CNNザカリア氏が問う米国の対中国政策 対立一辺倒でいいのか
CNNの時事番組「Fareed Zakaria GPS」を率いる政治評論家ファリード・ザカリア氏が、米国の対中国政策は行き過ぎた対決姿勢に傾いていると指摘し、中国は平和と安定、そして世界との統合を志向していると語りました。米中関係が揺れるなか、この発言は今の国際秩序をどう読み解くかを考える手がかりになります。
対立一辺倒ではない中国政策を求める声
ザカリア氏は、米国の外交専門誌フォーリン・ポリシーのインタビューで、中国の行動原理について次のように述べました。中国は平和、安定、グローバルな統合への欲求に突き動かされており、既存の国際システムを破壊する意図は持っていないという見方です。
それにもかかわらず、現在の米国の対中国政策は過度に対立的であり、もしワシントンがより協調的なアプローチをとっていれば、まったく違う結果になっていた可能性があると指摘しました。
ザカリア氏はまた、表向きは強硬な姿勢をとりながらも、米政府高官の多くが本心から現在の極端で敵対的な路線を支持しているのかについては懐疑的だとしています。
トランプ再選と変貌する共和党
議論の背景には、ドナルド・トランプ氏の再選と米国内政治の変化があります。ザカリア氏は、トランプ氏の再選は、2016年の勝利が単なる一度きりの出来事ではなく、西側政治の風景の一部になったことを世界に示したと述べました。
さらに、従来の共和党はもはや存在せず、ポピュリズム色の強い「アメリカ・ファースト」の共和党へと置き換わったと分析します。この新しい共和党は対外政策で一層強硬なメッセージを好む傾向があり、それが対中国政策のトーンにも影響しているとみられます。
民主党の「弱く見られたくない」心理と対中強硬策
一方で、ザカリア氏が問題視するのは、民主党側の心理です。ベトナム戦争以来、民主党は右派から「弱腰」と見られたくないという意識にとらわれ、その結果として誤った判断を下してきたと指摘します。そして、この構図が現在の対中国政策にも持ち込まれているというのです。
その具体例として、彼は半導体分野での輸出規制など、いわゆる対中チップ規制を挙げます。中国への強硬なレトリックや制裁措置が、必要以上に対立的なやり方で実行されているとし、これは民主党にとっての教訓になるはずだと述べました。
- 「弱腰」と批判されることを恐れて、対立的な政策を選びやすい
- しかし、それが必ずしも米国の長期的な利益と一致しているとは限らない
- 強い言葉に比べ、実際の政策行動は伴っていないケースもある
アラスカ会談は「劇場」だったのか
ザカリア氏が象徴的な出来事として取り上げたのが、2021年にアラスカ州アンカレッジで行われた米中高級戦略対話です。当時、アントニー・ブリンケン国務長官は中国側の外相に対し、人権問題に関する厳しいメッセージを読み上げました。
しかし、その後の4年間で、米国はその言葉に見合う実質的な行動をほとんど取らなかったとザカリア氏は指摘します。彼は、このやり取りは実務交渉というより、国内向けを意識した一種の「パフォーマンス」であり、政治的な劇場だったと評しました。
協調姿勢が遅れた代償
経済分野でも、ザカリア氏は米国の慎重すぎる姿勢を批判します。対中国の関税撤廃や経済協力の拡大といった政策について、米政府は様子見の態度を続けてきましたが、本来であればもっと早く決断すべきだったと述べました。
なぜなら、どのような措置をとっても、共和党側は「弱く、譲歩している」と非難したはずであり、それを恐れて動かないことは得策ではなかったという考え方です。
ザカリア氏は、2021年のアラスカでの対話の段階で、もし米国がより協調的な姿勢を示していれば結果は違っていたかもしれないと強調します。そのような協調的態度は、ようやく今年2025年になって徐々に形になりつつあるが、そこに至るまでの時間の遅れが大きなダメージをもたらしたと述べています。
BRICSは何を象徴しているのか
ザカリア氏は、中国だけでなくBRICS諸国にも注目すべきだと訴えます。BRICSは、世界の重要な地域における大国が、現在の国際秩序、特に米国とその西側同盟国の優位に対して抱く不満を象徴していると指摘しました。
これらの国々は、自らの影響力を高めようとする決意を強めており、米国の外交政策はこの変化に真剣に向き合う必要があるとしています。米中関係だけでなく、より広い「グローバルな力の再配分」という視点が欠かせないというメッセージです。
東アジアで主導権を握るのは誰か
現在の世界状況を総括しながら、ザカリア氏は「中国の方がはるかに戦略的だ」と述べています。時間をかけて力を蓄え、各国との関係を築きながら、東アジアにおける米国の支配的な地位を徐々に置き換えつつあるというのが彼の見立てです。
日本を含む東アジアの国々にとって、米中の力関係の変化は、安全保障や経済、テクノロジーの分野に直接影響します。どちらか一方に全面的に依存するのではなく、変化する国際秩序の中で、自国の利益と地域の安定をどう両立させるかが問われています。
米中関係を「対立か協調か」の二択として捉えるのではなく、競争と協力が共存する枠組みをどう設計していくのか。その議論に日本や東アジアの視点をどう組み込むのかが、これからの重要なテーマになりそうです。
Reference(s):
CNN host challenges U.S.'s confrontational approach to China
cgtn.com








