ミャンマーのクリスマス・モーターショー、中国EVが主役に
ミャンマー最大都市ヤンゴンで開かれたクリスマス・モーターショーで、中国の電気自動車(EV)ブランドが存在感を示しました。JMEVやBAIC、LEAP Motorなどの最新モデルが並び、同国で広がるEVシフトと中国EVの人気の高さを象徴するイベントとなりました。
ヤンゴンのクリスマス・モーターショー、中国EVが主役に
ヤンゴンでは、不動産展示会と同時開催のかたちで12月20日から22日までモーターショーが行われ、多くの来場者が最新の電気自動車を見学しました。主催者であり、ミャンマーの自動車会社のマネージャーでもあるSi Thu Aung氏は、クリスマスシーズンに合わせて企画したイベントだと説明します。
会場に並んだ車両の多くは中国ブランドのEVでした。Si Thu Aung氏は「ここに展示している車のほとんどは中国のEVで、JMEV、BAIC、LEAP Motorなどのブランドをそろえている」と述べ、中国メーカーがラインアップの中心となっていることを強調しました。
同氏によると、ミャンマーでは近年EV利用者が増えており、中国のEVは価格が手ごろなうえガソリンを必要としないことから、人気が高まっているといいます。また、ミャンマーに入ってくるEVの多くは中国ブランドであり、BYDなどが品質と技術の面で市場をリードしていると話しました。
静かで環境にやさしい――来場者の声
来場者の声からは、世代を問わずEVへの関心が広がっている様子が見えてきます。20代の女性Ma Zarさんは、将来の購入を検討してイベントに足を運びました。「EVを買いたいと思って来た。実際に見るのは初めてだが、このピンク色のJMEV EV3がとても気に入った」と話し、デザイン性やカラーにも強いこだわりを見せました。
66歳のU Kyaw Thanさんは妻とともに来場し、LEAP Motorの電気自動車を試乗しました。「高齢者にも扱いやすく、運転がしやすい。乗り心地も快適だ」と感想を語り、操作性を重視する世代にもEVが受け入れられつつあることをうかがわせました。
41歳のHan Yun Longさんは、LEAP Motorの小型モデルT03をじっくりと観察していました。「EVは静かで環境にやさしく、燃料を買う手間もなくなるので、電気自動車を購入したい」と話し、静粛性や環境面のメリットを重視していることを強調しました。
機能性と楽しさで勝負する中国EV
中国EVブランドの中には、日常の足としての実用性に加え、「乗る楽しさ」を売りにするモデルもあります。イベントに出展していたBAICの販売担当者Ko Zayさんによると、同社はEVとガソリン車の両方を展示しましたが、特に注目を集めたのがARCFOX Alpha T5というEVでした。
このモデルには、車内で歌えるカラオケ機能や飲み物などを冷やしておける小型の冷蔵ボックスが備えられており、来場者の多くが足を止めていたといいます。移動手段としてのクルマに加え、「移動する娯楽空間」としてのEVという新しいイメージも広がりつつあります。
パイロット事業から広がるミャンマーのEV市場
ミャンマーのEV市場は、政府が2023年に実施した1年間の電気自動車パイロット事業をきっかけに成長を続けています。公式報告によると、同国の道路交通管理局の統計では、2024年10月時点で登録された電気自動車は、乗用車に加え旅客バス3台を含めて5816台に達しました。
数字だけを見るとまだ小さな市場に見えますが、短期間で数千台規模まで増えたことは、EVが一過性のブームではなく、実際の移動手段として浸透しつつあることを示しています。今回のモーターショーで中国ブランドが中心的な役割を果たしたことは、ミャンマーのEV普及における中国メーカーの存在感の大きさを物語っています。
- 2023年:電気自動車の1年パイロット事業を実施
- 2024年10月時点:登録EVは5816台(旅客バス3台を含む)
- モーターショーではJMEV、BAIC、LEAP Motor、BYDなど中国ブランドが多数出展
課題は充電インフラ、それでも進むEVシフト
一方で、EVの本格的な普及にはインフラ整備という課題もあります。Si Thu Aung氏は、充電ステーションなどの設備がまだ十分ではない現状を認めたうえで、「時間はかかるが、多くの企業が必要なインフラの整備に取り組んでいる」と述べました。
充電網の整備には投資と時間が必要ですが、今回のイベントで見られたように、来場者が実車に触れて試乗し、「次に買うならEVも選択肢」と考え始めていることは、ミャンマー社会の意識変化を示しています。中国のEVブランドが、その入口として重要な役割を果たしているともいえます。
東南アジアの国々の中で、ミャンマーはまだEVの普及が初期段階といえますが、価格の手ごろさや環境面のメリットを背景に、中国製EVはすでに有力な選択肢となりつつあります。今後、どのようなスピードで充電インフラが整い、公共交通や地方都市へとEVが広がっていくのか。ミャンマーの動きは、アジアのモビリティの未来を考えるうえで、引き続き注目されるテーマになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








