中国・珠海の車暴走事件、被告に死刑判決 公共の安全を脅かす罪で
中国南部・広東省珠海市で発生した車暴走事件をめぐり、現地の裁判所が被告の男性に死刑判決を言い渡しました。多数の死傷者を出したこの事件は、中国の「公共の安全」をどう守るかというテーマを改めて浮かび上がらせています。
事件の概要:スポーツセンター前で多数の犠牲
事件が起きたのは2024年11月、広東省珠海市のスポーツセンター周辺でした。現地の報道によると、当時スポーツセンター付近には多くの人が集まっており、その群衆の中に乗用車が突っ込み、重大な人的被害が発生しました。
車を運転していたのはファン・ウェイチウ(Fan Weiqiu)被告とされています。捜査当局と検察当局は、被告が運転する車両が群衆に突っ込み、多数の死傷者を出した行為について、単なる交通事故ではなく、公共の安全そのものを危険にさらす重大な犯罪だと位置づけました。
裁判所の判断:死刑と「政治権利の終身剥奪」
珠海市の中級人民法院(珠海中級人民法院)は公判を公開の場で開き、ファン被告を「危険な方法による公共の安全危害罪」に問いました。この罪名は、中国の刑法で定められているもので、不特定多数の人びとの生命・身体・財産を危険にさらす行為に適用されます。
裁判所は、被告の行為が多数の死傷者を生じさせた極めて重大な結果をもたらしたと認定し、金曜日の判決公判で死刑を宣告しました。同時に、ファン被告の政治権利を終身剥奪する処分も科しています。
ここでいう「政治権利」には、選挙権や被選挙権など、国家や社会の政治活動に関わる権利が含まれます。中国では、重大な犯罪に対する付加刑として、こうした政治権利の剥奪が言い渡されることがあります。
「公共の安全を危険にさらす罪」とは何か
今回の珠海の事件では、被告は交通違反や過失犯としてではなく、「危険な方法による公共の安全危害罪」で裁かれました。この罪は、特定の相手とのトラブルや単なる不注意ではなく、不特定多数の人びとに被害が及びうる行為を対象とする点が特徴です。
交通事故との違い
- 交通事故の犯罪:通常は運転上の過失(不注意)によるものが多く、過失責任を問われます。
- 公共の安全危害罪:人や社会全体を危険にさらす行為として扱われ、結果や手段が極めて重大な場合に重い刑罰が科されます。
車両を使った行為でも、事件の状況や危険性、被害の規模によって、適用される罪名や量刑は大きく変わります。珠海の事案では、スポーツセンターに集まった多くの人びとを直撃し、社会に大きな衝撃を与えたことが、厳しい判断につながったとみられます。
都市空間での「車暴走リスク」をどう抑えるか
近年、世界各地の都市で、車両が人の集まる場所に突っ込む事件が報じられてきました。意図的な襲撃かどうかにかかわらず、自動車そのものが強い破壊力を持つ以上、人と車が近接する空間の安全設計は大きな課題になっています。
こうした事件を受け、各地で次のような対策が検討・実施されています。
- 物理的な防護策:歩行者空間と車道の間にバリケードやボラード(車止め)を設置し、車両が人混みに直接突っ込むことを防ぐ。
- イベント運営上の配慮:大規模イベントの際には周辺道路の一時封鎖や進入規制を行い、人の流れと車の流れを分離する。
- 監視と早期通報:監視カメラや通報アプリなどを活用し、異常な運転や不審な動きをできるだけ早く把握する。
2025年12月現在、珠海の事件発生からおよそ1年がたちましたが、人が集まる場所と車両が交錯する都市空間の安全をどう確保するかは、多くの国や地域に共通するテーマです。今回の判決は、中国が公共の安全を脅かす行為に厳しく対処していることを示すと同時に、社会全体で安全対策をどこまで深めていくかという問いも投げかけています。
通勤や買い物、イベント参加など、日常の移動そのものが安心して行える環境をどう守るのか。珠海の車暴走事件は、ニュースとしての衝撃を超えて、私たち一人ひとりの足元の安全を静かに見直させる出来事になっています。
Reference(s):
Man sentenced to death for causing heavy casualties in south China car-ramming case
cgtn.com








