中国の深海科学探査船「探索三号」就役 全球深海研究へ新戦力
中国で新たな深海研究船「探索三号」が就役しました。南シナ海から極域までをカバーできるこの船は、2025年の本格運用を見据え、深海科学と水中文化遺産の調査能力を一気に引き上げる存在とされています。
海南省三亜で就役、2025年の任務を想定
中国で独自開発された多目的深海科学探査・水中文化遺産考古調査船「探索三号」は、南部の海南省三亜市で日曜日に就役しました。就役時点では、2025年に本格的な任務に入ることを想定して準備が進められていたとされています。
この就役により、中国の有人潜水に関する能力が大幅に拡大し、中国の科学探査チームは世界のあらゆる海域を対象に調査を行えるようになると説明されています。
「深海勇士」を搭載し南シナ海での研究へ
計画によると、探索三号は全海洋深度まで到達できる有人潜水艇「深海勇士」を搭載し、南シナ海での定常的な科学調査や深海機器の試験、水中文化遺産の考古学調査などにあたるとされています。
こうした活動は、2025年前半に実施される計画として位置づけられていました。続く2025年後半には、深い深海域(アビサル帯)での有人深海潜水運用を始める構想も示されています。
全球規模・極域にも対応する初の研究船
探索三号は、中国として初めて、地球規模での深海探査を単独でこなせる総合科学研究船とされています。南シナ海だけでなく、極域を含む世界の深海での調査を想定して設計されており、氷に覆われた海域での有人深潜を支える能力も備えています。
性能と特徴:長距離航行と大型ムーンプール
探索三号は全長104メートル、排水量は約1万トンで、設計・開発・建造の全てが中国国内で行われました。
主な性能と特徴は次の通りです。
- 最高速度:16ノット(時速約30キロ)
- 一度の航海での最大航続距離:約1万5千海里(約2万7,780キロ)
- 収容人数:乗組員・研究者など最大80人
- 船首側と船尾側の双方で氷を砕きながら進むアイスブレーク能力
船体中央部には、長さ6メートル、幅4.8メートルの大型ムーンプール(船底に設けられた作業用の開口部)が配置されています。これにより、流氷域や気象・海象条件の厳しい場面でも、潜水艇や観測機器を安全かつ安定して運用できるよう工夫されています。
深海科学と文化遺産保護にどうつながるか
探索三号は、深海の科学探査だけでなく、水中文化遺産の考古学調査も想定して建造されています。沈没船や海底遺構の調査を通じて、海洋史や交易史の解明、そして文化財の保護につながることが期待されています。
一方で、深海は地球環境や資源に関する重要な情報が眠る場所ともされています。深海の地形や地質、生態系を詳細に観測する能力は、気候変動の理解や防災、資源管理といった地球規模の課題に対する知見を広げる可能性があります。
自立的な技術開発の象徴として
今回の就役は、中国における重要なコア技術の自立的な開発に関する前進としても位置づけられています。探索三号には国内で開発された機器が搭載されているだけでなく、運用を支える主要な制御システムも独自に開発されたとされています。
深海という人類にとって厳しい環境に挑むには、船体、潜水艇、観測機器、運用システムを含む総合的な技術力が求められます。探索三号のような船は、そうした総合力を高める試みの一つといえます。
国際社会にとっての意味
深海研究の進展は、一国だけで完結するものではなく、海洋環境の保全や科学的知見の共有を通じて、国際社会全体の利益にもつながります。
探索三号の就役は、中国の深海研究能力の拡大であると同時に、今後の国際的な海洋協力のあり方を考える上でも注目される動きです。深海という「最後のフロンティア」に向けた各国の挑戦が続くなかで、この新たな研究船は、2025年以降の海洋研究の風景に少なからぬ影響を与えていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








