中国・陝西の春節「無形文化遺産マーケット」が巳年を迎える
中国北西部・陝西省文化センターで、2025年の巳年(ヘビ年)を祝う春節「無形文化遺産マーケット」が開かれました。33のブースが並び、地域に受け継がれてきた多彩な文化を、食と体験を通じて楽しめるイベントです。
春節と「無形文化遺産マーケット」:何が特別なのか
中国の春節(旧正月)は、その年の干支を迎える一大イベントです。2025年は巳年にあたり、陝西省文化センターでは「無形文化遺産」をテーマにした特別なマーケットが開催されました。会場は、家族連れや若い世代でにぎわい、においや音、色彩が入り混じるにぎやかな空間になりました。
今回のマーケットの特徴は、「見て終わり」ではなく、来場者が実際に味わい、触れ、参加できる形で伝統文化に出会える点です。伝統行事や芸能、ものづくりの技といった無形文化遺産が、市場という親しみやすい形で紹介されました。
33のブースが見せる、陝西の多彩な文化
会場には、全部で33のブースが並びました。それぞれが地域の文化をテーマにしており、来場者は歩きながら次々と違う「物語」に出会うことができます。
1. 「本場の味」を楽しむ食のブース
まず目を引くのは、地域ならではの料理を提供するブースです。屋台から立ちのぼる湯気や香りが、人々を自然と引き寄せます。来場者は、その土地で受け継がれてきた味を、その場で温かいまま楽しむことができました。
2. 体験型の文化プログラム
もう一つの柱が、体験型のブースです。訪れた人たちは、職人や伝統芸能の担い手の手ほどきを受けながら、身近に文化に触れることができます。見ているだけでは分からない、道具の使い方や手の動き、素材の感触を通じて、「技」が生きた知恵として伝わります。
3. 受け継ぐ・学ぶ・買うをつなぐ場
会場には、小さな展示や販売を行うスペースも設けられました。作品や工芸品を手に取りながら、作り手の話を聞き、気に入ったものは購入することもできます。単なるお土産ではなく、「この人から買った」という記憶ごと持ち帰れるのが、このマーケットの魅力です。
なぜ今、「無形文化遺産」に注目が集まるのか
無形文化遺産とは、祭りや芸能、伝統工芸、食文化など、形に残りにくい「技」や「習慣」を指します。こうした文化は、世代を超えて受け継がれてきた一方で、急速な都市化やライフスタイルの変化によって、担い手が減少しやすい側面もあります。
今回のようなマーケット形式のイベントは、無形文化遺産を「特別なもの」としてガラスケースに入れて守るのではなく、日常の楽しみとして体験できるようにする試みといえます。春節という誰もが参加しやすいタイミングに合わせたことで、多くの人が自然と伝統文化に触れる機会になりました。
日本から見るヒント:身近な地域文化をどう守るか
この陝西省の取り組みは、日本に暮らす私たちにとっても他人事ではありません。各地には、祭りや郷土芸能、地元の食文化など、似たような無形の遺産が数多く存在します。
ポイントは、次のような視点にあります。
- 若い世代が参加しやすい「場」をつくること
- 食や体験を通じて、楽しみながら学べる工夫をすること
- 作り手・演じ手と直接出会える距離感を保つこと
マーケットという形は、こうした条件を自然に満たしやすいフォーマットです。陝西省文化センターでの試みは、地域文化を次世代へつなぐ一つのモデルケースとしても参考になりそうです。
SNS時代の「伝統」の伝え方
会場のカラフルな装飾や、職人の手元、出来立ての料理などは、どれも撮影したくなる瞬間にあふれていたと考えられます。写真や動画を通じてオンラインで共有されることで、現地に足を運べない人にもその雰囲気が伝わります。
一方で、画面越しに見るだけで終わらせず、「いつか行ってみたい」「自分の地域でもこうした取り組みができないか」と考えるきっかけにできるかどうかが、これからの鍵になりそうです。デジタルとリアルをつなぐ形で、無形文化遺産をどう発信していくかが問われています。
2025年の巳年を迎えるこの春節マーケットは、伝統文化を守ることと、現代の暮らしやテクノロジーの中でそれを楽しむことは両立できる、というメッセージを静かに示しているようです。
Reference(s):
cgtn.com








