中国がRCEPでアジア太平洋自由貿易を推進へ 発効3年の現状と今後
中国、RCEP通じアジア太平洋自由貿易の「高度化」を強調
アジア太平洋の自由貿易をめぐり、中国が地域包括的経済連携(RCEP)を「全面的かつ高品質に履行」し、共通の発展と繁栄をめざす方針をあらためて示しました。
中国外交部の毛寧報道官は金曜日の定例記者会見で、地域包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership、RCEP)について、中国は今後も全方位的かつ高い水準での履行を続け、アジア太平洋地域における自由貿易の「アップグレード(高度化)」を推進すると述べました。
RCEPは水曜日に発効3周年を迎えました。毛報道官の発言は、この節目のタイミングで過去3年の成果と今後への期待を整理したかたちとなっています。
世界最大の自由貿易協定としてのRCEP
毛報道官によると、RCEPは世界の自由貿易協定の中でも、次のような特徴を持つとされています。
- 最も多くの人口をカバーしている
- 貿易規模が最大である
- 発展潜在力が最も大きい
この3年間で、RCEPはアジア太平洋の地域経済統合を進める重要な枠組みとして機能してきたと説明しました。毛報道官は、RCEPが次のような効果を持っていると評価しています。
- アジア太平洋地域の経済統合に強い活力を注入してきたこと
- 加盟する各経済に新たな市場機会をもたらしていること
- 多国間主義への国際社会の信頼を高めていること
地政学的な緊張や保護主義の動きが指摘されるなかで、複数の国や地域が共通ルールをベースに貿易と投資を進めていく枠組みとして、RCEPが一つの軸になっているという見方です。
中国が掲げる「全面的かつ高品質な履行」とは
毛報道官は、中国がRCEPを「全面的かつ高品質に履行する」と強調しました。この表現には、単に合意済みの約束を守るだけでなく、制度を実際のビジネスや人の交流に結びつけていくという意識がにじみます。
具体的な施策には言及していませんが、一般に広域の自由貿易協定では、次のような点が焦点になります。
- 合意されたルールや手続きの着実な実施
- サービス貿易や投資の一層の自由化
- 企業や利用者にとって分かりやすく、使いやすい制度運用
こうした取り組みを通じて、アジア太平洋地域での自由貿易を一段と高度化し、域内全体の発展と繁栄を図るというのが中国側のメッセージです。
アジア開発銀行の試算:2450億ドルと280万人
毛報道官は、アジア開発銀行(ADB)の研究結果を引用し、RCEPが地域にもたらすとされる経済効果を紹介しました。
- 域内経済に2450億ドルの成長をもたらす見込み
- 約280万人の雇用を創出する見通し
数字そのものは試算に基づくものですが、RCEPがアジア太平洋地域全体の経済規模と雇用に一定の押し上げ効果を持つという見通しを、中国があらためて強調したかたちです。
多くの国と地域が参加する自由貿易協定では、メリットと同時に調整コストや競争の激化も伴います。それでもなお、域内の成長と雇用創出の余地が大きいと見る点に、RCEPへの期待感が表れています。
日本を含むアジア太平洋への意味合い
RCEPはアジア太平洋地域を広くカバーする枠組みであり、地域の自由貿易ルールを形づくる一つの柱になっています。日本を含む域内の企業や生活者にとって、次のような視点から注目すべき動きと言えます。
- 域内市場の一体化が進むことで、新たなビジネス機会が生まれる可能性
- 貿易と投資のルールが整うことによる、中長期的な経済の安定性
- 多国間協力の枠組みが、国際情勢の変化に対する一つのセーフティネットになり得ること
一般に、広域の自由貿易協定は、関税の引き下げやルールの調和などを通じて企業のコストを下げ、サプライチェーン(供給網)の構築を後押しすると考えられています。こうした流れの中で、中国がRCEPの履行を重視し続けるかどうかは、アジア太平洋全体の経済環境を左右する要素の一つです。
多国間主義と地域協力をどう位置づけるか
毛報道官は、RCEPが国際社会の多国間主義への信頼を高めたと述べています。複数の国や地域が共通ルールを選び取る動きは、一国主義やブロック化の流れとは異なる方向性を示すものです。
発効から3年を迎えた今、RCEPには次のような問いが投げかけられています。
- 掲げられた経済効果や雇用創出は、どの程度現実のものとなりつつあるのか
- 企業や労働者、中小企業など、誰にとってどのようなメリットと課題が生じているのか
- アジア太平洋の他の経済枠組みと、どのように共存・補完していくのか
中国が示した「RCEPを通じてアジア太平洋の自由貿易を一段と推進する」というメッセージは、こうした問いにどう向き合うのかを各国と地域に投げかけるものでもあります。
私たちの身近な視点から見れば、日々利用している製品やサービスの多くは、アジア太平洋のどこかとつながっています。その背後にある貿易とルールの動きを意識してみると、RCEPをめぐるニュースも、単なる外交発言ではなく、自分たちの暮らしにつながる話題として見えてくるかもしれません。
Reference(s):
China says will continue promoting Asia-Pacific free trade under RCEP
cgtn.com








