中国の月面サンプル第8弾、嫦娥5号・6号試料を18研究者に提供へ
中国国家航天局の月探査・宇宙工程センターは、嫦娥5号と嫦娥6号が持ち帰った月面サンプルについて、第8弾となる研究用貸し出しの承認リストを公表しました。中国本土や香港、マカオなど16の研究機関に所属する18人の研究者が、計8,550.4ミリグラムのサンプルを用いて、月の成り立ちや進化に関する研究を進めます。
第8弾で貸し出される月面サンプルの規模
月探査・宇宙工程センターによると、今回承認された第8弾の貸し出しでは、合計8,550.4ミリグラムの月面サンプルが18人の研究者に提供されます。サンプルはすべて、嫦娥5号および嫦娥6号探査機が地球に持ち帰ったものです。
サンプルは「貸与」という形で研究者に渡され、分析が終われば返却される仕組みです。月探査ミッションで回収できる試料の量は限られているため、少量を多くの研究テーマで共有する運用が取られています。
嫦娥5号・6号、2つのミッションの試料が対象
今回の承認リストには、月面サンプルを地球にもたらした2つの中国の月探査ミッション、嫦娥5号と嫦娥6号の試料が含まれています。
嫦娥6号ミッションは、人類史上初めて月の裏側(遠側)からサンプルを採取し、1,935.3グラムの試料を回収しました。これに対し、先行する嫦娥5号ミッションは、約1,731グラムの月面サンプルを地球に持ち帰っています。
これらのサンプルの一部が、さまざまな研究機関の研究者に提供される形で、第8弾の貸し出しが実施されます。
中国本土・香港・マカオの研究ネットワーク
今回承認された16の研究機関には、China University of Geosciences(Beijing)、Beihang University、Wuhan Universityなど、中国本土の主要大学が含まれています。
また、香港のUniversity of Hong Kongや、マカオのMacao University of Science and Technologyといった研究機関もリスト入りしました。中国本土に加え、香港やマカオの大学が月面サンプル研究に参加することで、中国全体としての月科学研究ネットワークが広がりつつあります。
それぞれの研究機関は、自らの専門分野を生かし、月面サンプルを用いた多様な研究テーマに取り組むとみられます。
「開かれた」サンプル提供方針と国際協力
月探査・宇宙工程センターの副主任である葛平氏は、中国は月面サンプルの研究利用について積極的かつ開かれた姿勢を維持しており、関連手続きに従って世界各国の科学者からの申請を歓迎していると述べています。
申請は所定の手続きに基づき審査され、採択された研究者や研究機関が、一定量のサンプルを一定期間借り受ける仕組みです。こうした枠組みによって、限られたサンプルをできるだけ多くの研究プロジェクトで共有しようとする方針がうかがえます。
2021年から続く月面サンプル提供と研究分野
中国は2021年7月に、初めて月面サンプルを研究機関に提供しました。その後これまでに7回の貸し出しが行われており、今回の第8弾は、それに続くものです。
これまでのサンプル提供を通じて、研究者たちは次のような幅広いテーマに取り組んできました。
- 月表面で起きるさまざまな過程の解明
- 月の火山活動の年代測定
- 月の進化過程の再構築
- 鉱物や揮発性物質(蒸発しやすい成分)の組成分析
月面サンプルの分析は、月そのものの理解にとどまらず、地球を含む岩石惑星全体の形成や進化を考える手がかりにもなります。今回の第8弾の貸し出しによって、こうした研究がさらに進展する可能性があります。
月探査は今後も各国・各地域にとって重要なテーマであり、嫦娥計画を通じた中国の月面サンプル提供の動きは、その一端を示すものといえます。第8弾の研究成果が公表されることで、私たちの「月の見え方」がどのように変わっていくのかが注目されます。
Reference(s):
cgtn.com








