中国初のドローン版「4S店」が試験運営開始 低空経済をけん引
中国の国家級ドローン試験基地「天目」(四川省彭州市)で、ドローンの販売から保守、保険までを一体的に扱う中国初の「4S店」が試験運営を始めました。急成長する低空経済を象徴する新しいインフラとして注目されています。
ドローン版「4S店」とは何か
試験運営を開始したのは、「低空経済知能装備展示販売センター」と呼ばれる拠点です。成都の地元紙の報道によると、木曜日に試験運営が始まり、翌日にその様子が伝えられました。
このセンターは、自動車の販売・サービス拠点として知られる「4S店」のモデルをドローン分野に応用したものです。提供される主なサービスは次の通りです。
- ドローン本体の販売
- 保守・点検・修理
- 部品や関連機器の提供
- 運用や規制に関する情報提供
- ドローン保険や金融サービス
- 一般向けの教育・啓発プログラム
- フォーラムやセミナーなどの交流イベント
センターにはすでにドローン関連企業32社が入居契約を結んでおり、多様な機体やソリューションが一カ所で比較・体験できるワンストップ拠点をめざしています。「ここでは、多機能なドローンを競争力のある価格で購入でき、試用も含めた一体型サービスを体験できます」と、運営主体である天目の責任者・周暁明氏は話しています。
天目試験基地が持つ空域の強み
天目は、成都市中心部からおよそ70キロ離れた龍門山脈のエリアに位置し、民間無人機の試験飛行を専門とする基地です。ここでは、高度1200メートル以下、半径5キロメートルの専用空域が確保され、さまざまなタイプのドローンが日常的に試験飛行を行っています。
2017年12月8日に空域利用の承認を受けたことで、天目は中国西南地域で初の民間無人機飛行基地として正式に設立されました。その後、2022年8月には国家級の民間無人機試験基地として認定され、試験飛行の手続きが大きく簡素化されています。
従来は飛行ごとに事前の「承認」が必要でしたが、現在は1時間前に通報すれば飛行できる「通報制」に移行したとされています。これにより、急増する空域利用ニーズに対応しつつ、利用者のコスト削減と運用効率の向上が図られました。
現在、天目は10カ所の試験飛行拠点と19種類の低空経済アプリケーション場面を有しており、中国にある20の国家級試験基地の中で、数の面では最大規模とされています。研究開発や生産、ミッション用機器、システム管理などに取り組む132の組織が集積し、四川省の低空経済の成長を下支えしています。
数字で見る中国のドローンと低空経済
中国のドローン産業は近年急速に拡大しています。中国民用航空局が2024年7月に公表したデータによると、2024年上半期に新規登録された無人機は約60万8000機に達し、2023年末の登録数から48%増加しました。
同じ期間のドローン累計飛行時間は約982万時間で、前年同期より13万4000時間増えています。物流、インフラ点検、農業、映像撮影など、多様な分野で利用が広がっていることが背景にあるとみられます。
こうした動きを支えているのが、「低空経済」と呼ばれる新しい産業領域です。中国工業・情報化部の研究機関によれば、低空経済関連産業の規模は2023年に5059億5000万元(約693億ドル)に達し、2026年には1兆元を超えると予測されています。
今回のドローン版4S店のように、機体だけでなく保守、保険、金融、教育、人材交流までを取り込んだエコシステムづくりが、低空経済の土台となりつつあります。
日本とアジアへの示唆
ドローンや空飛ぶクルマなど低空領域の活用は、日本を含む多くの国や地域で今後の成長分野として注目されています。ただ、空域管理のルール整備や安全基準、事業化のスキームづくりなど、解くべき課題は少なくありません。
中国の事例では、専用の試験基地を整備し、空域の通報制やワンストップ型のサービス拠点を組み合わせることで、産業全体の実証とビジネス化を加速させようとしています。日本の読者にとっても、「どのようなインフラとルールを整えれば、新しい空の産業が広がるのか」を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








