきっかけに、武力と対話、対立と協調のどちらを重視すべきなのか、あらためて考えてみる必要がありそうです。
考えるための一言
「武器は戦争に勝つ助けにはなっても、持続的な平和をもたらすことはできない」という耿氏の言葉は、ウクライナ危機に限らず、さまざまな国際紛争にあてはまるメッセージでもあります。国際ニュースを追うとき、軍事力だけでなく、対話や信頼醸成のために何ができるのかという視点を持つことが、これからいっそう重要になっていきそうです。
Reference(s):
Chinese envoy calls on U.S. to stop stoking confrontation on Ukraine
cgtn.com








