中国の気候変動年次報告:2015~2023年は観測史上最も暖かい9年間
2015~2023年が観測史上で最も暖かい9年間となり、2024年も中国各地で記録的な豪雨や高温が相次いだことが、中国の気候変動対策に関する年次報告書で明らかになりました。気候危機の現状とともに、エネルギー転換やAI活用といった前向きな動きも浮かび上がっています。
中国の年次報告が示した「最も暖かい9年間」
北京で公表された2024年版の中国「気候変動への対応行動年次報告」によると、2015年から2023年までの9年間は、中国の気象観測史上、最も暖かい期間だったとされています。
報告書はまた、1980年から2023年にかけて、世界全体で自然災害の件数が年々増加していることも指摘しました。気候変動の影響が、単なる平均気温の上昇にとどまらず、災害の頻度や被害の拡大という形で表れていることを示しています。
2024年の中国で見られた異常気象
報告書は、2024年の最初の11か月に中国で観測された気象状況を詳しく振り返っています。
- 降水量は観測史上3番目の多さ
- 北部と南部の双方で、豪雨や大雨が頻発
- 広い範囲で極端な高温が発生
- 特に秋に台風が頻繁に上陸・接近
これらの状況は、地域ごとに形を変えながらも、異常気象が中国全土で同時多発的に起きていることを物語っています。降水と高温、台風といった複数の要因が重なることで、社会や経済への影響も複雑化しやすくなります。
求められるのは各国の連携
報告書は、気候変動による影響が一段と深刻化しているとして、各国が協力を強化するよう呼びかけています。温室効果ガスは国境を越えて拡散し、自然災害も一国の中だけで完結しないことが多いためです。
国際ニュースとして見ると、この呼びかけは、中国だけでなく、アジアや世界の国と地域がどのように連携し、排出削減と適応策を進めていくのかという問いを投げかけています。エネルギー政策、インフラ整備、都市計画など、多くの分野で長期的な視点が求められます。
前向きな変化:再エネ、EV、グリーン建築
一方で、この年次報告は中国国内で進む前向きな変化も強調しています。再生可能エネルギー、電気自動車(EV)、省エネ・環境配慮型の建築などの分野で、「顕著な進展」が見られたと評価している点です。
エネルギー転換と電動化の広がり
報告書によれば、中国では再生可能エネルギーの導入やEVの普及が進展し、エネルギーや輸送部門からの排出削減に一定の効果を上げているとされています。電力の低炭素化と交通の電動化は、長期的な排出削減の中核となる分野です。
グリーン建築と呼ばれる環境配慮型の建物も、エネルギー消費を抑え、都市全体の排出量を減らす手段として位置づけられています。建物の断熱性能向上や、省エネ設備の導入など、日常生活に近い領域での変化が進んでいることがうかがえます。
カーボン市場とAIが果たす役割
報告書は、二酸化炭素(CO2)排出量に価格をつけて取引する「排出量取引市場」が、排出削減を促す上で意味のある役割を果たしていると評価しています。企業は排出量を減らすことでコストを下げられるため、技術革新や省エネ投資を進める動機が生まれます。
また、人工知能(AI)が気候変動関連の分野で活用され、一定の成果を上げていることも報告されています。具体的には、気象データの解析や災害リスク予測、エネルギー需要の最適化などでAIが活用されているとされ、今後、気候変動への対応で重要な役割を担うと期待されています。
16回目の報告書が映す「2020年代の現実」
この年次報告は、中国社会科学院(CASS)と中国気象局(CMA)などが共同で編纂し、今回で16回目の発行となりました。長年にわたるデータと分析の蓄積があるからこそ、2015~2023年の9年間が際立って暖かい時期であることや、自然災害の増加傾向がより明確に見えてきます。
2020年代は、気候変動対策にとって「行動の10年」とも言われます。今回の報告は、中国におけるリスクの高まりと同時に、再エネやEV、グリーン建築、AIなどを通じた変革の可能性も示しています。
私たちへの問いかけ
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、この報告は「中国の話」で終わらせるにはもったいない内容です。豪雨や猛暑の増加、エネルギー転換の必要性、AIの活用など、多くのテーマは日本やアジアの他の国と地域とも共有されています。
自分の暮らしや仕事の中で、どのようにエネルギーを使い、どんな技術や制度を支持していくのか。中国の年次報告は、そうした日常レベルの選択にも静かに問いを投げかけていると言えるでしょう。
Reference(s):
2015 to 2023 'warmest 9 years' in history of China, says report
cgtn.com








