春節の文化遺産が世界に認定 ユネスコ無形文化遺産と中国の年越し
春節の文化遺産が世界に認定 ユネスコ無形文化遺産と中国の年越し
爆竹を鳴らし、赤い提灯や春聯(赤い紙のめでたい対句)を飾り、家族そろって餃子を囲む。中国の春節(中国の新年)は、中国の人びとにとって一年で最も大切な行事です。その春節の年越し文化が、2025年12月にユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録されました。
春節は単なる長期休暇ではなく、文化の連続性と絆を体現する行事として受け継がれてきました。今回の登録は、その価値が国際的にも認められたことを意味します。
春節とはどんな行事か
春節は、中国の人びとが一年の始まりを祝うお正月です。旧暦の新年にあたるこの時期には、次のような伝統的な習慣が受け継がれています。
- 爆竹を鳴らして厄を払い、新しい年の幸運を願う
- 家や街に赤い提灯を飾り、にぎやかな雰囲気を演出する
- 門や壁に対句(カップル詩)を書いた赤い紙を貼り、願いをしたためる
- 家族で餃子などの料理を囲み、団らんを楽しむ
こうした一つ一つの行為に、「家族がそろうこと」「新しい年を良い年にしたいという願い」といった意味が込められています。
ユネスコ無形文化遺産に登録、その意味
ユネスコの無形文化遺産は、建物や遺跡といった目に見える文化財ではなく、「祭り」「踊り」「伝統技術」など、形はないけれどコミュニティの記憶とアイデンティティを支える文化を守る仕組みです。
今回登録されたのは、春節そのものだけではなく、春節を祝うための慣習や実践です。具体的には、爆竹や提灯、対句の飾り付け、家族での食事に加え、紙切り、年越し版画、灯籠ショーなど、多様な表現が含まれています。
登録によって、春節の文化は「特定の国や地域だけのもの」ではなく、人類共通の遺産として位置付けられました。これは、中国の人びとにとっては誇りであると同時に、世界の人々が春節の文化を知り、理解を深めるきっかけにもなります。
紙切り、年画、灯籠ショー――春節を彩る表現
1. 紙切り(ペーパー・カッティング)の伝統
春節の時期、中国各地の窓やドアには、赤い紙を切り抜いて作る紙飾りが貼られます。これが「紙切り」の伝統です。
はさみや小さなナイフで紙を繊細に切り抜き、福の字や動物、花などの模様を作ります。窓から差し込む光で模様が浮かび上がる様子は、冬の街を温かく彩ります。
紙切りは、単なる装飾ではなく、家族の幸せや豊作への願いを形にしたものです。親から子へ、そして孫へと技が受け継がれる過程そのものが、無形文化遺産としての価値を持っています。
2. 年越し版画(ニューイヤー・ウッドブロック・プリント)
春節の前になると、色鮮やかな木版画が市場に並びます。年神や歴史上の人物、吉祥を表すシンボルなどが描かれた「年越し版画」は、新しい年を守り、幸運を招くとされる縁起物です。
家庭では、玄関や居間にこれらの版画を貼り、家の中を明るく華やかにします。手作業で版を彫り、色ごとに刷り重ねる伝統的な制作方法は、地域ごとに特徴を持ちながら受け継がれています。
3. 灯籠ショーと提灯の明かり
春節のもう一つの見どころが、灯籠ショーや提灯飾りです。街や公園に大小さまざまな灯籠が並び、夜空の下で光の海が広がります。
灯籠のデザインには、その年の干支や物語、歴史的なモチーフなどが取り入れられ、家族連れや観光客を楽しませます。光の中を歩きながら、新しい年への期待を分かち合う時間は、多くの人にとって忘れがたい思い出になります。
「無形の遺産」が守ろうとしているもの
春節の文化は、目に見える飾りや行事だけではありません。その背景には、「家族で集まる」「ご先祖を敬う」「新しい年を皆で迎える」といった価値観があります。
ユネスコの無形文化遺産としての登録は、こうした目に見えない価値を未来に残す試みでもあります。都市化やライフスタイルの変化が進む中で、伝統行事の形は少しずつ変わっていきますが、根底にある思いをどう受け継ぐかが問われています。
日本から春節をどう見るか
日本にも正月のしめ飾りや初詣、年賀状といった多くの年中行事があります。春節の無形文化遺産登録は、自分たちの足もとにある行事を見直すきっかけにもなるかもしれません。
- 自国だけでなく、他の地域の年越し文化に目を向けてみる
- 日常の中にある伝統行事を、次の世代にどう伝えるか考える
- SNSで共有される「映える」瞬間だけでなく、その背景の物語にも目を向ける
春節の物語を知ることは、単に中国の文化を学ぶことにとどまりません。多様な文化が共に存在する世界で、互いの「暮らしのリズム」や価値観を尊重し合う視点を育てることにもつながります。
爆竹の音や提灯の光の向こうにある、人びとの願いや記憶に思いを馳せてみるとき、春節という無形の文化遺産は、私たち自身の暮らしを見つめ直す鏡にもなり得るのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








