国際ニュース:中国の高齢者ケア強化、在宅支援と社会参加を拡充
急速に高齢化が進む中国本土で、高齢者ケアの仕組みを強化する動きが加速しています。最近開かれた民政分野の全国会議では、2024年の在宅ケアや施設整備の進捗とともに、2025年に向けた高齢者の社会参加や権利保護の強化策が示されました。
高齢化が進む中国本土、背景にある数字
中国本土では、高齢化がすでに社会の大きなテーマになっています。公式統計によると、2023年末時点で60歳以上の高齢者は2億9700万人に達し、総人口の21.1%を占めました。5人に1人以上が60歳以上という構図で、年金や医療、介護などの制度づくりが急務となっています。
2024年の重点:在宅介護と食事支援の拡充
今回の全国会議では、まず2024年の取り組み状況が報告されました。キーワードの一つが「在宅の高齢者ケア」です。家族の中で暮らしながら支援を受ける形は、従来の家族観ともなじみやすく、多くの高齢者が望む「住み慣れた場所で老いる」ことを実現しやすい仕組みだとされています。
2024年には、中央政府から全国の高齢者向け食事支援事業に3億元(約4173万ドル)が充てられました。栄養バランスに配慮した食事提供や、ひとり暮らしの高齢者への配食サービスなどを支える財源となり、地域ごとの取り組みを後押ししています。
さらに、在宅での介護ニーズに応えるため、35万8000床分の在宅ケア用ベッドが新たに整備されました。自宅で生活を続けながら、必要なときに介護サービスや見守りを受けられる環境づくりが進んでいる形です。
「家にいたい」をどう支えるか
在宅介護の拡充は、高齢者本人の希望に応えるだけでなく、家族の介護負担を軽減し、介護離職などの社会的コストを抑える狙いもあります。中国本土では、都市部と農村部、地域による格差も大きく、身近なところでサービスを受けられる体制づくりが課題とされています。こうした背景から、在宅ケアや地域密着型の支援に公的な資源が投じられているといえます。
施設介護も拡大、40万超の施設・拠点
一方で、介護施設などの「場」を整える動きも進んでいます。2024年10月時点で、中国本土には40万4000カ所の高齢者ケア関連の施設や拠点があるとされています。ここには、高齢者向けの入所施設だけでなく、デイサービスやコミュニティセンターなど、多様な形態が含まれます。
高齢者が必要に応じて在宅ケアと施設サービスを使い分けられるようにすることは、どの国にとっても大きなテーマです。施設の数が増える一方で、質の確保や職員の育成、都市部と地方のバランスなど、今後も丁寧な制度設計が求められる分野だといえます。
2025年の方向性:社会参加と権利保護を重視
全国会議では、2025年に向けた新たな方針も示されました。所管する民政部は、高齢者が単に「支えられる側」ではなく、社会の一員として活躍し続けられるよう、社会参加を促す政策づくりを進めるとしています。
例えば、地域活動やボランティア、世代間交流の機会を増やしたり、生涯学習の場を広げたりすることが考えられます。これにより、高齢者の孤立を防ぎ、健康寿命を延ばす効果も期待されています。
同時に、高齢者の権利保護も重要な柱です。具体的には、相続や財産管理をめぐるトラブル、消費者被害や詐欺、虐待の防止など、法的な権利を守るための仕組みづくりが焦点となります。民政部は、こうした分野での法制度や行政サービスを強化する方針を掲げています。
日本にとっての示唆:アジアの高齢化をどう見るか
日本も世界有数の高齢化社会であり、中国本土の取り組みは「遠い国の話」ではありません。在宅ケアを重視しつつ、必要なときには施設サービスにつなぐという考え方は、日本でも共有されている方向性です。
人口規模や地域格差が大きい中国本土では、膨大な数の高齢者をどう支えるかという課題に直面しています。その対応のあり方は、アジアのほかの国や地域にとっても参考となり得ます。日本の読者にとっても、「高齢化にどう備えるか」「地域でどんな支え合いができるか」を考える材料となるでしょう。
これから注目したいポイント
今後、高齢者ケア政策の動きを追ううえで、注目したいポイントを整理します。
- 在宅ケアと施設ケアのバランスがどのように最適化されていくか
- 高齢者の社会参加を促す制度や取り組みが、どの程度広がっていくか
- 高齢者の権利保護に向けた法制度や行政サービスがどのように整備されるか
- 都市部と地方、地域ごとの格差にどう向き合うか
高齢化は、日本を含む多くの国・地域が避けて通れないテーマです。中国本土の高齢者ケア強化の動きは、アジア全体の将来像を考えるうえでも、今後も追いかけていきたい国際ニュースだと言えるでしょう。
Reference(s):
China expands elderly care initiatives amid aging population challenge
cgtn.com








