古代沈没船の陶磁器が色鮮やかな理由 考古学者が語る保存の舞台裏 video poster
古代の沈没船から引き上げられた陶磁器が、いまも海から上がったばかりのように色鮮やかに輝いています。その理由と、これらの歴史のかけらを守るために考古学者たちが行っている保存のプロセスが、公開されています。
古代沈没船から見つかった色鮮やかな陶磁器
世界各地の海底には、交易や航海の途中で沈んだ古代の船が静かに眠っています。そこから引き上げられた陶磁器のかけらは、一見するとただの破片に見えますが、Each Object Tells a Story(それぞれの品が物語を語る)と考古学者たちは語ります。
模様や色、形には、当時の技術や貿易ルート、人々の暮らし方が刻まれているからです。こうした水中文化遺産の保護は国際ニュースとしても注目されますが、日本語ニュースでは速報的に触れられるだけのことも少なくありません。本記事では、その舞台裏をやさしく整理します。
なぜ海の底でも色が褪せないのか
考古学者によると、古代の陶磁器がいまも鮮やかな色を保っている背景には、素材と製法、そして海底という特殊な環境が重なっています。
- 高温で焼き締められた陶磁器の釉薬(うわぐすり)はガラス質に近く、色が内部に封じ込められている
- 沈没船の多くは、泥や砂に覆われ、酸素が少ない環境に置かれていたため、装飾が大きく損なわれにくかった
- 金属製品に比べて、陶磁器は腐食に強く、長い年月を経ても形と色を保ちやすい
一方で、海水中の塩分は長期的には陶磁器にもダメージを与えます。そのため、海底では守られていたように見える陶磁器も、水面に引き上げられた瞬間から、劣化のカウントダウンが始まります。
考古学者が見せる保存と保護のプロセス
考古学者たちは、古代沈没船から回収された陶磁器をどのように扱うのか、その工程を実演しながら説明しています。そのプロセスは次のようなステップで進みます。
- 記録する:引き上げ直後に、位置や状態、周囲の状況を詳細に記録します。後からどこから来た破片かを復元する手がかりになるためです。
- 洗浄する:付着した泥や貝殻などを、柔らかいブラシや水を使って慎重に取り除きます。この段階からすでに、割れやすい部分を見極めながら作業が進められます。
- 塩分を抜く:海水に長く浸かっていた陶磁器の内部には塩分が染み込んでいます。放置すると表面に白い結晶が浮き出たり、ひび割れの原因になったりするため、水槽の中で時間をかけて塩分を抜いていきます。
- 補修と安定化:必要に応じて、割れた部分を接着したり、極端に弱くなった部分を補強したりします。元の姿に戻すことよりも、これ以上壊れないようにすることが重視されます。
- 展示・保管環境を整える:温度や湿度、光の強さを管理しながら、博物館や研究施設で保管・展示します。環境の変化が少ないことが、長期保存には欠かせません。
一つ一つの破片が教えてくれること
たとえ欠けた小さなかけらでも、そこには当時の職人の技術、船に積まれていた貨物の種類、どの地域とどの地域がつながっていたのか、といった手がかりが詰まっています。
考古学者たちが一つ一つの遺物が物語を語ると強調するのは、こうしたかけらから、失われた航海のドラマや、人々の交流の歴史が読み取れるからです。
2025年の今、海の底の歴史とどう向き合うか
2025年現在も、水中文化遺産をめぐる調査と保存の取り組みは世界各地で続いています。技術の進歩により、沈没船の発見や引き上げは以前よりも安全かつ精密になりましたが、その分、保存と倫理の問題もより注目されています。
見つけて終わりではなく、引き上げた後にどう守り、どのように社会と共有するか。今回紹介された陶磁器の保存プロセスは、その問いに対する一つの答えと言えます。
私たちが博物館で目にする色鮮やかな陶磁器の背後には、海底で眠っていた時間と、地道な保存作業の積み重ねがあります。ニュースや展示に触れるとき、この一つの器にはどんな物語が隠れているのかと想像してみると、遠い時代の出来事が少し身近に感じられるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








