中国の改革開放、2024年の転機を読む
2024年の中国では、改革開放の新たな段階に向けて、300を超える改革措置と市場開放策が集中的に打ち出されました。本稿では、その1年を振り返りながら、改革と開放がどのように進み、どんな変化が生まれつつあるのかを整理します。
中国の改革開放、2024年に走り出した新章
中国は「新時代の改革を包括的に深化させる」という長期的な使命のもと、2024年も改革路線を加速させました。7月には、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(いわゆる三中全会)が開かれ、中国式現代化を進める新たな章の幕開けと位置付けられました。
2024年を通じて、習近平国家主席は各地の視察で、あらゆる分野で改革を一段と深める必要性を繰り返し強調しました。5月に山東省で開かれた企業・学界との座談会では、「改革は発展の原動力だ」と述べ、中国の特色ある社会主義制度をより良く発展させ、ガバナンス能力を近代化することが改革の大きな目標だと指摘しました。
60条、300超の改革措置がカバーする広い領域
2024年の改革の深さと広がりを示したのが、三中全会で採択された「改革を包括的に一層深化させるための決定」です。ここには60条から成る条文と300を超える具体策が盛り込まれ、経済、政治、文化、社会だけでなく、国家安全保障や国防・軍事にまで及ぶ幅広い分野が対象となりました。
全体会議後は、これらの改革を素早く実行に移す動きが始まりました。10月には司法部と国家発展改革委員会が、民営経済の発展を後押しする「民営経済振興法」(仮称)の草案を公表し、意見募集を開始しました。成立すれば、民間経済の発展に焦点を当てた初の基礎的な法律となる見通しです。
同じく国家発展改革委員会は、市場参入を緩和するための特別措置のパッケージを打ち出し、国内における「全国統一市場」の構築に向けた指針も策定しました。企業がどの地域でもより公平な条件で競争できる環境づくりを目指しています。
経済の逆風に対するマクロ政策と債務対策
2024年前半、中国経済は複雑化する国際環境と国内構造調整の影響を受け、成長の下押し圧力に直面しました。こうした中で政府は、タイミングを見極めたマクロ経済政策を次々と打ち出しました。
具体的には、次のような「小刻みだが継続的な」措置が講じられました。
- 地方政府の債務枠を拡大し、隠れた債務を公的な枠組みに置き換えること
- 不動産分野の規制を緩和し、市場の安定を図ること
- 長期資金を株式市場などに誘導し、資本市場の機能を高めること
- 資金繰りに苦しむ企業への支援を強化すること
11月には、国務院が提出した法案が承認され、地方政府債務の上限を既存の隠れ債務と置き換える形で6兆元引き上げることが決まりました。これにより、2024年末までに地方政府の特別債務の上限は29.52兆元から35.52兆元へと拡大します。
さらに2024年からは、地方政府向けの新規特別債のうち毎年8000億元を5年間にわたり債務整理に充てる枠を設け、合計4兆元分の隠れ債務を置き換える計画も動き出しています。財政の透明性を高めつつ、地方経済の安定を図る狙いがあります。
こうした政策の効果はすでに表れ始めているとされます。第4四半期には個人消費の需要が持ち直し、株式市場や不動産市場の取引が活発化。企業の景況感や先行きへの期待も改善していると報告されています。
外国貿易の新たな成長エンジンと開放拡大
改革に加え、中国は2024年、対外開放と外国貿易の強化にも力を入れました。10月に安徽省を視察した際、習近平国家主席は、外資の誘致と安定的な流入を図りつつ、対外貿易の新たな成長エンジンを育てる必要性を強調しました。
世界の貿易が総じて低調だった2024年、中国は次のような政策パッケージを導入しました。
- 国際貿易に携わる企業への金融支援を強化
- 越境電子商取引や環境負荷の小さいグリーントレードといった新たな貿易形態の育成
- ビジネス目的で訪れる人々に対するビザ手続きの優遇など、サービス面での支援
その結果、主要な貿易相手の数は140余りから150を超えるまでに増加しました。中国税関総署によると、2024年1〜11月の貨物輸出入額は合計39.79兆元(約5.6兆ドル)に達し、前年同期比4.9パーセントの増加となりました。
ネガティブリスト縮小とサービス分野の開放
対外開放の制度面でも前進がありました。外資が参入できない分野を列挙した最新の「ネガティブリスト」の項目数は29まで削減され、製造業では外資に対する参入制限がすべて撤廃されました。さらに、通信、教育、文化、医療といった分野でも市場アクセスを広げる方針が示されています。
具体策としては、9都市で外資による全額出資の病院設立を認めたほか、データセンターやオンラインデータ処理などの分野でも、海外の投資家が全額出資で事業を行うことが可能になりました。デジタル経済とヘルスケアといった成長分野における国際連携の拡大が期待されています。
また、中国は外交関係を有するすべての後発開発途上国に対し、全品目の関税をゼロにする優遇措置を提供しています。これは、低所得国の輸出拡大と持続可能な発展を後押しする狙いがあります。
2024年の経験は何を示しているか
2024年の中国を振り返ると、制度改革、マクロ経済安定策、そして対外開放の強化という三つの軸が同時並行で進んだ一年だったと言えます。300を超える改革メニューと、債務整理を含む財政政策、貿易・投資の新たな開放策は、中国経済の構造調整と成長の質の向上を目指す取り組みでもあります。
今後、こうした改革と開放がどのような成果をもたらすのかは、中国自身だけでなく、世界経済や日本企業にとっても重要な関心事です。制度面の変化や市場開放の動きをフォローすることが、アジアと世界のダイナミクスを読み解くうえで、これまで以上に欠かせなくなっています。
Reference(s):
China in 2024: Major progress in deepening reform and opening up
cgtn.com








