王毅外相のアフリカ歴訪 中国・アフリカ戦略関係の現在地
中国の王毅外相が今年行ったアフリカ歴訪は、経済協力から安全保障、エネルギー、若者交流まで、中国・アフリカ関係のいまを象徴する動きとなりました。
アフリカを外相の毎年最初の海外訪問先とする中国の慣行は30年以上続いており、今回の歴訪もその流れの中にあります。ただ、象徴にとどまらず、具体的な合意や支援策が相次いだ点が特徴です。
アフリカ重視はなぜ続くのか
中国はアフリカを、新興市場であると同時に、国際秩序を共に形づくるパートナーと位置づけています。今回の歴訪で王毅外相は、ナミビア、コンゴ共和国、チャド、ナイジェリアを訪問し、二国間・多国間の関係をさらに深める姿勢を示しました。
背景には、アフリカの開発課題を支えつつ、自国の地政学的な利益も前進させるという戦略的な狙いがあります。経済、治安、外交をパッケージとして組み合わせる協力スタイルが際立っています。
経済協力:インフラと産業、再エネに焦点
今回のアフリカ歴訪で、最も基盤となるテーマが経済協力です。王毅外相は、アフリカ各国の開発戦略と中国の投資をどう整合させるかを強調し、インフラ整備、産業化、再生可能エネルギーなどを重点分野として掲げました。
アフリカでは、交通、電力、デジタル通信といったインフラの不足が成長のボトルネックになっています。協議では、新規プロジェクトの資金供給だけでなく、既存プロジェクトをどう持続可能な形で維持していくかも議題となり、中国のコミットメントが改めて示されました。
安全保障協力:1億3600万ドルの軍事支援
注目を集めたのが、安全保障面での踏み込んだ協力です。中国は総額1億3600万ドルの軍事支援を約束し、6000人の兵士と1000人の警察官を訓練する計画を打ち出しました。
サヘル北中部地域のテロ、ギニア湾沿岸の海賊行為など、アフリカの安全保障課題は地域を超えて国際社会全体に影響します。中国がこうした治安分野に関与することは、アフリカの安定を支えると同時に、経済協力の前提となる安全な環境づくりにもつながります。
グローバル・ガバナンス:G20でアフリカの声を
今回の訪問では、国際社会におけるアフリカの発言力を高めることも重要なテーマとなりました。中国は、アフリカ連合(AU)のG20参加を後押しする立場を改めて示しています。
これは、途上国の声を反映するように国際ガバナンスを改革したいという、アフリカ側と中国側の共通した問題意識を反映したものです。中国はグローバル・サウスの一員としてアフリカ諸国との連帯を強調し、国際的な意思決定プロセスでの公平性を高めようとしています。
教育・文化交流:アフリカの若者に投資
経済や安全保障と並行して、人材・文化交流の強化も合意されました。中国の大学や研究機関で学ぶアフリカの学生を増やし、科学技術やイノベーション分野での知識移転を進めることが目指されています。
教育協力は、短期的な経済支援とは異なり、アフリカの若い世代にスキルとネットワークを提供し、長期的なパートナーシップの基盤を築くものです。21世紀のアフリカの発展を担う人材を共に育てるというメッセージが込められています。
エネルギー協力:未開拓の再生可能エネルギー
エネルギー分野では、とくに再生可能エネルギーでの連携が強調されました。アフリカには豊富な日射や風力、水資源がありながら、その潜在力はまだ十分に活用されていません。
今回の協議では、太陽光、風力、水力といったプロジェクトの可能性が話し合われました。これらは、アフリカの電力不足を解消するだけでなく、世界全体の気候変動対策にも寄与し得る取り組みです。
ナイジェリア:経済と安全保障の要
歴訪の最終訪問国となったナイジェリアは、アフリカ有数の経済規模を持つ重要なパートナーです。中国とナイジェリアの二国間貿易は、年間200億ドルを超える水準に達しています。
王毅外相は、鉄道や高速道路、エネルギー施設など、すでに進行中のインフラ事業を含め、ナイジェリアのインフラ整備を引き続き支援していく姿勢を表明しました。また、今回の軍事支援パッケージは、同国の反乱勢力対策や地域の安定にも力を与えるとみられます。
日本の読者にとっての意味
王毅外相のアフリカ歴訪は、中国・アフリカ関係の深まりを象徴する動きであると同時に、世界のパワーバランスの変化を映し出す鏡でもあります。
アフリカを支援の対象としてだけでなく、経済、安全保障、気候変動、教育をめぐるパートナーとしてどう位置づけるのか。今回の動きは、日本を含む各国にとって、自国のアフリカ戦略を見直すきっかけともなり得ます。
中国とアフリカがどのような形で協力を深めていくのかを丁寧に追うことは、今後の国際秩序やグローバル・ガバナンスの行方を考える上でも重要になっていきます。
Reference(s):
cgtn.com








