新疆オアシスで進むスマートトマト栽培 デジタル農業が農家の夢を後押し
新疆生産建設兵団のデジタル農業公司(Xinjiang Production and Construction Corps Digital Agriculture Company)で、トマト栽培の機械化・知能化が耕地の95.6%まで広がっています。その中心にいるのが、技術者のJin Zhenzheng(ジン・ジェンジェン)さんです。
デジタル技術を取り入れたスマート農業の動きは世界各地で注目されていますが、砂漠地帯のオアシスでも静かに進んでいます。本記事では、その一端としてJinさんの取り組みを紹介します。
デジタル農業で変わるトマト畑
Jin Zhenzhengさんは、デジタル農業公司の技術者としてここ4年間、畑の現場でトマト栽培に向き合ってきました。
彼が推進してきたのは、従来の経験や勘に頼る栽培から、機械とデータを活用した「機械化・知能化」への転換です。現在、この兵団の耕地の95.6%で、トマト栽培の機械化・知能化が実現しているとされています。
機械化とは、耕耘や収穫などの作業を人力ではなく機械が担うこと、知能化とは、データやアルゴリズムを使って水や肥料の量、作業のタイミングなどをより合理的に決めていく考え方です。こうしたデジタル農業の発想が、広大なトマト畑に少しずつ根付きつつあります。
疑問から理解へ 技術者と農家の距離
新しい技術や考え方が畑に入ってくるとき、最初から歓迎されるとは限りません。Jinさんの取り組みも、当初は周囲から疑問の目で見られることがありました。
しかし、畑に足を運び続け、現場で向き合いながら説明を重ねるうちに、次第にその考え方が理解されるようになっていきました。
この4年間の地道な活動を通じて、Jinさんは「先進的な栽培コンセプト」を農家と共有し、現場と技術をつなぐ役割を担ってきました。デジタル農業の成果は、単なる機械やソフトウェアではなく、こうした人と人との信頼関係の上に成り立っています。
Yanqiオアシスで育つ「夢」
この取り組みが行われているのは、Yanqiと呼ばれるオアシス地帯です。砂漠の中に広がる緑の畑で、トマト栽培が行われています。
Jinさんが描いているのは、Yanqiの農家の人びとが、デジタル農業を通じて自分たちの夢を実現できる未来です。その夢は、より安定した収入かもしれませんし、家族と過ごす時間の確保や、持続可能な農業の実現かもしれません。
スマートなトマト栽培は、単に収量を増やすだけではなく、農家が自分たちでデータを読み取り、栽培を工夫し、地域の未来を主体的に描いていくための手段にもなり得ます。Jinさんは、デジタル農業によって、このオアシスの農家がそうした一歩を踏み出せることを願っています。
なぜ国際ニュースとして注目すべきか
トマト栽培の話は、一見すると地域限定のニュースに思えるかもしれません。しかし、砂漠のオアシスで進むデジタル農業の取り組みは、世界の農業や食料問題を考えるうえで示唆に富んでいます。
スマート農業は、次のような課題への一つの答えになり得ます。
- 農業の担い手不足にどう対応するか
- 水や肥料の無駄を減らし、環境への負荷をどう抑えるか
- 気候変動など不確実性の高い環境の中で、安定した生産をどう維持するか
Xinjiang Production and Construction Corpsのような組織で耕地の95.6%にまで機械化・知能化が広がっているという事実は、デジタル技術を本格的に導入したときのスケール感を示す一例といえます。
私たちがこのニュースから学べる視点
日本を含む多くの国や地域でも、農業のデジタル化やスマート農業のあり方が議論されています。Yanqiのオアシスでの取り組みから、次のようなポイントを考えることができます。
- 技術そのものだけでなく、それを現場に伝え続ける「人」の存在が不可欠であること
- 経験や勘を否定せず、データと組み合わせることで、新しい栽培の知恵が生まれる可能性があること
- 一つの地域で生まれたモデルは、条件の違いを踏まえつつ、他地域の参考事例になり得ること
スマートフォンでニュースを読む私たちにとっても、Yanqiのトマト畑で進むデジタル農業は、食卓に並ぶ野菜の裏側でどのような変化が起きているのかを考えるきっかけになります。
Jin Zhenzhengさんがこの4年間で築いてきた「質問から理解へ」というプロセスは、技術と社会をつなぐうえで、どの分野にも共通するヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








