中国と日本が人的交流で10項目合意 教育・観光・大阪万博まで
中国と日本が合意した「人的・文化交流の10項目」は、教育や観光、スポーツから大阪・関西万博まで幅広い分野をカバーし、両国関係を下支えする土台づくりを目指しています。
北京で10項目の「人的・文化交流コンセンサス」
2024年12月25日、北京で開かれた第2回中日ハイレベル人的・文化交流協議メカニズムの会合で、中国の王毅外相(中国共産党中央政治局委員)と日本の外相・岩屋毅氏が出席し、人的交流と文化交流を強化するための10項目のコンセンサス(合意事項)に到達しました。
合意は、若者の往来や留学、観光、スポーツ、メディア、ジェンダー平等、大阪・関西万博など、日常に近いテーマを網羅している点が特徴です。
合意された10の柱を整理する
今回の中日合意で示された10項目の主な内容は次のとおりです。
- 若者交流とスタディツアー:両国の若者による相互訪問を促進し、学校単位のスタディツアーなどを後押しする。
- 教育分野の協力:留学生交流を拡大し、小中学校の「姉妹校」づくりや大学間連携を進める。
- 観光協力の強化:観光客の相互訪問を増やすため、ビザ手続きなど各種の利便措置を導入する。
- 自治体・地域レベルの交流:中日知事フォーラムや「中日韓文化交流年」「東アジア文化都市」などの枠組みを活用し、姉妹都市や民間の交流を広げる。
- スポーツ交流:スポーツ分野での交流と協力を進め、2025年のハルビン・アジア冬季競技大会や2026年の愛知・名古屋アジア大会など大規模大会の開催を互いに支え合う。
- 文化・エンタメ産業:映画、ドラマ、音楽、出版、アニメ、ゲームなどで協力し、芸術団体の相互訪問や古典作品の翻訳・出版を支援する。
- メディアとシンクタンク:報道機関や研究機関の交流を通じて、中日関係についての理解を深め、世論環境を改善する。新しいメディア同士の協力も促す。
- 女性団体とジェンダー平等:女性団体の交流を進め、男女共同参画に関する経験を共有する。中国は、日本に対し、第四回世界女性会議から30周年を記念する「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するグローバル・リーダーズ会合」への参加を招請した。
- 大阪・関西万博の活用:2025年に開催された大阪・関西万博を中日両国民の交流と友好の場と位置づける。中国は日本の開催を支持し、日本は中国館の準備と運営を支援する方針を示した。
- 次回ハイレベル会合の開催:人的・文化交流に関する第3回ハイレベル協議メカニズムの会合を、日本で適切な時期に開催することで一致した。
なぜ人的交流が中日関係のカギになるのか
今回の合意は、一見するとソフトなテーマが並んでいるように見えますが、中日関係を安定させるための「土台づくり」として重要な意味を持っています。
- 政治・安全保障などの課題が注目を集めがちな中で、日常レベルの交流を厚くすることで、対立が生じても関係全体が揺らぎにくくなる。
- 若い世代ほど相手国に対する直接体験が少ないと言われる中で、留学やスタディツアー、観光を通じて、実際の人や社会に触れる機会を増やすことができる。
- 映画やアニメ、ゲームなどのコンテンツ産業は世論に与える影響が大きく、共同制作や相互上映が進めば、お互いの文化や価値観をより自然な形で理解しやすくなる。
- 自治体や民間団体同士のネットワークが広がれば、中央レベルの関係が難しい局面にあっても、地域間の協力が橋渡しの役割を果たせる。
歴史の記憶と「未来志向」をどう両立させるか
2025年は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年の節目の年です。王毅外相は、この歴史を記憶する目的は教訓をくみ取り、得られた平和を大切にすることだと強調しました。
そのうえで中国側は、日本が平和的発展への決意を改めて示し、「歴史を直視し、未来を見据える」精神で中国と協力し、中日関係の健全かつ安定した発展を共に推進していくことへの期待を表明しました。
岩屋外相は、中日間の人的交流プロジェクトの質を高め、姉妹都市交流を一層深めるとともに、人の往来を促進するための措置を拡充していく考えを示しています。
日本の読者にとっての意味
今回の10項目合意は、日本に暮らす私たちにも、次のようなかたちで身近な影響をもたらす可能性があります。
- 学校や自治体レベルでの中国との交流プログラムが増え、学生や若者が参加できる機会が広がるかもしれない。
- 観光分野の利便措置が進めば、出張や旅行で中国を訪れやすくなり、中国から日本を訪れる旅行者も増える可能性がある。
- 大阪・関西万博や国際スポーツ大会を通じて、中国との共同イベントや文化プログラムが企画され、地域経済や文化活動にも波及効果が期待できる。
- 映画やアニメ、ゲームなどの分野で日中の共同プロジェクトが増えれば、コンテンツ産業で働く人にとって新たな協業のチャンスになる。
- ジェンダー平等や男女共同参画の分野で相互に経験を共有することで、アジア全体の議論が深まる可能性がある。
これからどこに注目すべきか
今後の焦点は、今回の10項目がどこまで具体的なプロジェクトや制度として形になるかです。紙の上の合意にとどまらず、実際にどれだけ多くの人が交流の輪に参加できるかが問われます。
日本の読者としては、自治体の国際交流室や大学・学校の国際プログラム、文化・スポーツイベントなど、身近なところで中日交流に関する情報が出てこないか、少し意識して見てみるだけでも、ニュースの見え方が変わってくるはずです。
外交関係のニュースだけでは見えにくい「人と人のつながり」が、これからの中日関係をどこまで支え、変えていくのか。2025年という節目の年は、その行方をじっくりと見つめるタイミングと言えそうです。
Reference(s):
China, Japan reach 10-point consensus on people-to-people exchanges
cgtn.com







