中国とASEANのデジタル経済協力 越境ECが支える新たな成長
中国とASEANの関係をめぐって、いまキーワードになっているのがデジタル経済です。越境EC(電子商取引)やデジタル決済、AI(人工知能)などの技術が、両地域の貿易や産業、人と人の交流を大きく変えつつあります。
とくに2020年代に入り、中国とASEANが進めるデジタル協力は、成長エンジンであると同時に、互いをより強く結びつけるインフラとしての役割も担い始めています。本記事では、その動きを整理しながら、これからの可能性を考えます。
なぜ、中国・ASEANのデジタル協力が加速しているのか
中国とASEANは、地理的にも歴史的にも結びつきが強いパートナーです。この土台の上に、デジタル技術という新しい共通言語が乗ることで、協力の幅が一気に広がりつつあります。
両地域で広がる主なデジタル分野は次の通りです。
- 越境EC:オンライン上でモノやサービスを取引する仕組み
- デジタル決済:スマホアプリなどを使った素早く安全な支払い
- AI:需要予測や物流の最適化など、見えない部分で経済活動を支える技術
越境ECがけん引するデジタルトレード
中国・ASEAN関係を語るうえで、デジタル貿易は欠かせない存在になりました。オンラインのプラットフォームを通じて、これまで物理的・制度的な壁となっていた国境を越えやすくなっているためです。
最新のデータでは、中国とASEANの越境ECは年率20%を超えるペースで拡大しています。中国側からは電子機器や家電などが、ASEAN側からは農産品などがオンラインでやり取りされ、取引の厚みを増しています。
2024年の最初の10カ月だけで、両地域の貿易額は797.63ビリオンドル($797.63 billion)に達しました。中国とASEANは、4年連続で互いに最大の貿易相手となっており、デジタル経済がその勢いを支えているといえます。
産業アップグレード:製造業から農業まで
デジタル経済の影響は、単にモノの売り買いにとどまりません。産業そのものの質を高める動きも生まれています。
- 製造業では、工場とネットワークをつなぐ産業インターネットによって、生産効率の向上や故障リスクの予測が進んでいます。
- 農業では、データに基づき水や肥料を最適に管理する精密農業が導入され、付加価値の高い農産品づくりに役立てられています。
技術開発を先行させてきた中国と、多様な市場ニーズや豊かな資源を持つASEAN。この組み合わせが、両地域全体のデジタル変革を後押ししています。
5Gとデータセンターが支えるデジタルインフラ
こうした協力の土台となるのがデジタルインフラです。中国で進む5Gネットワークやデータセンターの整備は、ASEANとの連携を通じて、地域全体のデジタル格差を埋める役割も担っています。
両地域では、次のような共同プロジェクトが進んでいます。
- 海底ケーブルの敷設:大容量のデータを国境を越えてやり取りするための基幹ネットワーク
- 陸上の通信網高度化:地方や島しょ部を含めたネット接続の改善
これらのインフラは、データの流れをスムーズにし、貿易や投資だけでなく、人と人とのつながりを支える見えないパイプとなっています。
教育・医療・文化に広がるデジタルの波
デジタル経済の波は、教育や医療、文化交流など、生活に身近な分野にも及んでいます。中国とASEANの学生がオンラインで同じ教材にアクセスし、ビデオ会議を通じて共同で学ぶ機会が増えています。
文化面では、SNSを通じて音楽やドラマ、日常のライフスタイルが共有され、相手の社会への理解が深まっています。医療分野では、遠隔診療(テレメディシン)が広がることで、これまで医師にアクセスしづらかった人びとも医療サービスを受けやすくなっています。
人材育成とこれからの展望
デジタル経済を支えるのは、最終的には人材です。中国とASEANの大学や教育機関は、共同プログラムを通じて高度なデジタルスキルを持つ専門人材を育てています。こうした人材が、今後の産業や行政サービスのデジタル化を現場で支える存在になります。
今後、両地域がデジタル協力をさらに深めていけば、経済だけでなく社会全体のつながりも一層強くなる可能性があります。より安全で包摂的なデジタル環境をどうつくるかという課題に向き合いながら、中国とASEANが築く連携モデルは、国際社会におけるデジタル経済協力の一つの手本になっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








